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ユニバーサル野球がつくるインクルーシブな未来
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第233回

5月 02日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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「打ちました!2ベースヒット、2点です!」「残念!アウトです!」。

実況する声がグランド上に響く。その度にベンチに陣取った両軍の「選手」たちが歓声を上げる。そして次に打席に立つ選手に声援を送る――。

桜満開でも花冷えがするサッカー場で行われたのは、誰にでも楽しめるユニバーサル野球。約3メートル四方の野球盤はバネで固定されたバットの留め具をひもで引っ張ることで打つことができるから、微細な力でも選手として打席に立ち、打つことができる仕組みである。

ベンチの歓声を盛り上げる実況と打席に立つ選手の名前を伝えるアナウンスに、太鼓のリズムとメガホンで声援を送る声がそれに続く。巨大な野球盤を囲んだその劇場は誰もが楽しめる演出で盛り上げられ、ユニバーサル野球が参加者の関わり方によってインクルーシブな未来を描くことを示している。 記事全文>>

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大学での知的障がい者の学びはつながってこそ価値が出る
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第232回

4月 25日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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75%が公開講座等実施

知的障がいのある人が特別支援学校を卒業した後も学べる環境を整備するために、少しずつではあるが全国の大学での取り組みが広がっている。文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課にある障害者学習支援推進室が外部機関に委託した調査によると、生涯学習講座を設置している大学の125件からの回答のうち75%が現在、「知的障害者を対象としたオープンカレッジ・公開講座等」を実施し、25%が講座を「過去実施していた」という。

このうち受講生の評価を行っていないのが82・5%、それぞれの大学が「連携している大学はない」のが77・5%であるから、各大学が「独自に」「評価を行わない」形での障がい者の学びを行っている輪郭が示された。 記事全文>>

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孤独感の中の障がい者の学びに感動をもう一回
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第231回

4月 18日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆社会全体で「学び」を認識

文部科学省の委託研究事業「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」を委託している全国22の団体を対象にしたウェブ上の交流会は、文科省の委託を受け私たち、みんなの大学校が事務局となり、2021年度事業として運営してきた。

委託団体は障がい者が学べる環境を整備するための先進的な取り組みを行う全国の地方自治体、教育委員会、大学、社会福祉法人やNPO法人、医療法人で、交流会は学びを推進するコアメンバーがオンライン上で集まり、文部科学省の担当者も交えて意見交換する場である。交流会の全4回が先日終了した。私自身は運営側でありがら、障がい者の学びの今を確認し、来年度に向けての道筋を考え、形作り始めるための大きな学びを得た機会となった。障がい者の学びへのアプローチは複数のトラックが存在しているが、それぞれに課題は多い。社会全体で「学び」の認識やイメージをあらためなければならないのが、引き続いての大きなテーマである。 記事全文>>

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訪問する支援の重みとこの社会での尊さ
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第230回

4月 11日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆社会を支える

今年初め、埼玉県ふじみ野市で訪問医療の地域の中心的存在だった医師が、患者の家族によって射殺された。死亡した90代の母親の治療をめぐってのトラブルとの報道がなされている。事件のあった現場の地域には私も支援している方が住んでおり、支援のために訪問する現場。あらためて「訪問する」という支援行為の意義を考えながら、この医師の行動の尊さをかみしめて、冥福を祈りたい。

それは私たちが安心して医療や支援を受けられ、そして提供者も安心して活動できるようにするためでもある。特に超高齢化社会にあって訪問医療をはじめとする訪問支援はますます必要となっているが、この「訪問」という行為は新型コロナウイルスにより人との接触が制限されることでの行動変容が進む中で、社会のコミュニケーションを支えていることも意識したい。

その自覚を社会全体で共有し、高齢化とコロナ禍の二つの波に対応する適切なコミュニケーションを考えていければと思う。 記事全文>>

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インクルーシブな学びに向けた各論の面白さと楽しさ
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第229回

4月 04日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆柔らかい議論を

2月26日に行われた「共に学び、生きる共生社会コンファレンス関東甲信越」について、前回は全体会での当事者の声を中心に紹介したので、今回は分科会での各論を報告したい。

分科会はメーンテーマである「障害者の生涯学習の未来を創造する―『学び』を通じた共生社会の新たな流れ―」を構成する要素として考えられており、四つの分科会の大きなテーマは「担い手育成」「特別支援学校からの継続性」「地域でのつながり」「社会・はたらきとの接点」である。

障がい者の学びをテーマにすると、どうしても「学び」のイメージが堅苦しく、何らかの学習という型に入れようとの感覚が先立ってしまうが、未来を創造するには柔軟な発想が必要で、分科会では二つのコーディネーターを文部科学省の担当者に「柔らかく」仕切ってもらいながら、多くの方に柔らかい新しい一歩に向けての議論が出来たのではないかと思う。 記事全文>>

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共生社会コンファレンスで得られた当事者の声
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第228回

