山口行治(やまぐち・ゆきはる)

農園は来春の準備が始まった。前回『週末農夫の剰余所与論』第21回に晩秋の農園を報告してから、すでに2カ月が経過している。毎年同じような農作業の繰り返しが、15年以上続いている。予測不能な天候と、気まぐれな農作業なので、毎年新しい発見と、たくさんの失敗がある。
来春の準備中=2021年11月19日 筆者撮影
記事全文>>農園は来春の準備が始まった。前回『週末農夫の剰余所与論』第21回に晩秋の農園を報告してから、すでに2カ月が経過している。毎年同じような農作業の繰り返しが、15年以上続いている。予測不能な天候と、気まぐれな農作業なので、毎年新しい発見と、たくさんの失敗がある。
来春の準備中=2021年11月19日 筆者撮影
記事全文>>1 「デジタル遺産」機能
近時、IT大手企業よりその提供するサービスに関連して「デジタル遺産」プログラムなる機能の追加が発表されました。
これは、ユーザーにおいて自身が亡くなった後に当該アカウントの特定のデータへのアクセスを認める人物を指定し、指定された人物は、死亡証明書類を提出し、かつ必要なキーを持っていれば、一定のデータにアクセスできる、というもののようです。
元々、亡くなったユーザーのアカウントへのアクセスのリクエストという手続きは存在しているようですが、これについては、その規約から読み取れる必要書類などからは一定の手続の難しさ・煩雑性があるものと思われ、また、今回の新しい機能がユーザー側からの積極的なデータの開示という特徴を持つこととは異なるものといえるでしょう。
このような「デジタル遺産」機能は、一定のデジタルデータを相続人等に遺したいと考えるユーザーのニーズには資するものといえそうです。
記事全文>>日本は名目GDP(国内総生産)では依然として世界第3位の経済大国であるが、過去30年その総額はほとんど伸びなかった。その結果、日本の1人当たりの購買力平価GDPは世界193か国中33位で、韓国の後塵(こうじん)を拝することになってしてしまった。一方、中国は過去30年にわたり急速に経済発展を遂げており、2010年には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。2020年の中国と米国の名目GDPの差は約6兆ドルまで縮まっており、2028年にも中国が米国を抜くとも言われている。
しかし、日本のマスメディアの記事を見ていると、中国の大手不動産会社である中国恒大集団の支払い不履行問題や、世界的なエネルギー危機から「中国経済の破綻(はたん)」を予想する論調が目につく。私たち日本人は本当に中国の実像を理解しているのであろうか? 私の知る中国人の支配者階級の人たちは、必死になって日本を研究し日本を追い越していった。京セラの創始者である稲盛和夫氏の主宰する経営学の勉強会「盛和塾」が、日本よりも中国で人気を博したことからもこのことはわかるであろう。いまや中国の名目GDPは日本の3倍である。今こそ私たち日本人は冷静に中国を分析し、必要なものは中国から学ばなければいけない時に来ている。今回は、中国の過去30年の発展の要因をデータから読み取っていきたい。
記事全文>>総選挙の前と後で政治を取り巻く空気はガラリと変わった。自民党に向かっていた批判の矛先が立憲民主党へと移った。世論を「右旋回」させたのは議席3倍超の日本維新の会だが、もうひとつ見逃せない勢力がある。労働組合の全国組織「日本労働組合総連合会(通称:連合)」である。
投票の翌日、連合の芳野友子会長は記者会見で「連合の組合員の票が行き場を失った。到底受け入れられない」と語った。「受け入れられない」のは、投票結果ではない。立憲が小選挙区で共産党などと行った選挙協力のことだ。この発言を機に、「立憲民主党の敗北は、野党共闘が原因」という声が広がった。
記事全文>>過去30年にわたる日本経済の長期の低迷は、コロナ禍による経済苦境と相まって日本の賃金の低さを浮き彫りにした。身近に迫った生活苦の恐れから、ようやく多くの日本人がこの「相対的貧困」という事実に気づくこととなった。しかし日本人の貧しさの原因を「中国元凶の資源高」や「悪い円安」などの一過性の問題にすり替えようとする論調がマスコミの中で後を絶たない。そもそも日本の貧しさの根本要因は「日本の製品やサービスが世界的な競争力を失った」ことにある。さらに「円安誘導などで実質ダンピング(価格引き下げ)を行ってきた延命策のコストを日本国民全体で分担させられてきた」結果、日本人総体が貧しくなってきたのである。いまや日本の1人当たりの購買力平価GDP(国内総生産)は世界193か国中33位となっており、2018年には隣国の韓国に抜かれてしまった。
