古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに
本稿は、「信用貨幣とは何か」について、人類学者のデヴィッド・グレーバーの著書『負債論―貨幣と暴力の5000年』(以下「本書」)を中心に考える。
グレーバーは、約5000年前の古代メソポタミアの遺跡から発掘された大量の粘土板に書かれていたのは、大部分が信用の記録、すなわち、信用による貸借、神殿による支給の配分、神殿領地の地代、穀物と銀の価格であったことを示す。
それが意味するのは、銀を計算単位として穀物などの信用による取引が行われていたことである。銀貨は存在せず、(銀ならいくらという)価値の尺度として機能していた。農民は、収穫期に穀物を神殿の倉庫に預け、それを貸したり何かと交換したりしていたと考えられている。現代の銀行口座のような機能――信用システム――が存在していたと言える。貨幣論においては、こうした貨幣を「信用貨幣」と呼んでいる。 記事全文>>










