п»ї 社員の横領被害に遭う会社の脇の甘さ『実録!トラブルシューティング』第28回 | ニュース屋台村

社員の横領被害に遭う会社の脇の甘さ
『実録!トラブルシューティング』第28回

4月 08日 2016年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回はあまり公にはなりませんが、残念ながらよく聞かない話ではない横領事件についてご紹介します。

A社でのお話です。信頼していたスタッフが出社しなくなり心配していたところ、青天の霹靂(へきれき)で、メールで横領の告白がありました。小口の現金を1年以上にもわたって横領していたとの内容なのですが、その現金を入れている金庫の管理、出入金の記録もそのスタッフに任せっきりだったので、不正が一体、いつから始まったのか、被害総額がいくらになっているかも簡単に把握できない状態でした。

◆弁護士とともに警察へ行くのが得策

不幸中の幸いというのでしょうか、本人が素直に状況を全て白状し、無事に書類を確認して被害金額を特定することができました。会社とスタッフの間で覚書を取り交わし、総額50万バーツ程度が約束の期日までに全額返済されました。

こちらは横領事件としてはうまく解決したケースですが、弊社にご相談にいらしたお客様の中には、監査をすり抜けたり、領収書をシステム上で偽造したりするなど、横領したスタッフの手口が巧妙な場合もありました。しかも、横領したスタッフが素直に手口を教えるとは限りません。むしろやったこと自体を認めないことも多いでしょう。

もしも横領が発覚して、社内で解決できない場合には、警察か弁護士に相談することになると思います。横領は窃盗より罪が軽いとはいえ、刑事罰を受けます。相談に行く警察署によっても対応は異なりますが、基本的に忙しいので、横領のような緊急性の無い事件に対して、常に親身に相談に乗ってくれるわけではありません。対応が後回しにされるリスクもあります。

もしもそのような傾向が見えた時は、弁護士と一緒に警察署に行くことをお勧めします。御社のスタッフが社内用語や経理用語を使って説明しようとするよりも、時間的にも短縮できる上に、警察の対応も違ってくるでしょう。

◆二重三重のチェックで不正防止

では、横領を防ぐにはどうすれば良いでしょうか。横領が起きるタイミングは以下の三つの場合です。

-会社に置いてあるお金(小口の現金など)

-会社に入ってくるお金(お客様からの入金など)

-会社から出て行くお金(取引業者様への支払いなど)

一番大切なのは、社内の仕組みを整備し、この三つのタイミングでニ重三重のチェックを入れて不正が起きないようにすることです。

御社では経理と財務の担当を同じ人にしていないでしょうか。入出金と記帳を同じスタッフがやっていないでしょうか。一定の権限を持ったスタッフが入出金と記帳の全てを1人で担当をしているという状況が一番望ましくありません。今すぐ担当を分担する、確認作業を追加するなど、業務の流れを是正しましょう。

その他、最近は現金でやり取りすることは多くはありません。小口の現金は金額を必要最小限にし、監視カメラも必要経費と割りきって設置されることを強くお勧めします。入金口座の変更や処理の変更、さらにインターネットバンキングを利用している場合には、パスワードを含め設定内容や変更を把握しておきましょう。

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