п»ї 抜き打ちで社員の持ち物検査はできるのか 『実録!トラブルシューティング』第81回 | ニュース屋台村

抜き打ちで社員の持ち物検査はできるのか
『実録!トラブルシューティング』第81回

8月 12日 2020年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、工場などで頭を悩ませている自社製品の盗難トラブルについてご紹介します。

A社で、退職したタイ人従業員Bのロッカーを整理しようとしたところ、Bのロッカー内から自社製品が複数発見されました。そこで、こうした盗難の再発を防ぐために、抜き打ちで従業員の持ち物検査をできるかどうかというA社からのご相談です。

ロッカーや引き出し自体は会社の資産ですが、その中に従業員が保管している物に対しては、従業員に所有権があります。このため、不正発覚を受けた再発防止策だとしても、会社が従業員の所有物に対する抜き打ち検査を実施した場合、会社が不当な対応を行ったとみなされる可能性があります。

また、場合によっては、例えば、抜き打ち検査の際に物がなくなったとして損害賠償を請求されるなどのトラブルが発生する恐れもあります。このため、こうした会社側のリスクを回避するため、検査を実施する際には、従業員に対して検査日時およびその目的を事前に伝え、各人から書面で検査実施への同意を得たうえで行う必要があります。

◆不正の未然防止に主眼を置いた予防策を

今回のようなケースでの解決策としては、不正を犯した従業員の特定ではなく、不正の未然防止に主眼を置いた予防策をとるようお勧めします。

例えば、社内での自社製品の盗難という具体的な不正内容を従業員に公表し、①会社への出入りの際の持ち物検査を強化する②社内での持ち物検査を定期的に行う――などの可能性がある旨を発表します。実際に検査をせずとも、会社の製品や備品の無断持ち出しなどの不正に対して、会社側が監視し、常に目を光らせている姿勢を従業員に周知することで不正の防止につながります。

弊社にはトラブル発生後のご相談が多く寄せられますが、トラブルが起きてから対応するのではなく、常日頃から不正に対する会社側の毅然(きぜん)とした姿勢を見せることによって、トラブルが起きないような会社の風土を事前に作っていくことが重要です。具体的なご相談がありましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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