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「地政学」について考える(その3)ー米中対立(1)
『視点を磨き、視野を広げる』第54回

9月 21日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに――米中新冷戦

今回は米中対立を地政学的な視点から考えてみたい。地政学が示すのは、覇権国に対して新興の大国が挑戦すると最終的に戦争に至るという歴史上の教訓だ。現在の覇権国米国と新興国中国の対立の構図は同じである。であれば中国は「第1次世界大戦前のドイツ」になるのだろうか。いや、核兵器がある現代においては、大規模な戦争は両国、さらに言えば全世界の破滅につながる。両国はそれを自制する分別をもっているはずである。したがって東西の覇権国がにらみ合った米ソ冷戦のような状態が続くと見て、現在の米中対立を「米中新冷戦」だとする捉え方が一般的である。

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「地政学」について考える(その2)
『視点を磨き、視野を広げる』第53回

8月 30日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに――地政学と経済学の総合

地政学とは、地理と歴史で世界を理解することである。前稿で取り上げた『新しい地政学』は、過去の教訓の集積である「古典的地政学」の上に「新しい」国際環境――グローバル化以降の世界――における地政学戦略の構想を示している。「新しい」というのは、陸海空に加えて宇宙やサイバー空間にまで対象が広がったことを指すが、それはまた、「法の支配」に基づいたリベラルな国際秩序の確立を構想している――「自由で開かれたインド太平洋」(*注1)など――からである。同書は、北岡伸一(国際協力機構理事長)、細谷雄一(慶応大学教授)が編者となっており、主流派の地政学と呼んでよいだろう。

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「地政学」について考える(その1)
『視点を磨き、視野を広げる』第52回

7月 07日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに――国は引っ越しできない

「自由で開かれたインド太平洋」という日本発の外交構想がある。2016年に当時の安倍首相(第2次)が提唱したもので、米国をはじめ国際的な支持の広がりが見られ、日本外交の成果とされる。中国の海洋進出を念頭に置いたものであり、日本の外交戦略に地政学的視点が導入された例として知られる。

近年、国際的な緊張の高まりを背景に、地政学の「復活」が言われている。そこで、今回は地政学をテーマにしたい。地政学の説明で一番気に入っているのは――人は引っ越しできるが、国は引っ越しできないので地理的条件で国際関係を考えること(*注1)――というものだ。日本は米中ロの間に位置し、友好的な隣国はないという厳しい環境におかれている現実を直視した、地政学的思考が求められているのである。

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「MMTを考える」その6(完)
『視点を磨き、視野を広げる』第51回

4月 26日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

新型コロナ禍で、失業や収入減少に苦しむ人々が増えている。その一方で、金融緩和による株の上昇で富裕層はいっそう豊かになっている。格差は新型コロナ禍前からあったが、より深刻化していると思われる。格差拡大は世界的な問題であるが、その傾向が止まらず、許容しがたい水準に達すれば社会が不安定化する。そうした懸念を反映して、現在の状況を、格差が拡大して戦争に向かった1930年代に酷似するといった見方がある。米中の対立激化がもたらす緊張の高まりは、そうした懸念に拍車をかける。

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「MMTを考える」(その5)
『視点を磨き、視野を広げる』第50回

3月 30日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

今回は、グローバル化をテーマとしたい。中野剛志の『富国と強兵』を読みながらMMT(現代貨幣理論)を考えてきたが、世界的な反グローバル化、反緊縮の動きの中で、財政政策を中心とするケインズ経済学の復権が見られ、その一つの象徴的な問題提起が、MMTだからである。したがってMMTはグローバル化に批判的な立場である。その理由を見ることで、自由貿易、グローバル化の何が問題なのかを考えたい。 記事全文>>

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「MMTを考える」(その4)
『視点を磨き、視野を広げる』第49回

