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なぜ日銀の国債購入は財政ファイナンス酷似といえるのか
国の負債超過700兆円を日銀が支える構図に
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第78回

10月 07日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

日本銀行は、異次元緩和の11年間に、国債保有額を約465兆円増やした。この間の新規国債発行額が約518兆円だったので、財政赤字の約9割を日銀が面倒みた計算である。

この国債購入をめぐっては、「財政ファイナンスとほぼ同等」とする見方と、「あくまで物価目標の達成のために行うものであり、財政ファイナンスには当たらない」とする日銀の見解が対立してきた。

日銀が、財政ファイナンスを意図して国債を購入したわけでないのは明らかだ。しかし、あまりにも巨額の購入を続けたために、経済機能的にみて財政ファイナンスとほぼ同等となったことも間違いない。これを国と日銀のバランスシートから確認してみよう。 記事全文>>

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日銀の「基調的な物価上昇率」は本当に基調的なのか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第77回

9月 09日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

日本銀行は、2016年以来、「生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価」(いわゆるコアコア消費者物価、以下「コアコア指数」)を「基調的な消費者物価」と呼び、重視する姿勢を示してきた。

「展望レポート」(経済・物価情勢の展望)の物価見通しにも、従来の「生鮮食品を除く消費者物価」(いわゆるコア消費者物価、以下「コア指数」)に加え、20年4月からコアコア指数を参考指標として掲載してきた(ただし、21年4月からの1年間は掲載せず)。

24年3月の金融政策決定会合では、消費者物価の基調的な上昇率が「物価安定の目標に向けて徐々に高まっていく」としたうえで、「見通し期間終盤(筆者注:2026年度)にかけて『物価安定の目標』が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」との理由を挙げ、異次元緩和を解除した。

しかし、物価の動向を客観的に眺めれば、コアコア指数が物価の「基調」を表しているようには見えない。エネルギーや生鮮食品を計算から除外するために、物価の判断が歪(ゆが)められているように見えてならない。 記事全文>>

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日銀の国債購入の減額計画を考える
大切なのは基本方針と長期ビジョン
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第76回

7月 10日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

 

 

日本銀行は、6月の金融政策決定会合で、国債購入の減額方針を決定した。

今年3月の異次元緩和解除の時点で「これまでとおおむね同程度の金額(月間6兆円程度)を買い入れる」としていた方針の変更である(注)。7月末に開催される次回会合で、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決めるという。

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「消滅可能性都市」の虚実
全国の問題を地方の問題と取り違えるな
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第75回

6月 12日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

今年4月、民間の有識者による人口戦略会議が「令和6年・地方自治体『消滅可能性都市』分析レポート」を公表した。3か月前に公表した「人口ビジョン2100」に続くレポートで、2014年に日本創成会議が行った試算のアップデート版である。

試算結果では、1729自治体中744が消滅可能性都市に該当するという。

10年前は1799自治体中896がこれに当たるとされ、この試算をきっかけに、多額の財政資金が地方に投入された。いわゆる「地方創生」である。 記事全文>>

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FRBはなぜ利下げに慎重なのか
外国為替市場が意識する日米物価格差
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第74回

5月 15日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

円相場が下落している。4月末には一時1ドル=160円超えまで円安が進んだ。

背景には、日米の金融政策の違いがある。本稿では、両国中央銀行のスタンスを少し深掘りしてみよう。

 ◆米国の物価上昇率2.0%は物価安定の分水嶺

米国では、昨年秋に高まった利下げ観測が後退している。たしかに、米国景気は予想以上に強い。コアPCEデフレーター(食料品、エネルギーを除くPCE<個人消費支出>デフレーター)の前年比も、2022年(平均)の5%台から2023年末に3%を切る水準まで低下したものの、今年に入った後は下げ止まっている。 記事全文>>

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「東京一極集中」論はいまや的を外している
国外からの人口流入で28都道府県が「流入超過」に
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第73回

