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日本を破壊するブラック企業
『教授Hの乾坤一冊』第11回

12月 06日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

ある日新聞広告を見ていたら目に留まったのがこれから紹介する本、今野晴貴著『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文藝春秋、2012年)である。自分の無知をさらすようで誠に恥ずかしいのだが、それまで私は「ブラック企業」という言葉を知らなかった。一体どんな企業だろうと思って大学生協に注文し、手にしてようやくその意味するところがわかったわけである。

ゼミの学生に聞いたらもちろん全員がこの言葉を知っていた。なかには、本書にも出てくる居酒屋チェーン店Wの名前をブラック企業の代表例として声に出して挙げる学生もいた。就職活動をする学生は、ブラック企業に就職してしまったら命取りになるから、知らないはずがないのである。そんなことも知らないでいたとは、私は実にのんきな教師だ。
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美しくも苛酷な芙蓉の高嶺
『読まずに死ねるかこの1冊』第6回

12月 06日 2013年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

関東地方はいま、晩秋から冬へとせわしく移ろうさなかにある。昼前はとくに空が碧(あお)く、空気が冷たくて心地いい。オフィスで机に座っているのが恨めしくなるほどだ。残念ながらオフィスから富士山は見えないが、荒川をわたって東京の対岸のすぐのところに住む僕の家からは、天気がよければ見ることができるし、通勤電車の車窓からもビル群の向こうに見える。この時期の富士山は空気が澄んでいて、どこから見てもとくにきれいだ。

南米での勤務を終えて1996年に帰国した後、99年にバンコクに赴任するまでの3年ほどの間、わが家では少なくとも月に1回は富士山に出かけた。春や秋は毎週のように出かけた。都内杉並区の社宅から中央高速道を経由して車で2時間ほど。富士山は、快適なドライブと雄大な自然を提供してくれた。
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日本の農業を破壊したのは誰か
『教授Hの乾坤一冊』第10回

11月 22日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

日本の農業は謎だらけだ。たとえば1990年代、ガット・ウルグアイラウンド(関税および貿易に関する一般協定の多角的貿易交渉)の農業交渉で日本がオレンジ・牛肉の自由化に踏み切ったとき、「これでミカン農家も畜産農家も壊滅的打撃を受ける」という声高な批判があった。私も大いに危惧したものだ。しかしそのようなことは起きなかった。今でもおいしいミカンを食べられるし、和牛に至っては世界から注目されている。批判の根拠がなんだったのか今もって謎だ。

もう1つの大きな謎は米だ。米の輸入自由化には各層から反対が巻き起こり、「1粒たりとも米入れず」などという戦争中のようなプロパガンダさえ掲げられた。輸入を最小限に抑えるために、現在では輸入米には800%近い関税がかかっている。その結果どうなったのか。米作のプロ化は遅々として進まないばかりか、農業就労者は高齢化するばかりだ。1961年の農業基本法が目指した農業のプロ化、すなわち主業農家育成が遅れているのが米作なのである。プロ化の進んだ畜産とは大違いだ。なぜなのだろうか。
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新しい民主主義社会をめざして
『教授Hの乾坤一冊』第9回

11月 08日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

行政は一度決定した計画を変えない。計画が大昔作られたもので、現状がどんなに当初と変わっていても、そのまま実行しようとする。そんな例はどこにでもある。こうして、大多数の市民にとって不必要であるばかりか迷惑でもあるような道路や施設が平然と造られる。市民はそれを半ばあきらめをもって受け入れる。私もその一人である。

しかし、國分功一郎著『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』(幻冬舎新書、2013年)を読んで少し考え方を変えるようになった。市民の声をなんらかの形で行政に反映させないと、不必要な建築物や道路で溢れかえるばかりでなく、民主主義の根幹が脅かされる可能性があることに気づかされたからである。
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急増するLINEユーザー
『トラーリのいまどきタイランド』第2回

11月 01日 2013年 文化

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トラーリ

寅年、北海道生まれ。1998年よりタイ在住。音楽やライブエンターテインメント事業にたずさわる。

2年ほど前だろうか。iPhone 4を購入し数カ月が過ぎたころの話だ。「LINE(ライン)、使っていないのですか?」とアシスタントのローカルスタッフの女性に言われた。彼女の手元にあるスマートフォンをのぞいてみると、ショートメッセージに見慣れないキャラクタースタンプが並んでいる。「ライン? 使ったことないわね」との返事に、彼女は「日本発のアプリなのに、日本人が知らないのですか?」と笑った。その日以来、わたしのスマートフォンに、緑色のアプリが加わった。

