п»ї 人生に彩りを与えてくれた名作の数々『えいがと私』第3回 | ニュース屋台村

人生に彩りを与えてくれた名作の数々
『えいがと私』第3回

8月 29日 2014年 文化

LINEで送る
Pocket

マレーの猫

エネルギー関連業界で30年以上働いてきたぱっとしないオヤジ。専門は経理、財務。実務経験は長く、会計、税務に関しては専門家と自負。2012年からマレーシアのクアラルンプールに単身赴任中。趣味は映画鑑賞、ジャズ、ボサノバ鑑賞、読書。最近は浅田次郎の大ファン、SF小説も

マレーシアでの単身駐在期間が長くなるにつれて、最近は趣味や自分の過去について時々思い巡らすことが多くなってきた。これから書く話は、私の全く個人的な趣味の話であり、映画が自分の人生にどのような影響を与えたかということについての回想録のようなものである。今回は「えいが(映画)と私」の第3 回として、私の30代半ばごろから40代終わりごろまでの間に見た映画の中で特に印象が強かった作品を含め、私の映画に対する思いを書かせていただく。

このころは、今振りかえってみても仕事中心の生活になっていたし、趣味の映画に関しては変な言い方かもしれないが、おろそかにしていたように思う。仕事の関係で下手なゴルフなどもやらなければならないので、ゴルフにはある程度時間を割いていたようにも記憶しているが、映画に関しては全くの時間つぶしに見るような態度だったように思う。ただそうは言っても生来映画好きであるので、ある程度秀作と思える作品は見ていたのも事実である。

◆長期間シリーズ化された映画の数々

今まで触れてこなかったが、典型的娯楽映画にはシリーズ化された作品も多い。代表作は皆さんが良くご存知の「007シリーズ」である。1962年に「007ドクター・ノオ(邦題 007は殺しの番号)」がショーン・コネリー主演で製作されてから現在に至るまで約50年の間に20数本が製作されており、最初はショーン・コネリーが主演していた。

その後主演者が、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアーズ・ブロスナン、現在のダニエル・クレイグと変遷してきている。作品ごとに面白さの差は若干はあるにせよ、とにかくその時宜を得た内容やアクションシーン及び舞台となっている国の風景、出演者、またスパイ用の小道具などに至るまで全てが素晴らしく、娯楽作品としては超一級の作品ばかりであると感じるのは、皆さんも同じだと思う。そのために、50年以上にわたってシリーズ化されたのだと思う。

また、68年にフランスの小説家 ピエール・ブールによるS・F小説を映画化した「猿の惑星」もシリーズ化されて、多くの作品が製作されている。この作品を初めて見た時は、その内容が斬新であり、SF好きの私としてはとても感動し、その後のシリーズもある程度は見たのであるが、段々飽きてきて、比較的最近の作品は全く見ていないのも事実である。やはり最初の作品の強いインパクトを、2作目以降でも維持するということは普通の作品でも簡単ではないが、特にSF映画では難しいように思うのであるがいかがであろうか?

 71年にはクリント・イーストウッド主演で刑事もの「ダーティー・ハリー」が製作され、その後シリーズ化されているので、皆さんも良くご存知であると思う。彼が型破りな刑事ハリー・キャラハンを演じているのであるが、この作品によって、彼は人気アクションスターとしての地位を不動のものとしたのである。彼は身長が190センチ以上ありルックスもまあ良く、強くアメリカを感じさせる俳優であると思う。

その後89年にブルース・ウィルス主演で刑事もの?「ダイ・ハード」が製作されシリーズ化されているが、確かに話の内容やアクションシーンは面白いが、「ダーティー・ハリー」と比較すると、話の深みと言う点で私は「ダーティー・ハリー」に軍配を上げてしまうのである。ダーティー・ハリーの事件の内容は作品ごとに大きく違い、私はどの作品を見てもとても面白いと感じるし、また作品によっては深く考えさせられてしまうのである。

78年にはジョージ・ルーカス監督がスペース・オペラと言える「スターウォーズ」を公開した。この映画は原作の無いオリジナル企画作品であり、それまでの原作があってそれを映画化するという流れを変えたものであり、オリジナル映画作品で世界的に大成功した最初の映画であると言える。その後シリーズ化されて、30年以上にわたって作られていくのである。この映画もSF好きの私にとっては印象深い映画であるが、やはりある程度見てしまうと飽きてしまい、最近の作品は全く見ていない。

84年には「ターミナーター」が公開されたが、この作品によって無名だったジェームズ・キャメロン監督は一流監督の仲間入りし、また主演のアーノルド・シュワルツ・ネッガーも一気にスターダムに駆け上がったのである。この話も私の好きなSF映画であるが、やはりアメリカ映画にはSF作品でも優れたものが多いように感じる。

ただ不思議なことに、現在に至るまで、SF作品でアカデミー賞作品賞を受賞したものがないのも事実なのである。やはりアメリカ人にとってSFはごくなじみのあるものではあるが、作品賞については普通の世界を描いたものに限るというような暗黙の了解のようなものがあるのではないかと、私自身勝手に想像してしまう。

93年にはスティーブン・スピルバーグ監督がSF小説「ジュラッシックパーク」を映画化したが、その後シリーズ化されている。この作品も最初の作品はとても面白かったが、シリーズ化されるとやはり飽きてしまう。

