古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに
年末年始にかけて、企業経営者の新しい年への抱負が雑誌や新聞をにぎわすのが恒例だ。大企業経営者に共通するのは、「グローバル競争は激化している」「世界中のあらゆる産業で起きている革新の波は止められない」という現状認識だ。この背後には「社会は進歩する」「技術革新は人間を幸せにする」という思想がある。そして、日本が世界と戦っていくためには「変わらなければならない」「社会の進歩を創造する側に回らなければならない」という結論が導かれる。こうした考え方は、現代のグローバル資本主義の基底にある合理主義と科学技術の無限の進歩への信仰という「近代主義」思想にもとづいている。
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