п»ї 「ベビーカー車両」導入を あすぷろ、は「広がり」を目指す『ジャーナリスティックなやさしい未来』第105回 | ニュース屋台村

「ベビーカー車両」導入を あすぷろ、は「広がり」を目指す
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第105回

3月 21日 2017年 社会

LINEで送る
Pocket

引地達也(ひきち・たつや)

%e3%80%8e%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%83%8a%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%83%e3%82%af%e3%81%aa%e3%82%84%e3%81%95%e3%81%97%e3%81%84%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%80%8f%e5%bc%95%e5%9c%b0%e9%81%94
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆アシストする人を増やそう

私が関わるアシスターズプロジェクト(ASSYstar’s Project=略称「あすぷろ」)は「アシスト」する人たちをつくる運動である。アシストとはかたく言えば「介助する」ことであり、アシスターは介助する人、であるが、介助という言葉が入ると、高齢者や障がい者など、福祉分野の話と受け止められてしまい、それが社会での拡がりを限定することになるから、ここでの定義は広く考えている。

つまり、「できないとあきらめている人」「困難を抱える人々」をアシストする人がアシスターであり、もっと言えば「チャレンジを応援する」「共に人生を楽しむ」ことも含めている。誰でもアシスターになれるように、アシストからはじめなくても「まずは相手のことを理解するところから」始めるのを推奨している。心の持ち方一つでアシスター(ASSYstar)になれるのが、この運動の面白いところで、広がりへの可能性を感じている。

◆わたしの手は、だれかの翼

キャッチフレーズは「わたしの手は、だれかの翼」とし、あなたのその手、自分のこの手が誰かの助けとなり、空を飛び立つ可能性になるという意味合いをこめた。私自身、「障がい者と高齢者の社会進出」部門の実行委員として理事としての責任もあるのだが、何よりも「福祉」ではなく、「できないとあきらめている人」を対象にする社会運動がケアメディアを推進する立場と重なった。

そのほか「アレルギーや過敏症等」「赤ちゃん子育て」「こども応援」「介護とリハビリとトレーニング」「エンド・オブ・ライフ」の分野があり、それぞれ気に入った分野から実行委員になってもらうことが可能だ。もちろん、この分野も限定されるものではなく、今後も必要に応じて増えていくことになるだろう。考え方を広げることは、人を増やすことであり、できる分野を広げるのも重要なポイントである。

そんな私たち、アシスターが3月17日に要望書を提出することになった。提出先は東京都知事や在京私鉄会社で、内容は「昼間時間帯の車両編成すべてにおいて、1両のベビーカー優先車両の導入」である。

◆子育て環境充実に向け

日本では少子化対策として、赤ちゃんを連れた親子が気軽に外出できる環境づくりが求められているものの、日本社会全体での理解は不十分な状況で、混雑した車両の中では、他の乗客の冷たい視線にあい、乗車を控えざるを得ない風潮にあるのが現実だ。国は車いすやベビーカーを優先的におけるスペースを有する車両を広げる方針ではあるものの、車いすの乗客とベビーカーの乗客には、その数の差は大きい。

そのため、確実にベビーカーで乗車できる環境の整備が必要ではないかと考えてみる。1両に10台程度は十分に乗車が可能で、保護者がベビーカーに手をかけて、座席に座ることができる。何より、他の乗客の冷たい視線にあう心配がなくなるだろう。

ベビーカー車両の導入が、対処療法的な感覚があるのは確かである。本来ならば、お母さんと赤ちゃんがどんな時間でも外出ができて、公共交通機関がそれをサポートするのが当たり前であるのが理想だ。車両を設ける分断化ではなく、人々の認識を変える融合化に向かいたい。

しかしながら、日中の時間帯でも生産活動に向かう、もしくは働いている人たちにとって、疲労の蓄積を避けようと電車の中では、混雑のストレスをどのように克服するかに心砕かされている。そこにベビーカー、というのは、融合ではなく、対立を生むだけだろう。悲しいけれど、日本はまだ経済活動が優先されている社会である。

あすぷろ実行委員会は、私が担当する障がい者や高齢者の社会進出のような福祉分野だけではなく、このような社会の中にケアの概念を広く採用し、アシストすることを意識付けすることで、社会認識を変えられるのだと信じていきたい。

実行委員会では実行委員を募集中です。ホームページからアクセスしてください。http://www.assystarsproject.net/

※『ジャーナリスティックなやさしい未来』関連記事は以下の通り
良い福祉とは良いコミュニケーションなり
https://www.newsyataimura.com/?p=6133

■精神科ポータルサイト「サイキュレ」コラム
http://psycure.jp/column/8/
■ケアメディア推進プロジェクト
http://www.caremedia.link
■引地達也のブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/kesennumasen/

コメント

コメントを残す