いま、タイのLINEユーザー数は約1800万人と言われている。タイ人に人気の理由は「フリー(無料)」。有料サービスである携帯のショートメッセージと同じ機能が全て無料なのだから、使わないほうが損、という感覚だ。もう一つには、タイ人の遊び心をくすぐるユニークで可愛らしいスタンプのキャラクターである。まさに「タイ人のつぼにはまった」と言えよう。
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一歩踏み出すために
『教授Hの乾坤一冊』第8回

10月 25日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

私は本を選ぶ際にちょっとしたルールを自分に課している。それは、今はやっている本、ましてやベストセラーは読まないというルールである。仮に読むとしても、流行が廃れてからゆっくり読む。世評に促されたような形で読むのは潔くないという妙な美意識があるからかもしれない。

だが、かたくなに守ってきたこの禁をとうとう破ることになった。ベストセラーであるシェリル・サンドバーグ/著、村井章子/訳の『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』(日本経済新聞出版社、2013年)を読んだのである。何気なく手にし眺めているうちに、結局最後まで目を通すことになった。ちょっと読み始めたら、つい夢中になって、やめられなくなってしまったのだ。
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人は何を記憶し、何を忘れるか
『教授Hの乾坤一冊』第7回

10月 11日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

この8月のことだ。イスラエルの元高官が広島と長崎の平和記念式典についてとんでもないコメントをフェイスブックに書き込み、物議をかもした。2つの都市への原爆投下は「日本による侵略行為の報い」であり、犠牲者追悼の平和記念式典は「独善的でうんざりだ」というのだ。この問題外の発言に日本政府は抗議し、この高官は停職となっているという。

この部分だけを見ると、「問題外」と一刀両断に切り捨てて当然のコメントだ。だが、コメントの最後にどうしても切り捨てられない部分がある。それは、「日本が追悼すべき相手は、(日本の)帝国主義や大量虐殺の犠牲となった中国人、韓国人、フィリピン人らだ」という一文である。
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ないものねだりせず知恵を出せ
『読まずに死ねるかこの1冊』第5回

10月 11日 2013年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

軽井沢のホテルで総料理長を務める浜田統之さん(37)は今年、フランス・リヨンで開かれたフランス料理界で最も権威あるコンクール「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」フランス本選に日本代表として出場し、24カ国のシェフたちと腕を競い、日本人として初めて3位に入賞した。

コンクールは、フランス料理界の巨匠ポール・ボキューズの呼びかけで始まったフランス料理の世界No.1シェフを決める大会で、フランス料理のワールドカップ(W杯)ともいわれる。
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Jポップブーム再来を願いつつ
『トラーリのいまどきタイランド』第1回

10月 04日 2013年 文化

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トラーリ

寅年、北海道生まれ。1998年よりタイ在住。音楽やライブエンターテインメント事業にたずさわる。

8月下旬、「ソニック・バング2013」という音楽イベントを視察した。このイベントは、タイの大手イベントオーガナイザー「BEC TERO ENTERTAINMENT」の主催による、国内外のアーティスト30組が集結する大規模な音楽フェスティバルだ。

会場の「インパクトアリーナ」は、バンコク市内から車で約45分。東京都心から幕張メッセへ移動するようなイメージである。展示会やコンサート、ミュージカルなど多くのイベントが開催されるこの会場には、私はこれまでに100回以上は訪れたことがある。
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科学と現代
『教授Hの乾坤一冊』第6回

9月 27日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

いきなり私事で恐縮だが、私は旧大山(おおやま)街道(現在の国道246号線)沿いにある神奈川県のとある町に住んでいる。古い宿場町で、現在では都市化が進んでいるもののまだまだ田舎の雰囲気のある町である。この辺りは地形が独特で、少し歩くとすぐわかるように高台と低地とが交互に入り組んだように現れる。時にはだらだら坂を登るハメになるが、歩く気分は悪くない。

そんな地理的条件のせいだろうか、かろうじて開発を逃れた緑や水辺の生物相は豊かだ。うっそうと葦が茂る谷戸(やと)では、カエルの大合唱が楽しめる。トンボもたくさんいて、時にはオニヤンマも飛んで来る。運がいい場合には、キジやカワセミを見ることもできる。
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