コロンビアでの邦人誘拐事件 その回想
『記者Mの外交ななめ読み』第14回

10月 14日 2016年 国際

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味はサイクリング。

2016年のノーベル平和賞が、コロンビアの左翼ゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC)」との和平合意をもたらした同国のフアン・マヌエル・サントス大統領(65)に授与されることが決まった。FARCとの間で最終合意された和平内容は、ノーベル平和賞決定のわずか5日前の10月2日に行われた国民投票で否決されたばかりだが、内戦終結に向けた大統領のこれまでの努力を評価するとともに、停戦合意の順守と和平協議の継続を促す政治的な意味をもっている。

今回、僕が書くのは、ノーベル平和賞についてではない。FARCが起こした日本人誘拐事件とその人質の解放交渉を取材した当時の私的な回想である。
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ASEANの舞台で歴然とした日中の外交力の差
『記者Mの外交ななめ読み』第13回

7月 29日 2016年 国際

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味はサイクリング。

「世の中にはいろいろな人がいて、あなたの好きは、だれかの嫌いかもしれない」。この夏、東京都内を走るJR山手線の車内広告でこんなキャッチコピーが目にとまった。広告主はJT(日本たばこ産業)。ごくごく当たり前の内容だが、真っ白な紙の上に黒い文字でただこれだけ書かれていると妙に気になる。

このコピーを目にしたのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議がラオスで開かれた7月25日。ASEAN域内各国の思惑や、最悪期こそ脱したとはいえ相変わらず冷え切ったままの日本と中国の関係をそのままコピーの中の「あなた」と「だれか」に置き換えてみると、今回の外相会議で最大の焦点だった南シナ海の領有権をめぐる問題の解決は、なかなか一筋縄ではいきそうにないと改めて思えてきた。
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難民に不人気な日本にいまできること
『記者Mの外交ななめ読み』第12回

10月 23日 2015年 国際

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウォーキング。

9月のシルバーウィークを利用して、妻とともにオーストラリア・シドニー郊外にある義母宅を再訪した。20年ほど前に訪ねた時と同じ場所だが家屋は建て替えられ、日本ではいわゆる豪邸の部類に入るかなり広くてしゃれた洋館である。正直驚いたが、それがにわかに、「日本ではどんなに逆立ちしてもこんな家には一生住めないだろうな」という羨望(せんぼう)と、「よくぞここまで頑張ってこれたものだ」という敬意にも似た感慨がない交ぜになった。

◆難民だった妻と家族

中国系ラオス人の妻も、妻の家族もみな、元難民である。1975年のベトナム戦争終結に伴う政治的混乱は隣国のラオス、カンボジアにも飛び火し、彼らの母国ラオスでは同年、王政が倒され、以来、人民革命党による一党独裁となった。同党は当初、国民に「政治的再教育」を強要し、それまでの自由や資本主義経済を謳歌(おうか)していた富裕層や華僑系の人たちは深刻な政治的迫害というよりも経済的な窮屈さや生活面での息苦しさなどから、母国脱出を企てるようになった。
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外交官と新聞記者の「守・破・離」
『記者Mの外交ななめ読み』第11回

4月 17日 2015年 国際

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

外交官として某国の日本大使館に勤務する知人は、剣道の猛者である。その彼にかつて「打って反省、打たれて感謝」の意味を尋ねたところ、「待っていました」とばかり懇切丁寧に答えてくれた。

僕は小学生当時、先生1人児童1人の分校に通ったが、いずれ中学に上がったときに人並みに何かやっておかないと仲間外れにされるかも知れないという母親の心配から、本校(分校を管轄する大規模な町の学校)の剣道教室に行かされたことがある。練習初日、先生に防具の上からではあったがメンを脳天にまともに打たれた。その日、本校から自転車のペダルをこいで夕方の家路を急いだが、その間もずっと頭のてっぺんに電気が走ったような痛みが残り、悔し涙を流しながら帰ったことを覚えている。結局、剣道はその一日でやめてしまった。
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どの時代にもある「正義」の危うさ
『記者Mの外交ななめ読み』第10回

9月 12日 2014年 国際

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間150冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

この夏は、「その人」のことが気になって第2次世界大戦に関する本を読んだり、調べたりした。その人は僕にとっていわば祖父に当たるが、血のつながりはない。どちらかと言えば妻方の祖父に当たるが、妻との血縁もない。

ラオスで生まれ育ち、難民として来日した妻と結婚する際、妻の両親や弟妹はまだタイ領内の難民キャンプで生活していて、式に参列することがかなわなかった。このため、彼女が来日当初から世話になっていたある日本人夫妻に式の当日、ぶしつけにも親代わりになってくれるよう頼み込み、妻からの感謝の花束を受け取ってもらった。「その人」とは、式の当日に妻の父親役を務めてくれた男性の実父のことである。
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訪日外国人2000万人時代
『記者Mの外交ななめ読み』第9回

6月 13日 2014年 国際

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間120冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