日本人が豊かさを取り戻すためには、なによりも日本の製品やサービスの競争力を向上させることが必要である。民間レベルでは経営方針の見直しや人事制度の改革など複合的な施策の動員が必要となる。一方、日本全体としては30年間全く効果を生み出さなかった政府の成長戦略の抜本的見直しが必要である。その中心的施策の一つが「日本製品やサービスの競争力向上」を担保するための教育制度改革にあると私は考えている。今回は日本の教育の現状を振り返るとともに、改革の要諦について考えていきたい。
記事全文>>ⓒ福田徹、一般社団法人二科会写真部、2021、第69回展二科会写真部作品集、p387
写真が記録ではなく表現となったのは、いつごろからだろうか。筆者は『見ることの神話』(中原佑介 著/粟津潔 デザイン、フィルムアート社、1972年)に決定的な影響を受けた。写真家はシャッターを押す前に、何かを見ている。写真家には見えていないものが、写真に偶然写ることもあるだろう。しかも、写真家は作品となる写真を見ている。写真機がデジタルになっても、写真家の網膜や頭脳は、アナログであり、デジタルでもある。網膜の視神経や、脳の神経細胞は、個数を数えうるという意味でデジタルだ。しかし、ひとつの神経細胞では「見る」という機能を実現できない。多くの神経細胞がネットワークでつながり、神経細胞以外の細胞たちと共に生きているという意味ではアナログだろう。『見ることの神話』ではさらに、ひとりで見ることはできない、少なくとも表現としての「見ること」は、社会や社会制度に大きく依存し、制約され、表現の「場」の問題でもあることを明らかにした。物理学における「場」は、波動とともにありアナログな世界だった。量子力学によって「場」も量子化され、粒子の生成と消失を表現する「場」のデジタルな性質も明らかになった。写真が表現となったのは、写真を撮るのではなく、写真を見ることが意識されたときからと、暫定的に答えておこう。
記事全文>>これからの25年は「人手不足の時代」だ。前回まで、労働力の増加を期待できるカテゴリーとして、女性と高齢者の動向をみてきた。残るカテゴリーは、外国人だ。
日本の労働市場は、すでに外国人に多くを依存している。今後も一層依存は高まるだろう。しかし、これまでの国の対応は後追い的だったようにみえる。
今後期待どおりに外国からの労働力が増える場合、快く働き、生活してもらえるだけの柔軟性が日本の社会にあるだろうか。
記事全文>>秋篠宮家の「眞子さま」が、婚姻届を出して「眞子さん」になった。民間人になった彼女は、アメリカで暮らすという。
朝日新聞に掲載されている「朝日川柳」にこうあった。
「流出は、頭脳につづき、皇族も」。
眞子さんは、とげとげしい世間の目に耐えられないのだろう。
ロンドンで特派員をしていたころ、オックスフォード大学に小和田雅子さんが留学していた。今の皇后さまである。赴任する時、旧知の皇室担当に尋ねた。
「雅子さんの動向をウォッチすることは必要か?」。答えは「皇太子さま(今の天皇陛下)はご執心のようだが、彼女は外されたから、ウォッチしなくていいよ」。
アメリカにいたころ「深い恋愛」の経験があり、皇太子妃の候補から消えた、ということだった。
記事全文>>バンコック銀行日系企業部には、新たに採用した行員向けに「小澤塾」と名付けた6カ月の研修コースがある。この期間、銀行商品や貸し出しの基本などを宿題回答形式で、英語で講義を行う。この講義と並行して、日本人新入行員として分析力、企画力などを磨くため、レポートの提出を義務づけている。今回は、金融庁からバンコック銀行に出向している松村一樹(もとき)さんのレポートをご紹介したい。松村さんには金融監督業務とは全く異なった領域である「農業分野」について一から分析をしてもらった。なお、本レポートにおける考察・分析はあくまで筆者個人の見解によるもので、金融庁及びバンコック銀行としての見解を表すものではありません。
記事全文>>◆はじめに
米中対立の行方と日本の選択について考えたい。前稿では国際政治学者の佐橋亮著『米中対立――アメリカの戦略転換と分断される世界』を参考にしたが、佐橋は米中国交回復後の過去40年間の米中関係は、米国が主導し中国は受動的であったとする。要約すれば――国交回復後の米国は中国の発展を支援した(「関与と支援」)。その背景には中国への三つの期待(市場化改革、政治改革、国際秩序への貢献)があった。しかし、期待は裏切られ、経済成長を続けた中国は経済力、軍事力で米国に対抗しうる超大国となった。この状況に不信と危機感を抱いた米国は長年の関与政策からの転換を図り、それに反発する中国と対立するに至った――となる。
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