引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆公共放送の危機
NHK「クローズアップ現代」の取材における「やらせ」「捏造(ねつぞう)」をめぐって4月28日にNHKは、捏造につながるやらせはなかったとする調査報告書を発表した。同時に誤解を招いた取材には瑕疵(かし)があり、NHKは謝罪し、調査報告の番組を放映した。
反省の弁をかしこまって語る口に、真実の報道を貫けなかった悔しさは、「現場」でもある国谷裕子(くにや・ひろこ)キャスターのコメントには色濃くにじんでいたものの、経営側の抗弁には、なぜか白々しい組織の論理を感じさせる。これが、経営と現場の差であり、今の「公共放送の危機」と呼ばれるNHKの状態なのだろう。
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