п»ї 在籍証明の偽造が発覚『実録!トラブルシューティング』第89回 | ニュース屋台村

在籍証明の偽造が発覚
『実録!トラブルシューティング』第89回

4月 20日 2021年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、タイでの転職活動で一般的に使われる在職証明の偽造に関するトラブルについてご紹介します。ある日系企業B社に勤務していた経歴を持つAが、転職活動の際に提出した在籍証明の内容が虚偽である疑いが明らかになりました。具体的には、在籍証明に記載されていた在籍期間が虚偽で、実際には約半年しか在籍していなかったにもかかわらず、B社に約2年間在籍していたことになっていました。

コピーデータに虚偽修正

転職希望先へ提出する在籍証明が原本ではなくコピーデータで事足りることを悪用し、PDFデータの在籍期間の欄をAが自分で虚偽の修正をして提出していました。タイでは、過去の勤務先へ勤務態度などの人事評価について確認するのが一般的で、転職希望の会社からB社に確認の連絡が入ったことで、偽造が発覚しました。

 今回のポイントは、在籍証明の偽造に、Aが在籍していた会社が加担していたかどうかです。本件では、まず1社目の人事評価の照会の際に虚偽が発覚した後、Aが独断で行ったことを会社が証明するため、警察にAの勤務実態を記載した日報(Daily Report)を提出することで、社としては虚偽作成に加担していないことを証明しました。またAに対しては、配達記録付きの内容証明郵便を送付し、「今後も偽造行為を続ける場合は、警察へ通報する」との内容を伝達しました。

 その後、さらに2社目からB社へ人事評価の照会があったため、弁護士からAに電話をしたうえで、会話記録を録音し、自ら偽造した旨の供述を得ました。また、Aに対しては、提出済みの偽造文書の自主回収を求めました。

今回のようなトラブルは、どこの会社にも起こりうることです。トラブルが発生した際に、会社が不利益を被らないように迅速な対応を心がけましょう。また、相手への追及だけではなく、自社に責任がないことを証明することにも留意しましょう。

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