3月 28日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆年々広がる議論

2021年度の共生社会コンファレンス関東甲信越が2月26日に東京都国分寺市の本多公民館をメーン会場にしてオンラインで開催された。主催は文部科学省、国分寺市教育委員会と私たち、みんなの大学校。私自身、このコンファレンスは初回の2年前から3年連続で主催しているが、各年で問題が抽出され、その解決に向けて議論が深まり、そして広がっているような気がしており、今回も一日を通じた基調講演や当事者の発表、分科会での議論は確実に未来に向かう一歩であると受け止めている。

会場に「インクルーシブ」にいろいろな人が集まってできればとの思いを残しつつも、前に進んでいる実感とともに、来年度にバトンを渡せそうだ。参加者のみなさん、登壇者のみなさん、関係者のみなさん、ありがとうございました。

コンファレンスが始まった2年前、東京大学を会場に集合型で開催された際のテーマはとにかく「インクルーシブ」な学びを知らせようとの思いが強く、総花的なテーマ設定で多くの人の新しい枠組みを喚起した。今思えば少々力んでいたような気がする。

それを引き継いだ昨年は、その「学びの実践」の中でも伝統的に活動してきた分野である「社会教育」にスポットを当てて議論した。 記事全文>>

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共生社会コンファレンスで障がい者の学びを共有したい
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第227回

1月 31日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆テーマは「未来を創造する」

 文部科学省が障がいの有無にかかわらず、誰もが必要な時に学ぶことができる生涯学習社会の実現を目指し、全国各地で地域の団体と共催し「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」を開催している。全国8ブロックに分かれての開催のうち関東甲信越ブロックでは、みんなの大学校と共催し、2月26日に東京都国分寺市の本多公民館をメーン会場にハイブリッドで行う予定だ。

メーンテーマは「障害者の生涯学習の未来を創造する~『学び』を通じた共生社会の新たな流れ~」。これまでの障がい者の生涯学習を振り返った上で新しい学びと共生社会の在り方について考える。基調講演と四つの分科会、「学び」の主役である障がい当事者の声を発信する機会も大事にし、障がい者の生涯学習の未来を考えていきたい。

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時間を「分配」することで社会に向けた適切な準備を
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第226回

1月 24日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆特別支援学校の3年間

特別支援学校を卒業後、障がい者雇用で一般企業に働いたものの、新型コロナ禍による業績悪化で雇用止めに遭い、再就職できないケースを最近立て続けに見てきた。障がい者雇用で働いていた環境から社会に放り出され、何もない状態の不安の中で周囲との人間関係につまずき、精神的にダメージを受けるケースとなる。

事情を聴きながら、当事者と接してみると、特別支援学校高等部の3年間にもう少し、社会に対応する力を身に着けることはできなかったのかとの思いに至ることがある。特別支援教育の「教育年限延長」の主張をしていた、障がい者の教育を保障しようとするグループの考えである。

昨今の「分配」を語る政権は所得を視野に政策を展開するのだろうが、機会の分配という視点で、この「年限延長」もまた、障がい者の社会での自由な活動を保障するための策として考えられないだろうか。「分配」の一環としてとらえることができれば、多くの可能性を喚起していくはずなのだが。

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学びで「開かせる」ためのプレーヤーを求めて
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第225回

1月 17日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆歴史・継承・発展

文部科学省の障がい者の生涯学習を推進する事業を進める中で、今年度の「市民と障がい者が学び合う」というコンセプトのオープンキャンパスは終了し、来年度に向けての構想を練り始めている。オープンキャンパスに見学に来ていた東京都教育庁から過日、インタビューを受けて、自分が数年やり続けていることを都内で自然発生的にできないかという発想に行き着く。

都教育庁では社会教育の枠組みで障がい者の生涯教育を考えてきており、公民館を舞台に障がい者が地域で学ぶ「青年学級」が全国に先駆けて始まった歴史がある。今後は歴史の継承と発展が課題だ。

その未来を描く時に、障がい者側のニーズはひしひしと感じながら、問題は誰がそれを担うかである。「みんなの大学校」のキャッチフレーズでもある、関わる人が「開く」ための学びを実施するプレーヤーがいないのである。教育・産業・福祉などの各分野にまたがるこの「障がい者の学び」のプレーヤーを作るという視点での取り組みが急務だ。

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オープンキャンパスの扉を開き続けるということ
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第224回

1月 10日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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4年目の挑戦

文部科学省の障がい者の生涯学習を推進する事業の一環である、市民と障がい者が共に学ぶ「オープンキャンパス」が先般、東京都国分寺市の本多公民館を主会場に、兵庫県西宮市の会場とを結んで行われた。今回はコロナ禍の中で大々的な参加者の呼びかけは行わず、国分寺市の青年学級「くぬぎ学級」のメンバーやみんなの大学校の学生や関係者などが集まったが、結果的に障がいの種類も様々な方々が集まり、「支援者」「要支援者」の立場であっても、同じテーブルについて学び合った瞬間にインクルーシブな「学び合い」を目指した。

誰もが学び合える「場」をどのように作るのか、という国としても、社会にとっても、大きな課題に向けたこの取り組みは、私にとっては4年目の挑戦。少しずつではあるが、その形が浮かび上がってくるような気がしているが、まだまだ緒に就いたばかりだ。

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