2月 06日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

1月末、2023年中の「住民基本台帳 人口移動報告」が公表された。報道は、引き続き「東京一極集中」論が多かった。①東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の流入超過に対し、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)は流出超過にあること②都道府県別にみても、流入超過は東京圏4都県、大阪、福岡、滋賀の7都府県に限られること――などが根拠である。 記事全文>>

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金融正常化に立ちはだかる厚すぎる壁
日銀はバランスシートの偏りを克服できるか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第72回

1月 17日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

市場では、日本銀行のマイナス金利政策の解除が近付いているとの見方が多い。前年比2%を超える物価が続いている以上、マイナス0.1%の短期金利の解除は自然だろう。

日銀が金融の正常化に着手した後に直面するのは、バランスシートの問題だ。バランスシート上の日銀資産は、前回量的緩和の解除を行った2006年3月に比べ、規模が膨らんだだけなく、残存期間が顕著に伸びている。 記事全文>>

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名目賃金がほとんど上がらない謎
「賃金と物価の好循環」ははるかに遠く
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第71回

11月 15日 2023年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

日本銀行は、10月末の金融政策決定会合で長短金利操作(YCC)を再修正し、長期金利が上限めど1%をある程度超えることがあっても、容認する場合があるとの姿勢を示した。

一方、マイナス金利をはじめとする大規模な金融緩和の大枠は維持した。日銀の公表文では、「『物価安定の目標』の持続的・安定的な実現という観点から、賃金と物価の好循環など経済・物価情勢の変化を丹念に確認していく」としている。

では、足元の「賃金と物価の関係」はどうか。関係を端的に表す実質賃金指数は、18か月連続で前年比マイナスに沈んでいる。直近9月(速報)の前年同月比もマイナス2.4%と、到底「好循環」とは言えない状況にある。

春闘で大幅な賃上げが実現した際には、夏場にも「好循環」が確認されるとの観測もあったが、的外れだった。一体、何が起きているのだろうか。 記事全文>>

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コロナ禍前とは違うコロナ禍後の労働市場
対照的な男女の労働力人口比率に潜む光と陰
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第70回

10月 09日 2023年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

2020年、新型コロナショックが労働市場を直撃した。とくに打撃を受けたのが、非正規の職員だった。飲食業や宿泊業など、パート、アルバイトに多くを依存する産業が軒並み売り上げを落とし、雇用を削減した。

あれから3年半。コロナ禍の収束とともに、就業者数はコロナ禍前の水準をほぼ回復した。

潜在的な労働力を示す労働力人口比率(注)も、上昇を続けている。同比率は、2010年代前半にかけて50%台後半まで低下したものの、その後は反転。コロナ禍による足踏みがありながらも、現在は1990年代なかばの水準まで回復している(1968年65.9%→2012年59.1%→2023年8月63.1%)。しかし、同比率の男女別、年齢階層別の内訳を見ると、手放しでは喜べない現実も浮かび上がる。 記事全文>>

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賃金と物価は本当に「好循環」なのか?
日銀のレトリックに潜む危うさ
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第69回

9月 13日 2023年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

日本銀行は、2022年春に物価が目標の2%を超えて以来、物価と賃金の「好循環」を見極める姿勢を強調してきた。現在の基本方針も、「賃金の上昇を伴うかたちで、2%の 物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指す」だ。

「物価2%の安定的な達成」に、事実上「物価と賃金の好循環の確認」という条件が加わった。おかげで、消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下同じ)が11か月連続して前年比3%を超えても、日銀は金融緩和の修正に踏み切らない。実際、実質賃金は前年比マイナスが続き、到底「好循環」とは言えない状態にある(参考参照)。

しかし、過去、中央銀行を悩ませてきたのは賃金と物価の「悪循環」の方だった。その可能性には一切言及しないまま、あたかも「好循環」だけが起きるかのような説明を繰り返すのは、なぜだろうか。 記事全文>>

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