新入社員は10年辛抱すべきか
『読まずに死ねるかこの1冊』第14回

6月 24日 2016年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウォーキングとサイクリング。

「10年? それは長すぎる。せいぜい3、4年で十分さ」

商社に勤める友人とビールジョッキを傾けながら、この春に就職した僕の息子について話題が及んだ時のことだ。今春大学を卒業した息子がその数日後に地方に赴任するにあたって、僕は「とにかく10年は辛抱しろ」と言って送り出したのだった。
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「読まず嫌い」はもったいない
『読まずに死ねるかこの1冊』第13回

4月 24日 2015年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング

読書の楽しみのひとつは、それまで知らなかった意外な事実を知ることだが、毎月一定のペースでページをめくりさらに読書熱が高じてくると、次に読むべき本への読書欲がどんどんわいてきて休日のたびに書店めぐりをし、自分で作った「読書予約リスト」に基づいて買いあさるようになる。

司馬遼太郎の主だった作品群が僕の「読書予約リスト」に入ったのも、まったくジャンルの違うあるノンフィクションがきっかけだった。佐野眞一の『あんぽん 孫正義伝』(2014年、小学館)である。

いまをときめくソフトバンクの創業者である孫正義の出自や来歴を本人のインタビューも交えて詳細につづったこの1冊が2014年秋に文庫本になったのですぐに買い求めた。
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記憶にとどめておきたい昭和戦後史
『読まずに死ねるかこの1冊』第12回

6月 27日 2014年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間120冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング

東京・新宿にある国立競技場の解体作業がこのほど始まった。正式には「国立霞ヶ丘陸上競技場」というが、ラグビー愛好者らは花園(大阪)、秩父宮(東京)と並ぶ「聖地」として、「こくりつ」と呼ぶ。僕のいくつかあるウオーキングコースの中の一つは、1964年(昭和39年)に東京オリンピックの開会式が行われたこの施設の脇を通るが、ここが完成したのが、僕が生まれた58年(昭和33年)だと知ったのは不勉強なことに、解体作業が始まる前に行われた今年5月の見学ツアーに参加した時だった。

◆神々しく輝いて見えた聖火ランナー

形あるものが消失してしまうのは、はかなく哀(かな)しい。自分と同い年のこの施設には、大学対抗陸上やラグビー日本選手権などを観戦するために何度か訪れたことがある。「ラグビーフリーク」と自他ともに認める大学当時の友人は、常にゲームの中心に絡み続けることが求められるポジション「ナンバーエイト」にちなんで息子に「英斗(えいと)」と名付け、大学卒業以来ほぼ毎年、大学選手権や日本選手権の決勝のたびに上京し「こくりつ」で観戦してきた。彼ほどの愛着はないにせよ、僕はいまも時折その脇を歩きながら、数々の劇的な名場面を生み、それを見つめ、大観衆の歓喜とため息を包み込んできたこの競技場に、いたわりのまなざしを送っている。
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終わらない戦後
『読まずに死ねるかこの1冊』第11回

5月 02日 2014年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間120冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング

4月29日の「昭和の日」。東京・新宿の高層ビル群の一角、新宿住友ビルの48階にある平和祈念展示資料館を訪れた。太平洋戦争勃発(ぼっぱつ)から敗戦、その後の混乱に至る時期に関する本を集中的に読んだ時期があり、かねてぜひ訪れてみたいと思っていた。

総務省が委託して運営するこの施設には、兵士、戦後強制抑留(シベリア抑留)、満州を中心とする海外からの引き揚げに関する実物資料やジオラマが展示してある。僕はちょうど、草柳大蔵の『実録満鉄調査部(上)』(1983年、朝日新聞社)を読み終えたばかりだったので、このタイミングに訪れたのは、展示されている資料などで本で読んだ内容を確認できてよかった。好奇心がおう盛と言えば聞こえがいいが、小さい頃からやたらと野次馬根性たくましい僕は、なんでも見たい、聴きたい、行ってみたいと思ってきた。その思いが今回、また一つかなった。
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純白の八重桜と歴史のパノラマ
『読まずに死ねるかこの1冊』第10回

4月 11日 2014年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間120冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング

東京・永田町の国会議事堂の正面左手に憲政記念館がある。憲政の功労者である尾崎行雄(1858~1954)を記念して建設された尾崎記念会館を吸収して、衆議院が1972年に開館したものだ。尾崎といえば、アメリカのポトマック河畔の桜並木は彼が東京市長当時の1912年に贈ったソメイヨシノなどを元にしているが、憲政記念館の庭園にもこの春、39種類の桜の木が花をつけた。都心の一等地にありながらこれだけ多くの種類の桜が楽しめるのはここだけである。しかも、いつ訪れても人はまばらで、都心の観桜の穴場と言っていいだろう。

