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コロナのトンネルを抜けると…
『山田厚史の地球は丸くない』第202回

12月 10日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

コロナ感染の小休止で、人と会う機会が増えてきた。話題になるのが「来年はどうなるのかな」である。コロナはいつまで続くのか? 経済の本格的な再開はいつごろか? 期待と不安が交錯する。

経済の先行きは、コロナ次第だろう。そのコロナがどうなるか、誰も分からない。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の正体はまだ不明だ。感染力はかなり強い。重症化する人はさほど多くはない、ともいわれる。

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医療モデル偏重と障がい者支援の地域格差是正を東京から
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第220回

12月 09日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆優先される判断

 障がい者が社会で生きやすくするために、日本社会は「医療モデル」から「社会モデル」に移行するべきだとの議論は数十年続いている。障がいによる生きにくさを医療による治療だけに頼るのではなく、その障がいを社会が規定していることを自覚し、社会に住まうソーシャルワーカーはじめ市民が「障がい」をなくすという考えである。

しかしコロナ下にあって、医療偏重の社会構造は助長されそうな雰囲気もある。それは医療の権限が大きいからで、障がい者支援で言えば、支援の認定が医師の判断が優先される構図があるから。最近の共同通信の調査では、20歳未満の障がい児がいる保護者に支給される「特別児童扶養手当」をめぐり、医師の判断が優先され地域で基準が違うことから地域格差も生まれていることが分かった。

障がい者支援を都道府県や複数の自治体で実践している立場の私にとっては、その自治体によってのバラバラがもはや常識とはなっているが、それで不利益を被る当事者に「仕方ないね」と泣き寝入りするのは、終わりにしたいと思う。

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個人消費はなぜ低迷するのか~貯蓄を増やし続ける高齢者
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第50回

12月 06日 2021年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

o オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

経済学の学説に「ライフサイクル仮説」がある。一生涯を通してみると、現役の間は所得の一部を貯蓄に回し、引退後は貯蓄を取り崩して消費に充てる、というものである。貯蓄は将来の消費のため、というわけだ。

きわめて自然な考え方にみえるが、実際には、日本の高齢層は引退後も貯蓄を増やし続けている。あくまで「世帯平均」の話だが、どうしてこうなるのか。

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増え続ける日本政府の借金!誰がこれを払うのか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第207回

12月 03日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

私たちは日ごろ生活を送る中で「他人からお金を借りること」がある。生活資金を親から借りたり、住宅取得資金を銀行から借りたりする。しかしこうした「借りたお金は返さなければいけない」ことは誰でも知っている。人として生きていく上での当たり前の規則である。ところがこうした常識が「国の借金」となると全く当てはまらなくなる。日本国民は「国の借金はいずれ雲散霧消してしまうものだ」と信じているようである。さもなければ「多額の借金があるという事実から目を背けている」だけなのかもしれない。しかし国の借金といえども、いずれ誰かが借金の返済を迫られるのである。

矢野康治(こうじ)財務事務次官が月刊「文芸春秋」11月号に、「このままでは国家財政は破綻する」という記事を寄稿した。衆議院選挙前の10月19日にこの記事が公表されると、マスコミの間では一時、蜂の巣をつついたような騒ぎとなり「国家財政の健全化」議論に一石を投じた。今回の衆議院選挙ではコロナ禍の中とはいえ、与野党ともに財政資金の大判振る舞いを公約としていたからである。中には「国家公務員が公の場で自分の考えを述べるのがけしからん」といった国家主義的発言をした政治家まで現れた。

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「地政学」について考える(その5)-米中対立(3)
『視点を磨き、視野を広げる』第56回

12月 01日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに

中国共産党は今年11月の中央委員会第6回全体会議(6中全会)において「歴史決議」を採択し、日本経済新聞は一面トップで「社会主義回帰、資本主義と再び対峙」と見出しをつけた。米中対立は、資本主義対社会主義の対立の構図という理解は正しいのだろうか。

前稿では国際政治学者・佐橋亨(東京大学准教授)の『米中対立』を読んだ。佐橋は――米中対立は相互不信が根底にあるため長期化する――と見る。この見解に納得しつつも、対立の背景にグローバル資本主義を重ねることによって、事象をより構造的に理解できるのではないかと考えた。すなわち――米ソ冷戦の終焉(しゅうえん)を資本主義と民主主義の勝利だと信じた米国は、それを世界に拡大するためにグローバル化を牽引(けんいん)し、巨大市場を持つ中国をW T O(世界貿易機関)に招き入れた。中国は、グローバル資本主義への参加によって経済力を飛躍的に高めることで富国だけでなく強兵も実現した。米国は、中国が経済発展に伴い民主化を進めて米国が主導するリベラルな国際秩序に従うことを期待したが、それは裏切られた。不信感を強めた米国は、中国の軍事的伸張に危機感を募らせて対中強硬策に転じ、それに中国が反発して相互不信に陥り、対立が激化した――。

しかしながら、この理解は「中国とは何か」という考察が十分ではないことに留意しなければならないと考えている。そこで今回は、中国への視点を持った本として米国の経済学者ブランコミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』を取り上げたい。

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令和の石油ショック「化石」の逆襲
『山田厚史の地球は丸くない』第201回

11月 26日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

石油の時代はもう終わる。そんな「エネルギー革命」に逆らうかのように原油価格が上昇している。ガソリンが上がるだけではない。燃料費の高騰は物流費や生産コストを押し上げる。アメリカでは消費者物価指数(CPI、季節調整済み)が10月、前年同月比6.2%増に跳ね上がり、31年ぶりの上げ幅となった。デフレの暗雲が漂っていた世界は、にわかにインフレへと目を向けるようになった。

