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データの適切な善用が「機会不平等」をなくしていく
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第244回

9月 26日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆データは個人そのもの

ジャーナリストの斎藤貴男氏の著作『機会不平等』(文春文庫、2004年)は教育、派遣社員、労働組合、高齢者福祉、経済政策や優生学などを題材に日本社会での不平等に斬り込む名著であり、その成り立ちを考える時に私たちの社会の在り方や個人の思想性が突き付けられる。この不平等を解消するために、私は情報格差をなくすコミュニケーション環境の在り方を考えて、私なりに実践してきたつもりだが、ここにきて大きなテーマを突き付けられている。それは「データ化された個人情報」の取り扱いだ。

コミュニケーションがバーチャルになるほど、その世界で個人とは、すなわちデータになっていく。そのデータは個人そのものであるとの認識がコミュニケーションは成り立たせるわけで、その新しい関係性における倫理観や保護など、議論すべき点は多い。

このコミュニケーション自体は誰もが幸福になるための道筋でもあるから、早急に社会で共有し議論を深めなければならないだろう。 記事全文>>

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連帯する島々の新文明
『週末農夫の剰余所与論』第34回

9月 21日 2022年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

「越後妻有 大地の芸術祭2022」に行ってきた。初回の2000年から、毎回参加して、今回が7回目になる。世界最大規模の面積で開催される芸術祭で、自家用車で、山間地の農道を走る場合もある。観光客としては、信濃川流域の河岸段丘(かがんだんきゅう)が美しいけれども、冬場は豪雪地帯になる。廃校や廃屋(はいおく)をアートの現場にしてしまう、大地の芸術祭の中でも、最も「大地」に近い作品を作ってきた古郡弘さんの追悼展だった。新潟県越後妻有(えちごつまり)の大地に、20年以上の月日の流れを感じた。 記事全文>>

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NPO法人が乗り出すLGBTQへの就労支援に向かう中で
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第243回

9月 19日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆「普通」への期待

認定NPO法人「ReBit」(リビット、東京)がLGBTQなど性的少数者の就労サポートを全国に広げる活動に乗り出した、と先日一斉に報じられた。全国の自治体への啓もうや福祉サービス事業を使っての支援活動を行う予定という。障がい者への支援の枠組みにある就労系のサービスの中で、一般就労に向けた最前線である就労移行支援は企業とのコミュニケーションを密にしながら、就労させた上で定着に向けた活動も行われているが、障がい特性を理解してもらう取り組みの中で、性的少数者に関する支援は難しい。

私自身も、「多様性を認める社会」と各地で連呼される中で、仕事の現場やそれぞれの感性はまだ保守的なのが現実で、そのギャップに当事者はうつ病などの「二次障害」に陥る事実も目の当たりにしてきた。今回の取り組みが起爆剤となって、当事者の現実に接した社会に「ケア」の感覚広がっていき、やがてそれが「普通」になることを期待したい。 記事全文>>

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サントリーと「社会教育施設」をインクルーシブな場とするために
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第242回

9月 14日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆指定管理業者の知恵を融合

みんなの大学校が進める、2022年度の文部科学省「地域連携による障害者の生涯学習機会の拡大促進」事業による委託研究の一つに「地域と指定管理業者による障害者の生涯学習の場づくりの研究事業」がある。これは全国各地域にあるイベントホールや美術館、博物館、公民館などのいわゆる「社会教育施設」を、障がいのある人にとっても「障害」なく訪問し、学び、活動できる場にするための研究と実践、広報を行っていく内容である。

場所が公共施設だから当然、自治体職員や教育委員会関係者の理解と行動が必要となってくるのだが、実際に現場で考え、行動しているのは自治体の職員だけではない。自治体から指定管理者として施設を運営している民間企業の力が結構、世の中では動いている。

これら民間企業が新しい公民館や図書館のコミュニティー機能を考え、実践している取り組みは静かに地域に浸透しているのだ。その知恵を「障がい者の生涯学習」に向けて融合・発展させていこうというのがこの事業だ。 記事全文>>

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地域差
『週末農夫の剰余所与論』第33回

9月 12日 2022年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

山間地のマグレー農園は、梅、栗、柿とハーブ園で、サルどころかシカやクマが訪問する。今年は梅雨が長引いたような夏で、雑草が背丈ほどまで伸びてしまった。草刈りだけでも10時間ほどかかる。草刈りをすれば、春はワラビやウドなど、秋はチタケなどの採取も楽しめる。かつては養蚕(ようさん)の桑畑だったようだ。この山間地では、60歳でも若者だ。筆者もこの土地を借り始めたころは若者だった。人間がいない山間地では、時間がゆっくりと流れる。都会の時間は、近視眼的な競争によって速(はや)められているのだろう。 記事全文>>

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結局何もしなかった?日本の新型コロナウイルス対策
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第224回

9月 09日 2022年 社会

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

日本の新聞やテレビなどのマスコミの情報を見ていると、日本政府は「コロナ患者の全数把握の撤廃」「コロナ感染者の隔離期間の短縮化」などの施策を展開しようとしている。マスコミも「オミクロン株は重症化率が低い」とか「日本のコロナ対策は欧米諸国に比して遅れている」として、政府による規制緩和に前のめりのように私には感じられる。しかし果たして、これは事実を反映しているのであろうか? オミクロン変異株の登場以来、日本の一日当たりの死者数は300人を超えるなど過去最多となっている。今回はバンコック銀行日系企業部の元木健太郎さんが執筆した「コロナ感染症」に関する論文をご紹介したい。世界各国のコロナ対策を分析し、日本との相違点を明らかにしている。日本の新型コロナ対策の有用性についてぜひ、皆さまでご判断いただきたい。 記事全文>>