すべての種類の桜が一度に満開になることはないが、ソメイヨシノが散った後も「兼六園熊谷(ケンロクエンクマガイ)」や「八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)」などが見事に咲き誇り、移りゆく最後の春を楽しむことができる。東京の桜の季節が幕を閉じようとしている4月初め、僕はこの庭園の高台に立ち、そこから見渡せるところで起きた歴史的な事件を思い起こし、まさにタイムスリップしたような不思議な感慨にとらわれた。
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言葉への執着心と矜持
『読まずに死ねるかこの1冊』第9回

3月 28日 2014年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間120冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

「滝のトイレは向かって右側にあります」

もうずっと前のことだが、8年ぶりに帰国してJRの最寄りの駅で降りてトイレに行こうとしたら、自動音声でこんなやさしい女性の声のアナウンスが流れてきた。
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圧倒される丹念な取材と子細な描写
『読まずに死ねるかこの1冊』第8回

1月 24日 2014年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

第150回芥川賞・直木賞がさきごろ発表された。節目を迎えたこれら二つの賞について新聞各紙はこぞって特集を組んで紹介した。ただし、受賞作だからといって必ずしも読者の支持が高いとはいえないほか、作家の中には受賞作以外にこれといった作品が見当たらず「一発屋」みたいなところもあって、僕は関心はあるものの受賞作を直ちに読んだことはない。そして残念ながら、ずっと後になって読んでみて、期待を裏切られることも少なくない。

特に近年の受賞作は表現も内容もよく理解できないものが多く、とりわけ芥川賞については、「芸術性」なるものを重んじるあまり、ついていけないような作品が多い。文芸評論家の市川真人早稲田大学准教授は2014年1月11日付の朝日新聞紙上で、両賞について「芸術性と大衆性のせめぎあう地点にある」と解説していたが、近年の受賞作をみていると、年々その傾向は強まり、大衆性よりも(一般の読書家には理解できないような)芸術性のほうが重視されているようだ。
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異文化を受容する優しいまなざし
『読まずに死ねるかこの1冊』第7回

12月 13日 2013年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

もう30年以上も前の話だ。ルー・フィン・チャウという女性アイドル歌手がいた。谷村新司作詞・作曲の「スター誕生」という曲で1982年12月24日のクリスマスイブにデビューし、翌年12月に芸能界から突然姿を消した中国系ベトナム人の難民出身の歌手である。

彼女は、両親と弟とともに80年に来日し当時、神奈川県大和市に開設された大和難民定住促進センターで生活を始めた。父はサイゴン(現在のホーチミン)の高級クラブ、マキシムの舞台芸術監督、母は舞踊家。そんな環境もあってか、チャウは来日してまもなく、日本の芸能界に憧れを抱くようになった。
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美しくも苛酷な芙蓉の高嶺
『読まずに死ねるかこの1冊』第6回

12月 06日 2013年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

関東地方はいま、晩秋から冬へとせわしく移ろうさなかにある。昼前はとくに空が碧(あお)く、空気が冷たくて心地いい。オフィスで机に座っているのが恨めしくなるほどだ。残念ながらオフィスから富士山は見えないが、荒川をわたって東京の対岸のすぐのところに住む僕の家からは、天気がよければ見ることができるし、通勤電車の車窓からもビル群の向こうに見える。この時期の富士山は空気が澄んでいて、どこから見てもとくにきれいだ。

南米での勤務を終えて1996年に帰国した後、99年にバンコクに赴任するまでの3年ほどの間、わが家では少なくとも月に1回は富士山に出かけた。春や秋は毎週のように出かけた。都内杉並区の社宅から中央高速道を経由して車で2時間ほど。富士山は、快適なドライブと雄大な自然を提供してくれた。
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ないものねだりせず知恵を出せ
『読まずに死ねるかこの1冊』第5回

10月 11日 2013年 文化

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

軽井沢のホテルで総料理長を務める浜田統之さん(37)は今年、フランス・リヨンで開かれたフランス料理界で最も権威あるコンクール「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」フランス本選に日本代表として出場し、24カ国のシェフたちと腕を競い、日本人として初めて3位に入賞した。

コンクールは、フランス料理界の巨匠ポール・ボキューズの呼びかけで始まったフランス料理の世界No.1シェフを決める大会で、フランス料理のワールドカップ(W杯)ともいわれる。
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