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頻発する民主化要求デモ、従業員の早退時の処遇は?
『実録!トラブルシューティング』第84回

11月 16日 2020年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

タイでは現在、現政権の退陣や王室の改革を求めるデモが続いており、日によっては高架鉄道BTSなどの交通機関の遅延、一部の駅の閉鎖なども起きています。今回は、頻発しているバンコクでのデモ活動に対し、安全面を考慮した会社の指示として従業員に早退を命じているA社さんからのご相談です。会社の指示による早退に対して、従業員の賃金をカットすることは可能なのでしょうか。

◆従業員の納得と合意を最優先に

タイでは、今回のデモのような社会情勢への対処法について法令上の規定はありません。新型コロナウイルス(COVID-19)については、政府から「不可抗力の事象」と認定され、直接または間接的に大きな影響を受けた業種においては、休業時の賃金の支給義務を無くす措置が取られましたが、デモについては対象外となっています。

デモ発生時に、会社の指示で従業員を早退させる判断をなされたことは、交通事情や従業員の安全面から見ても、十分に妥当な判断であると考えます。しかしながら、従業員側からすれば、あくまで会社の指示による早退ですので、賃金カットは原則不可能といえます。

今回のデモへの対応も含め、特殊な事情における会社の対応については、何よりも従業員の納得と合意が最も重要となります。賃金カットなど従業員が不利益を被るような措置は見送られたほうが無難といえるでしょう。

また、不安定な社会情勢が今後も長期化する場合には、早退だけではなく、帰宅後に在宅での勤務継続を指示するなど、業務に支障が出ないような工夫が必要になるのではないでしょうか。デモに伴う業務対応も含め、具体的なご相談がありましたら、是非お気軽に弊社までお問い合わせください。

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