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労組は必ずしも経営陣の敵対組織ではない
『実録!トラブルシューティング』第41回

3月 07日 2017年 経済

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1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、タイの労働組合・福利厚生員会をめぐるトラブルについてご紹介します。バンコク郊外で製造業をされているA社から昨年11月に相談を頂きました。「年末のボーナスについて労働組合と話し合っている最中で、今、まさに会議中なのですが……」とご連絡がありました。予定してたボーナスの支給額に労働組合側が納得をしないとのお話ですが、まずは会社の財務諸表などを見せることで2016年の会社の状況を労働組合側に理解してもらうことから始めるように提案をしました。

◆常日頃から大切な話し合いや相互理解の場

年末を迎える前に、経営者として労働組合や福利厚生委員会とこのような話し合いの場を持った読者の方も多いと思います。まずは常日頃から従業員との話し合いや相互理解の場を持っていると、何か問題があったときにも素早く簡単に対応することが可能となります。

そもそも労働組合や福利厚生委員会は必ずしも経営陣と敵対する組織というわけではありません。日頃から良い関係を保っていれば、従業員のためにも、雇用者のためにもなる組織です。年末近くになって大変な思いをしないように、今から準備することをお勧めいたします。

タイの労働組合については、タイの労働関係法で以下の権限・職責が定められています。
 

(1)組合員の労働について要求書を提出・交渉・合意すること、および仲裁判断を受けること。使用者または使用者委員会と合意すること

(2)労働組合の規約の範囲内で、組合員の利益になる活動を行うこと

(3)求職に関して相談する組合に助言すること

(4)仕事の管理および仕事に関する問題、課題を解決するために助言すること

(5)組合員の福利または公共のために総会が適当と認める場合、金銭・財産を提供すること

(6)労働組合の規約に定める金額の加入費・組合費を徴収すること

タイ国籍を有する成人労働者10名以上が発起人になる必要があり、登記する必要があります。最近では労働組合がFacebookを持っていることもあり、労働者同士で意見交換をしたり、交渉の流れがFacebookのタイムラインにアップされたりしていることもあります。また、外部の専門家をアドバイザーとして起用し、交渉に同席をしたりアドバイスを行ったりしていることもあります。

それに加えて、以前にも紹介いたしましたが、別途、労働者保護法第96条にタイでは労働者が50名以上になった時点で福利厚生委員会の設置が定められています。タイの福利厚生委員会は、日本でいうならば経営協議会、労使協議会にあたる組織で、労働組合とは別になります。福利厚生委員会とは以下を目的とする組織となります。

(1)労働者に対する福利厚生の提供について雇用者と協議すること

(2)労働者に対する福利厚生の提供について雇用者に提案、勧告すること

(3)労働者に対する福利厚生の提供について調査、審議すること

(4)労働省福利厚生員会に対して労働者の福利厚生政策について意見、指針を提案する

◆月1回程度の労使協議が理想的

50名以上の労働者を有する会社においては、労働者を代表する5人以上の委員で構成されます。雇用者は少なくとも3カ月に1回は福利厚生委員会との会議を開催し、労働者の福利厚生に関して協議しなければなりません。理想としては、月に1回程度、経営陣と労働者側との話し合いの場を設け、コミュニケーションを図ってください。また福利厚生委員総数の過半数、もしくは労働組合に正当に要求された場合には、福利厚生委員会との会議を開催することが義務付けられています。

小規模な会社では軽視してしまいがちですが、まずは、タイの労働法に則り、福利厚生委員会を設置することは大前提です。そして、経営陣と雇用者が敵対関係に陥ることが無いよう、何かあった時ではなく、普段からこまめに気にかけて相互理解の機会として位置づけるよう心がけましょう。

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