小澤 仁(おざわ・ひとし)
バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。
過去30年にわたる日本経済の長期の低迷は、コロナ禍による経済苦境と相まって日本の賃金の低さを浮き彫りにした。身近に迫った生活苦の恐れから、ようやく多くの日本人がこの「相対的貧困」という事実に気づくこととなった。しかし日本人の貧しさの原因を「中国元凶の資源高」や「悪い円安」などの一過性の問題にすり替えようとする論調がマスコミの中で後を絶たない。そもそも日本の貧しさの根本要因は「日本の製品やサービスが世界的な競争力を失った」ことにある。さらに「円安誘導などで実質ダンピング(価格引き下げ)を行ってきた延命策のコストを日本国民全体で分担させられてきた」結果、日本人総体が貧しくなってきたのである。いまや日本の1人当たりの購買力平価GDP(国内総生産)は世界193か国中33位となっており、2018年には隣国の韓国に抜かれてしまった。
日本人が豊かさを取り戻すためには、なによりも日本の製品やサービスの競争力を向上させることが必要である。民間レベルでは経営方針の見直しや人事制度の改革など複合的な施策の動員が必要となる。一方、日本全体としては30年間全く効果を生み出さなかった政府の成長戦略の抜本的見直しが必要である。その中心的施策の一つが「日本製品やサービスの競争力向上」を担保するための教育制度改革にあると私は考えている。今回は日本の教育の現状を振り返るとともに、改革の要諦について考えていきたい。
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株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。