96年にはアメリカのテレビ映画「スパイ大作戦(邦題)」の映画化作品「ミッション・インポッシブル」がトム・クルーズ主演で製作され、その後シリーズ化されている。この作品は「007シリーズ」の延長線上にあると言える作品であり、今後もシリーズは続くと思われる。ただ今後、主演者がトム・クルーズでは年をとり過ぎていると判断された場合、誰に変わるのかという点にはとても興味がある。

他にもシリーズ化された作品は結構あるが、やはり最初の作品で大ヒットすると2匹目のドジョウを狙うのは致し方ないことであるが、うまくいかないことが多いのも事実である。

◆今でも記憶に残る珠玉の名作(2作品)

※「ニューシネマ・パラダイス」

この映画をご覧になった方の多くはとても感動されて、その記憶が強く頭の中に残っておられるのではないだろうか。日本では最初89年の暮れに銀座の小さな映画館「シネスイッチ銀座」で公開されたそうであるが、公開後同映画館では記録的な売上を記録し、連続10カ月近く上映を続けたそうである。やはりそれだけ日本人に強い感動を与えた作品であるのは間違いないと言える。現在に至るまで日本全国の小規模映画館の中ではその売上記録は破られていないそうである。

ただこの映画が88年に初めてイタリアで劇場公開された時は上映時間が155分であったが、不思議なことにその時点でイタリアではあまり興行成績が良くなかったそうである。その後監督自身この作品が冗長であると判断したのか、それを123分に短縮し劇場版(短縮版)として国際的に公開した結果、大ヒットしたそうである。そして89年にはカンヌ国際映画祭審査員特別大賞、90年にはアカデミー賞外国語映画賞を受賞したのである。

時代設定は第2次世界大戦中から戦後にかけてであり、父親を戦争で失った主人公トトと片田舎の映画館「パラダイス座」の映写技師アルフレードの長年の交流をつづったものである。舞台はイタリアの片田舎であるため風景も素晴らしく、また人々の戦中・戦後の生活を強く感じさせる内容で、純粋なイタリア映画である点も、私にはたまらない作品と言える。そしてこの作品によって、長らく低迷していたイタリア映画の復活を強く世界に印象づけることができたのであった。

この劇場版(短縮版)を見ると、映画の主題が映画館の「パラダイス座」になっており、主人公と映写技師との交流が主題となっている。ただその後10年以上たってから完全オリジナル版が公開されるのであるが、それは173分とイタリアで最初に公開されたものより更に長くなっている。これを見ると、主人公トトの青年期の恋愛や壮年期になって帰郷した後の物語が丹念に描かれており、主人公の長い人生に焦点が置かれているように感じられる。

中年男が映画に魅せられた少年時代と青年時代の恋愛を回想する物語となっており、感傷と郷愁、映画への思い入れが深く描かれている作品となっている。私はビデオ、DVDでどちらの作品も見たが、どちらも主人公の映画を愛する気持ちを深く表現している。ただ完全オリジナル版の方が主人公の人生をより丁寧に描いているので、長い人生の後半に至った主人公の気持ちが劇場版(短縮版)よりはるかに強く描かれており、私は完全オリジナル版の方により強い感動を覚える。とにかく風景といい話の展開といい、1人の人間の長い人生を描いた作品であり、私自身は大河ドラマと言ってもいいのではないかと思ってしまう。

※「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」

イタリアの作家ジョヴァンニ・アルピーノの小説を基に脚色して作られたそうであるが、純粋なアメリカ映画である。ただその内容はさすがにイタリアを感じさせるものがある。それをイタリア系アメリカ人のアル・パチーノが演じたのであるが、とにかく感動させられてしまった作品である。

アル・パチーノ演じる全盲の退役軍人スレード中佐とエリート寄宿学校の心優しい苦学生チャーリーとの交流を描いた作品であるが、アル・パチーノはこの作品で念願であったアカデミー賞主演男優賞を受賞した。アル・パチーノの演技がとにかく素晴らしく、人間的魅力を感じさせる彼の演技には本当に感動し、こんな人間がもし自分の身近にいたら自分の人生も変わっていただろうと思ってしまうほど、心底感激・感動した作品であった。

過去のアカデミー賞作品を見ても、このような文芸作品とも言える作品で主演男優賞を受賞した例はそんなに多くないのではないだろうか?この映画を見て、アメリカにもこのような作品を製作する監督がいたのかと、私自身アメリカ映画を見直したのであった。

全寮制の名門ハイスクールに通うチャーリーは、アルバイトで盲目の退役軍人の世話を頼まれる。その後学校の校長が自分の車を傷つけられたり、全校生徒の前でペンキまみれにされたりするという事件が起きる。そしてチャーリーともう1人の友人が犯人の顔を知っていることが学校側に分かってしまい、犯人の名前を明かせば大学進学の奨学金を与えるが、もし教えないなら退学させるという話になってしまう。彼はそのことで悩みに悩むのであるが、最終的には明かさないことを選択する。また友人の裏切りにも会い、窮地に立たされるのである。それを知ったスレード中佐が校長や皆のいる前で大演説をして、いかに彼が誠実であり立派な人間であるかについて話すのであるが、その演説が本当に素晴らしく、人を深く感動させ、最終的には退学にはさせられないという結果になるのである。アル・パチーノの演技がとにかく素晴らしく、私自身本当に感動させられてしまった。

私の映画に対する思いというか思い出に関して長々と書いてきたが、やはり私の人生にとって映画は必要な娯楽であり、永遠の趣味であると思う今日この頃である。

コメント

コメントを残す