那須圭子(なす・けいこ)
フリーランスのフォトジャーナリスト。1960年、東京生まれ。山口県在住。20年間、山口県上関町に計画される原発建設に反対する人々をカメラで記録してきた。それを知らない占い師に「あなたは生涯放射能と関わっていく」と言われ、覚悟を決めた。人間より、人間以外の生きものたちが好きな変人。
2020年オリンピック・パラリンピックの開催地が決まった9月8日の朝、テレビをつけた私は、「ト・ウ・キ・ヨ・ウ」とロゲ国際オリンピック委員会(IOC)会長が発音する口元を見て、「はぁ~?」と思わず大きな声を出したまま、文字通り開いた口がふさがらなかった。
前夜、安倍首相がIOC総会のプレゼンテーションの場で、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水漏れについて「状況はコントロールされており、(汚染水は)東京には何の影響も与えない」「汚染水の影響は原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」などと国際社会に向けて「大ウソ」をついたのを見て、相当驚いてはいたものの、まさかそれを鵜呑みにするほどIOCが愚かだとは思っていなかったのだ。
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