2月 08日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに

新型コロナ禍によって、国家を意識することが増えた気がする。理由は二つ考えられる。一つは、グローバル化の進展で勢いを増すヒト・モノ・カネの流れの中で、垣根が低くなっていくばかりと思われた国境の復権に象徴される領域国家としての存在感の高まりである。EU(欧州連合)域内での移動制限や国家間のワクチン争奪戦を見ていると、その思いを強くする。もう一つが、新型コロナ対策で国民の自由や私権を制限する一方で、生活を保障する強大な権力――国家の怖さとありがたさ――を実感したためである。特に、欧米諸国での政府の対応の「厳しさ」と日本の「緩(ゆる)さ」とのギャップを再認識したことは、(日本という)国家のあり方を考える良い機会となった。 記事全文>>

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MMTを考える(その3)
『視点を磨き、視野を広げる』第48回

1月 06日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに

MMT(=Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)の3回目である。前稿では、主流派経済学(財政緊縮派)からのMMTに対する批判を検討した。提起された問題点は、MMTは課税や歳出削減でインフレをコントロールするというが、民主主義的政治体制の下で、将来インフレが起きたときに増税や歳出削減によって機動的にコントロールできるのか、あるいは放漫財政に陥らずに、将来世代も恩恵を受けられる賢い財政支出は可能か、といったMMTの政策の実行可能性への疑問であった。それらは「財政の民主的統制の難しさ」を知る主流派らしい批判といえよう。 記事全文>>

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MMTを考える(その2)
『視点を磨き、視野を広げる』第47回

12月 01日 2020年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに

MMT(Modern Monetary Theory)の2回目である。MMTは、現代金融理論、あるいは現代貨幣理論と訳され(*注1)、「主権国家における自国通貨建ての政府債務(国債)は債務不履行にならないので、デフレ対策のために財政赤字や債務残高は気にせず財政支出を積極的に行うべき」と主張する。前稿でみたように、ケインズ左派が唱えるMMTの理論は堅固であり、その貨幣解釈は主流派経済学と比べて説得力を持つ。しかし、たとえ原理的に正しいことであっても、あくまで経済における仮説にすぎず、そのまま現実の政策に直結させるのは慎重であるべきだろう。MMTが主張するように、債務残高を気にせず財政支出を拡大していって、想定外の事態に直面すれば財政危機を招き、経済のみならず社会に甚大な被害を与える可能性がある。現実の経済は不確実性に満ちており、仮説通りにいかないというのがケインズの教えだったのではないか。 記事全文>>

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MMTを考える(その1)
『視点を磨き、視野を広げる』第46回

10月 28日 2020年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに――コロナ危機とMMT

今回のコロナ危機に際して、政府は感染症対策と並んで経済対策に全力を挙げている。新型コロナウイルスによって影響を受ける個人や企業を支援するための各種給付金や資金繰り支援、キャンペーンによる需要促進などである。これらは危機対応のための緊急的な施策であり、「何でもあり」感が否めないものの、コロナショックが経済を毀損(きそん)して経済危機を招き、さらに金融危機に陥ることを回避するためには、やむを得ない施策である。最悪の事態として想定される経済・金融危機には至っておらず、その意味では経済対策は現在までのところ成功しているといえるだろう。 記事全文>>

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「日本の長期低迷の原因」その4 「イノベーション」後編
『視点を磨き、視野を広げる』第45回

8月 26日 2020年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

前回の要約

前回は日本の長期低迷の原因を「イノベーション(革新的な製品開発や生産方式導入、新市場開拓、組織改革など)」の不足に求めた。要約すると――日本の高度成長はイノベーションが大きく貢献した。しかし欧米先進国へのキャッチアップ後は成長力が低下し始め、1990年代以降は長期低迷が続く。イノベーション力(革新力)が低下したことが原因だ。イノベーションを阻害しているのはヒトの流動化を阻む日本型雇用モデルである。したがって米国流のヒト・モノ・カネの流動化を進めれば、イノベーションの活性化は可能である。しかし同時にイノベーションが持つ負の側面への備えが必要――である。 記事全文>>

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