日本を訪れる外国人観光客の数が順調に伸びている。日本政府観光局によると、4月の訪日外国人は前年同月比33.4%増えて123万2000人。1カ月間としての過去最高を2カ月連続で更新した。羽田空港発着の国際線が拡大した影響などで、台湾、タイ、フィリピン、ベトナムなど6カ国・地域の人が過去最高だったほか、成田空港でも外国人の国際線旅客数が過去最高を更新し、開港以来初めて日本人を上回った。

訪日外国人旅行者は昨年初めて1000万人を突破。日本政府は2020年をめどに年2000万人に増やすことを目標に、安倍政権の成長戦略の一環として今月中に策定する「観光立国実現に向けた行動計画」に、査証(ビザ)免除の対象国をタイとマレーシアに加えて、ベトナムやフィリピン、インドネシアにも拡大するよう検討することを盛り込む。
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日本は「夢と希望の国」か
『記者Mの外交ななめ読み』第8回

3月 07日 2014年 国際

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間120冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

100年後の未来の日本がいったいどうなっているのか。にわかに想像できないし、その時点で僕も含めていまの世代の大半はこの世にいないだろうから、いささか現実味に欠ける。ただし、次世代の日本の話だといって簡単に受け流したり看過したりできない問題がある。日本の将来を左右しかねない「移民」と「難民」にまつわる話である。

人口減少のペースが年々加速するなか、内閣府はこのほど、外国からの移民を毎年20万人受け入れ、出生率も回復すれば100年後も人口は1億人超を保つことができるとの試算を公表した。果たして、移民が労働人口の減少や社会保障の負担増に直面する日本を救うことができるのか。こう自問する時、はなから悲観的にならざるを得ないのは、どうしてなのだろう。
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タクシンとフジモリ
『記者Mの外交ななめ読み』第7回

2月 07日 2014年 国際

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

タイの首都バンコクの混乱が止まらない。日本の新聞やテレビを見ていると、「常態化」「日常化」などという言葉が据わりのいい表現になってしまった。政治、経済、社会の領域にとどまらず、現地日本人社会にまで影響が及ぶ国際ニュースがしばらくなかった特派員たちには、まさに恵みともいえる。ただ、その報道ぶりを見ると、どれもほぼ同じ内容で深く掘り下げたものはなかなか見当たらない。「タコつぼの中にいると周りが見えなくなる」といわれるが、混乱のさなかにある現場にいると、一触即発の危機に神経過敏になるのか、いま起こっていることだけに目をとらわれがちで、揚げ句の果てには「たら」「れば」で危機感をさらにあおり、大局観が失われてしまうようだ。

かつて、同じような現場で同じような体験をした者として、「さもありなん」と思いつつも、いまの日本での報道ぶりを見ていて、タイに住んだことがある者ならおそらくはだれもが感じているだろう「物足りなさ」「食い足りなさ」、そして「違和感」を、自戒とともに感じている。同じ隊列の末端にいる者として「天に唾するもの」と言われかねないが、最近のバンコクの混乱に関する日本での報道ぶりについての違和感の正体を突き詰めてみたい。
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首相内外記者会見の舞台裏
『記者Mの外交ななめ読み』第6回

11月 22日 2013年 国際

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新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

安倍晋三首相が17日、ラオス、カンボジア訪問を終了し、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国をやっと一巡した。ビエンチャン発の日本の報道各社の首相同行記者のリポートは、ラオスのトンシン首相との首脳会談の内容よりも、安倍首相が就任からほぼ1年かけてASEAN10カ国すべてを訪問し終えた意味合いや意義付けに紙面の多くを割いていた。

18日付の朝刊各紙の見出しだけを見ても、「首相、ASEAN詣で 全10カ国訪問 経済・安保 中国を牽制」(朝日)、「ASEANで復権模索 首相10カ国歴訪 中国をけん制」(毎日)、「首相 ASEANに足跡 1年で全10か国訪問 安保・医療で中国けん制」(読売)と酷似しており、各社の官邸記者クラブ詰め記者がぞろぞろ同行しなくても、一人の代表取材で済みそうな、横並びの内容だった。このうち読売は、19日付で社説でも取り上げ、「ASEAN外交 安保・経済で戦略的な連携に」と論陣を張った。
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大使の品格
『記者Mの外交ななめ読み』第5回 

10月 25日 2013年 国際

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

アメリカの次期駐日大使に指名されたキャロライン・ケネディさん(55)がまもなく正式に大使に就任して日本に赴任する。第35代大統領ジョン・F・ケネディの長女。駐日大使としては初の女性である。アメリカの大使は約7割がキャリア外交官で、残り3割は政権が任命する「政治任用」である。ケネディさんの場合、2008年の大統領選での民主党内の候補者指名争いでオバマ氏を支持したことが最大の「功績」とされ、大使ポストが論功行賞に使われたケースと指摘する声が多い。

しかし、はっきり言って、そんなことはどうでもよい。「大使の任務は特別な訓練を受けてきた外交官にしか務まらない」というのは、外交官の勝手な思い込みである。要は、大使としての外交手腕を発揮し、日米関係の緊密化に貢献する働きをすればよいのだ。むしろ、名家出身の女性大使の一挙手一投足が日米双方から注目され、実際本当に緊密なのかどうかよくわからなくなってきている日米の関係にさらに前向きな変化をもたらせばよいのである。
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