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だれも避けられぬ永訣の時
『読まずに死ねるかこの1冊』第3回

8月 23日 2013年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

2年前の暮れ、大学時代の友人Aさんの「お別れ会」に出席した。

Aさんは同じクラスで、2人しかいなかった女子のうちの一人だった。いまなお携帯電話の電波が通じない不感地帯にある兵庫県の寒村で生まれ育った僕は入学当時、とにかく東京の生活に慣れるのが精いっぱいで、同じクラスの女子に声をかけるほどの気持ちの余裕はなかった。Aさんは遠い存在だった。ところが、偶然にもサークルも同じだったので教室の外で会ったり話したりする機会が増え、成績優秀だった彼女から試験前に出題されそうなところを教えてもらったり、ノートをコピーさせてもらったり、一方的に世話になった。
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なくならない経済的不平等
『教授Hの乾坤一冊』第3回

8月 15日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

自由・平等・博愛はフランスの標語としてあまりにも有名である。もちろん、フランスでは自由・平等・博愛のどれも欠かせないという意味だろう。だが悩ましいことに、博愛は別として、自由と平等が手に手を取り合いながら仲良く歩んでいくかというとそうでもない。

たとえばアメリカは自由な国の象徴のようなものだが、必ずしも平等な社会とは言えない。確かに政治的には平等な社会かもしれないけれど、経済的には不平等が支配しているように思えるからだ。毎年10億円を超える給与をもらい退職時には100億円以上の退職金を手にする最高経営責任者(CEO)がいるかと思えば、教会の無料給食に列をなす人々も多数いる。プール付きの大邸宅に住む人がいるかと思うと、ホームレスとして街をさまよい歩く人もいる。そのギャップはどう見ても大きすぎる。
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日本を等身大に映し出す日系人の歴史
『読まずに死ねるかこの1冊』第2回

8月 08日 2013年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

ふだん一般開放されている皇居東御苑には木々に覆われるように立つ平屋建ての休憩所が3カ所にあり、このうちの2カ所ではいつも天皇皇后両陛下の国内外の訪問の様子などを伝えるビデオが流されている。僕は休日、ウオーキングの途中に大手門に近い大手休憩所で休むことが多く、何種類かあるそのビデオはどれも繰り返し見ている。

見るたびにいつも目頭が熱くなるのが、いまの天皇陛下が皇太子時代の1978年、サンパウロ市内のパカエンブー競技場で行われた日本人移民70周年の記念式典にご夫妻で出席された時の日系人の熱烈な歓迎ぶりを伝えるビデオである。その数、実に8万人超。入植するためにブラジル各地に散った移民の家族らがスタンドで大歓声とともに日の丸の小旗を振って出迎えた。競技場全体が、歓喜で揺れ動いているように見える。
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思想は死んだのか
『教授Hの乾坤一冊』第2回

8月 02日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

偉大な思想家がその後の信奉者たちによってどのように解釈され、継承されていったのか見るのは面白い。イエス・キリスト(仮に彼を思想家と呼ぶのが許されるのなら)は使徒たちに、そしてクリスチャンたちによって教祖化され、布教の対象となった。カール・マルクスはマルクス主義者たちによって学問化されると同時に政治思想化され、また闘争の武器となった。しかしもっと身近なところで考えると、吉本隆明が「吉本主義者」たちにどのように受け止められ、広められていったのかということの方がずっと面白いかもしれない。

幸か不幸か、私は「吉本教」の信者ではない。そういう人間から吉本教信者を見ると、興味深さとともにある種の違和感を覚える。クリスチャンがイエスをあがめるように、またマルキストたちがマルクスを崇拝するように、吉本教信者は吉本の一言一句を必死で読み取り、あがめるようにしてそれを人に伝えようとする。なぜなのか、これが不思議でならなかった。
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タックス・ヘイブンの悪魔
『教授Hの乾坤一冊』

7月 17日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

最近、国税庁がケイマン諸島などのタックス・ヘイブン(租税回避地)に財産を持つ日本人のリストを大量に入手し、脱税などの事実がないか調査するというニュースがあった。いよいよ始まったかという思いがする。一部の富裕層や企業、スポーツ組織、そしてマフィア、テロリストまでもがタックス・ヘイブンを利用し、資金を運用している。今、日本でもようやく巨悪の実態が明らかにされようとしている。

タックス・ヘイブンの役割は、おもに2つある。第1の役割は、自分の国で運用すると課税されてしまう資金を、ケイマン諸島のような特定の地域で運用することによって非課税のままにしておくというものだ。これは節税目的なのだが、実は脱税と言ってもよい行為がほとんどなのだ。
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人は死ぬまでに何冊読めるか?
『読まずに死ねるかこの1冊』

7月 17日 2013年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

人は死ぬまでに、いったい何冊の本を読めるだろうか。単純に計算してみよう。人生を100年とし、誕生から死没の瞬間まで識字年齢を無視して年間読書量を100冊と仮定すると、計1万冊になる。しかし、一生のうちに読める本は現実的には、せいぜい5000冊がいいとこだろう。

出版科学研究所のデータによると、2011年の新刊発行点数は7万5810点に上る。新刊発行点数は00年以降、7万台を維持しており当面、この数字に大きな変化はないとみられる。このデータで勘案すると、人が一生かかって読める本は、1年間の新刊発行点数の7%前後にしか満たないことになる。
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