п»ї 新型コロナ禍の中での解雇で注意すべき要点 『実録!トラブルシューティング』第79回 | ニュース屋台村

新型コロナ禍の中での解雇で注意すべき要点
『実録!トラブルシューティング』第79回

6月 11日 2020年 経済

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1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、工場の停止や事業縮小など、やむを得ず会社の人員を削減しなければならない状況におかれている企業様も多いと思われます。場合によっては、新型コロナウイルス禍をきっかけに、素行不良などでもともと解雇したかった従業員の整理など、人員の見直しを検討されている企業様もいらっしゃるのではないのでしょうか。

しかしながら、解雇については平常時と同様、正当な解雇理由がなければ労働争議や罰則が科されるリスクがあり、最悪の場合、労働裁判の結果により追加の解雇補償金支払いや再解雇が必要になる可能性があります。今回は、従業員の保護が手厚いといわれるタイで、従業員をトラブルなく解雇する際の注意点を改めてご紹介します。

【解雇事由】

次のいずれかの理由により解雇を言い渡した場合を除き、従業員に対しては、解雇補償金を支給する必要があります(労働者保護法第119条)。

①職務上の不正または雇用主に対して刑事犯罪にあたる行為を故意に行った場合

②故意に雇用主に損害を与えた場合

③不注意により雇用主に重大な損害を与えた場合

④雇用主が書面をもって警告したのにもかかわらず、就業規則または規約、もしくは法律、就業先の会社の合法かつ公正な命令に違反した場合

⑤正当な事由なくして、間に休日を挟むか否かを問わず、3労働日連続して職務を放棄した場合

⑥最終判決で禁固刑を受けた場合。ただし、過失罪、軽犯罪であれば、雇用主が損害を被る事由となったものに限る

【解雇事前通知】

無期雇用者の解雇の場合、雇用主は、1賃金支払い期間以上前に、書面で雇用契約の終了を通知する必要があります。例えば、給与支給日に次の給与支給日に解雇する旨の通知を出す場合は、1か月前告知となり、解雇が可能です。

【解雇補償金の支払い時期】

事前通知の有無によって、解雇補償金の支払い時期も異なります。

■事前通知がある解雇の場合

労働者保護法第70条に定められている通り、雇用主は解雇補償金およびその他の支払いを解雇日から3日以内に支払う義務があります。

即時解雇の場合(法律通り事前に解雇通知をしていない、事前通知が正しくない場合)

労働者保護法第17条、17/1条、5条に定められている通り、雇用主は解雇日までの給与や時間外手当、解雇補償金や解雇予告手当などを解雇日当日に支払う義務があります。

◆解雇理由への理解が得られるよう努める

雇用主側としては、新型コロナウイルスの感染拡大によって業況が不安定な中で、できる限り優秀な人材を残し、不要と思われる人員を削減したいとお考えでしょう。一方、従業員側は、不景気で新しい職が見つけにくい状況下で、平常時以上に会社に残りたい思いが強いのが実情です。

労使双方の見解が異なる中で、従業員の解雇には平常時以上に注意を払う必要があり、解雇する際には従業員にその理由をできるだけ細かく説明して理解が得られるよう努めるなど十分なケアを行う一方、就業規則や雇用契約書の内容をこの際、改めて見直してみることをお勧めします。具体的なご相談がありましたら、ぜひ弊社にお気軽にお問い合わせください。

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