原油・資源・食糧などの価格高騰を「一時的な現象」と見るエコノミストは少なくなかった。新型コロナの蔓延(まんえん)で世界経済は1年余も落ち込み、需要不足から様々な分野で生産が停滞、供給は絞られていた。ところが、感染が一服し、アメリカを先頭に需要が回復。経済が軌道に乗ると今度は、供給が追いつかない状況が生まれた。企業は素材・原料の確保に走り、春先からモノ不足が顕在化した。

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砂漠緑化の地球内科
『週末農夫の剰余所与論』第22回

11月 24日 2021年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o 株式会社エルデータサイエンス代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

農園は来春の準備が始まった。前回『週末農夫の剰余所与論』第21回に晩秋の農園を報告してから、すでに2カ月が経過している。毎年同じような農作業の繰り返しが、15年以上続いている。予測不能な天候と、気まぐれな農作業なので、毎年新しい発見と、たくさんの失敗がある。

来春の準備中=2021年11月19日 筆者撮影

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IT大手企業の「デジタル遺産」機能の追加から考えるデジタル遺産問題
『企業法務弁護士による最先端法律事情』第11回

11月 22日 2021年 社会

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北川祥一(きたがわ・しょういち)

 北川綜合法律事務所代表弁護士。弁護士登録後、中国・アジア国際法務分野を専門的に取り扱う法律事務所(当時名称:曾我・瓜生・糸賀法律事務所)に勤務し、大企業クライアントを中心とした多くの国際企業法務案件を取り扱う。その後独立し現事務所を開業。アジア地域の国際ビジネス案件対応を強みの一つとし、国内企業法務、法律顧問業務及び一般民事案件などを幅広くサポート。また、IT関連法務分野、デジタルデータに関する最新の証拠収集技法など最先端分野にも注力し、「アジア国際法務×IT法務」は特徴的な取り扱い分野となっている。著書に『Q&Aデジタルマーケティングの法律実務』(2021年刊、日本加除出版)、『デジタル遺産の法律実務Q&A』(2020年刊・日本加除出版)、『即実践!! 電子契約』(2020年刊・日本加除出版、共著)、『デジタル法務の実務Q&A』(2018年刊・日本加除出版、共著)。講演として「IT時代の紛争管理・労務管理と予防」(2017年)、「デジタル遺産と関連法律実務」(2021年)などがある。

1 「デジタル遺産」機能

 近時、IT大手企業よりその提供するサービスに関連して「デジタル遺産」プログラムなる機能の追加が発表されました。

これは、ユーザーにおいて自身が亡くなった後に当該アカウントの特定のデータへのアクセスを認める人物を指定し、指定された人物は、死亡証明書類を提出し、かつ必要なキーを持っていれば、一定のデータにアクセスできる、というもののようです。

元々、亡くなったユーザーのアカウントへのアクセスのリクエストという手続きは存在しているようですが、これについては、その規約から読み取れる必要書類などからは一定の手続の難しさ・煩雑性があるものと思われ、また、今回の新しい機能がユーザー側からの積極的なデータの開示という特徴を持つこととは異なるものといえるでしょう。

このような「デジタル遺産」機能は、一定のデジタルデータを相続人等に遺したいと考えるユーザーのニーズには資するものといえそうです。

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日本の衰退30年-その間に中国は何をしてきたのか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第206回

11月 19日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

日本は名目GDP(国内総生産)では依然として世界第3位の経済大国であるが、過去30年その総額はほとんど伸びなかった。その結果、日本の1人当たりの購買力平価GDPは世界193か国中33位で、韓国の後塵(こうじん)を拝することになってしてしまった。一方、中国は過去30年にわたり急速に経済発展を遂げており、2010年には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。2020年の中国と米国の名目GDPの差は約6兆ドルまで縮まっており、2028年にも中国が米国を抜くとも言われている。

しかし、日本のマスメディアの記事を見ていると、中国の大手不動産会社である中国恒大集団の支払い不履行問題や、世界的なエネルギー危機から「中国経済の破綻(はたん)」を予想する論調が目につく。私たち日本人は本当に中国の実像を理解しているのであろうか? 私の知る中国人の支配者階級の人たちは、必死になって日本を研究し日本を追い越していった。京セラの創始者である稲盛和夫氏の主宰する経営学の勉強会「盛和塾」が、日本よりも中国で人気を博したことからもこのことはわかるであろう。いまや中国の名目GDPは日本の3倍である。今こそ私たち日本人は冷静に中国を分析し、必要なものは中国から学ばなければいけない時に来ている。今回は、中国の過去30年の発展の要因をデータから読み取っていきたい。

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連合は誰の味方か?芳野体制で進む翼賛化
『山田厚史の地球は丸くない』第200回

11月 12日 2021年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

総選挙の前と後で政治を取り巻く空気はガラリと変わった。自民党に向かっていた批判の矛先が立憲民主党へと移った。世論を「右旋回」させたのは議席3倍超の日本維新の会だが、もうひとつ見逃せない勢力がある。労働組合の全国組織「日本労働組合総連合会(通称:連合)」である。

投票の翌日、連合の芳野友子会長は記者会見で「連合の組合員の票が行き場を失った。到底受け入れられない」と語った。「受け入れられない」のは、投票結果ではない。立憲が小選挙区で共産党などと行った選挙協力のことだ。この発言を機に、「立憲民主党の敗北は、野党共闘が原因」という声が広がった。

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