引地達也(ひきち・たつや)
仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。一般社団法人日本コミュニケーション協会事務局長。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。
◆節目ではなくきっかけ
東日本大震災から3月11日で3年。それは「節目」と呼ばれる日付である。しかし「節目」と言って被災地の現場を歩くと、「何が節目か」とおしかりを受ける。この先も続く復興を見据えると途方もない仕事があり、「3年」はただの数の積み重ねと通過点。被災地から遠い者たちが「節目」と叫ぶのは、「忘れない」という自戒だったり、何もできないエクスキューズだったり、それぞれの「節目」には、それなりの意味がある。私自身は、自戒とともに、都会で消え入りそうな被災者の思いをつないでいくための、きっかけだと考えている。
この「節目」。メディアや行政をはじめとするわれわれ国民は、好物の一つである。肩組み合って、もしくは寄り添って暮らす日本人にとって、絆が呪文のように叫ばれたと同じように、「節目」で国民の意思を統合しようとする引力が働く。
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