п»ї ローランド・デジタル・グループ(タイランド)日系進出企業紹介『おじゃまします』 | ニュース屋台村

ローランド・デジタル・グループ(タイランド)
日系進出企業紹介『おじゃまします』

8月 15日 2013年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

「想像を超える創造を実現する」――。業務用大型プリンターなどを開発・生産するローランド・ディー・ジー(静岡県浜松市)は、初の海外生産拠点にタイを選んだ。

2011年の大洪水の余韻がさめやらぬ、同年11月に現地法人ローランド・デジタル・グループ(タイランド)を印刷関連企業が集積するバンコク近郊のサムットサコン県「シンサコン工業団地」内に設立。翌12年10月には、年産能力6000台の工場(敷地面積4万平方メートル)の本格稼働し、新興国向けの大型インクジェットプリンター「RE―640」「RA―640」を生産している。

洲崎晃社長によると、屋内外の看板やポスターなどの製作に使用される同プリンターは、中国やブラジル、アフリカなど新興国を中心に100%輸出されている。現在10~15%の現地調達率(金額ベース)も年内に30%まで引き上げる目標だ。

◆主力製品も生産

先進国向けの主力製品「VSシリーズ」3種の生産も日本の都田工場から9月より移管する予定だ。8色プリントで自動車のラッピングから柱巻き広告などまで多彩な用途に対応するほか、自由な形のサインやステッカーが作れる「プリント&カット」機能を搭載。現在56人(うち日本人4人)の従業員を80人に増員するほか、生産ラインを1本から3本とする増産体制を整えている。同社はタイを先進国と認識しており、同シリーズを国内市場に投入する考えだ。

タイに進出した理由として、整備されたインフラと物流網▽品質のよい部品の調達可能▽国民性▽税制優遇措置――などを挙げる洲崎社長は、「ASEANの中心にある地理的優位性のあるタイから経済成長が見込まれるインド、中国など新興国のニーズに合わせた製品で市場開拓を目指す」と意欲を示す。

◆「デジタル屋台」導入

生産現場には一人で組み立てを可能とする独自開発のセル生産方式「デジタル屋台」を導入し、製造コストの競争力強化や生産の効率化を図っている。作業者がPCモニターに表示されたグラフィックマニュアルを参照しながら、回転式ラックから自動的に供給される部品を使って製品を完成させていくシステムで、見学に来るタイ企業などが高い関心を抱くという。

あえて自動車産業が集まる工業団地を選ばなかったのは、人材不足が深刻化していると聞いていたからだ。また、同団地のある地域は大洪水で被災しなかったものの、同社は工場の床面を道路より約2メートルかさ上げするなど不測の事態に備える。

洲崎社長は、「現在は製造拠点だが、将来は開発や販売を視野にアジアの中心的な存在として現地スタッフと共に成長したい」と期待を込める。「社員を財産と位置づける」というモットーの下に、量産開始から1年たらずで世界の輸出拠点として「無限の想像を形にする」道を順調に進んでいる。


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