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植物の意識とデータ現象学
『週末農夫の剰余所与論』第32回

8月 15日 2022年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

今年の梅は豊作だった。梅酒や梅ジュースなどを作り、使いきれない梅を梅干しにした。木で完熟した梅を収穫しているので、香りがよい。梅は毎年剪定(せんてい)して、手間がかかるけれども、完全無農薬な完熟梅を購入することはできないので、やりがいのある農作業だ。梅は隔年で豊作になるとは言われていても、週末農夫の場合、花の時期に雪が降ったりして、天候や人的な要因で、収穫量や品質は全く予測ができない。梅干しは、梅酢をおいしくいただくために塩分をギリギリまで少なくして、5%の塩分で作っている。梅干しの味も予測不能で、10年以上おいしく保存できているものもある。週末農夫としては、毎年学習して、工夫しているつもりだけれども、予測不能であることに変わりはない。 記事全文>>

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オープンキャンパスで作る「うた」がおもしろそう
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第241回

8月 01日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆「ラッセラー」をみんなで

毎週火曜日に重度障がい者を中心にして、事業所や自宅をつないで展開している講義「おんがくでつながる」は先日、暑さの到来とともに津軽三味線の歌手、澤田慶仁さんと共に「青森ねぶた」と「弘前ねぷた」を学び、青森ねぶたの「ラッセラー」で受講者といっしょに盛り上がった。

この盛り上がりは毎週、音楽のジャンルを超えて、受講者の元気な受け答えが講義をリードし、参加したミュージシャンはいつも「楽しかった」と話してくれる。この盛り上がりをさらに広げようと、受講者の方々をさらに増やして、「歌を作る」ことを目指すオープンキャンパスを、8月27日に東京都杉並区の西荻地域区民センターを主会場にハイブリットで開催することになった。

ここは重度障がい者の世界観で「うた」を作っていく予定で、どんな「うた」ができるのか、おもしろそうだ。 記事全文>>

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「ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学」への遡行
『週末農夫の剰余所与論』第31回

7月 27日 2022年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

筆者が先月設立した「株式会社ふぇの」は、遺伝学における表現型(フェノタイプ)から想起している。筆者のライフワークは、薬物反応の個体差を評価することであり、40年ほど同じことを考え続けている。考えているだけでは生活できないので、個体差が大きい薬物反応のデータ解析を職業としてきた。例えば臨床試験の場合、どのようなデータを収集するのか、データ相互の整合性をどのように理解するのかなど、データ解析以前のデータマネジメントの仕事が重要になる。データマネジメントにおける筆者の立場は、データとはデータベースのことであるという、40年前からのデータベース主義者でもある。薬物反応の個体差を遺伝子の差異から説明するのが遺伝型(ジェノタイプ)であって、表現型(フェノタイプ)は環境因子など遺伝型(ジェノタイプ)以外の要因による個体差と考えてよい。遺伝型(ジェノタイプ)は、ゲノムの網羅的解析技術(ゲノミクス)によって大いに進展した。表現型(フェノタイプ)については、どのようなデータをどの程度収集するのか、被験者への倫理的配慮などもあり、難しい議論になる。例えば、筆者が積極的に関与したのが、医療画像を臨床試験の「データ」として収集・解析する技術だった。数百人規模になる臨床試験のMRI画像を、データとして収集・解析する技術は、科学的には魅力があっても、経済的な困難もある。別の例では、音声のリアプノフ指数(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/リアプノフ指数)のデータを解析した経験もある。意味不明なデータから、性別や年齢が推定可能であっても、疲労度やストレスを定量化するための、医学的に有用なレベルには至らなかった。「株式会社ふぇの」では、従来の統計的なデータ解析ではなく、独自の機械学習法を工夫して、こういった個体差が大きいデータを評価する方法を工夫している。前置きが長くなってしまった。「株式会社ふぇの」については、本稿の最後に再度紹介したい。 記事全文>>

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東京都江戸川区の調査から浮かび上がるわが町の引きこもり
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第240回

7月 25日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆調査で8000

東京都江戸川区が2021年度に区民を対象にした大規模な引きこもり調査を実施し、その結果が公表された。人口約70万人の約35万世帯のうち18万世帯を調査し、7919人(7604世帯)のひきこもり当事者がいるとの結果だった。調査対象の24世帯に1世帯の割合にあたる。区が把握している当事者と合わせると約8000人となり、さらに調査対象の4割強が未回答であり、実数はさらに多いとみてよいだろう。

この江戸川区は私の居住地であり、どこの土地でも住めば都ではあるものの、やはり私もいいところだと思って住んでいる。その町内の隣人たちのうち何人かの引きこもりがいることを想像すると、支援者の私でも地域で何かできないかを考えてしまう。私の立場では「改善したい」と考えている当事者と家族への対応に限定されるが、支援活動から遠い方々もわが町の隣人として、引きこもりに何らかの取り組みのイメージが広がるきっかけになり、次の一手が共有できればと思う。 記事全文>>

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