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「格差と貧困」という視点:「社会保障改革について」その3
『視点を磨き、視野を広げる』第34回

9月 17日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに

・前稿の要約

日本の社会保障は、日本型企業モデル(終身雇用)による雇用の安定を基盤にして、皆保険・皆年金を中核に形成された。基本哲学は「自助」とそれを補完する「共助(助け合い)」にあり、「共助」のシステムである保険制度で運営されている。 記事全文>>

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「格差と貧困」という視点:「社会保障改革について」その2
『視点を磨き、視野を広げる』第33回

8月 19日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

本稿の狙い

前稿では、社会保障は「財政」「雇用」と依存関係にあるため、社会保障改革は「財政再建」「雇用の安定」とそれぞれ一体的に考えていかなければならないとした。特に財政との関係は重要である。なぜなら財政悪化の最大要因が社会保障費の増加にあり、今後も制度を維持するためには国民負担の増大が不可避であるからだ。しかし、こうした専門家の意見と一般国民の認識には大きな落差があるのも事実だ。その点に関し、経済学者の小峰隆夫が書いているように(*注1)、専門家は「国民負担の今後の増大は避けがたい」と考えるが、一般国民は「税源が必要なら、まずは無駄の削減で対応せよ」という考え方が強く、さらに財源に関し専門家は「消費税」が公平で安定していると考えるが、一般国民は「増税するなら法人税」「消費税は逆進的」と考えているのである。 記事全文>>

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「格差と貧困」という視点:「社会保障改革について」その1
『視点を磨き、視野を広げる』第32回

7月 17日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

本稿の狙い

前稿まで5回にわたって日本の格差と貧困の現状をみてきたが、今回から格差・貧困対策としての社会保障のありかたについて考えてみたい。現在行われている参議院議員選挙では、社会保障が最大の争点となっている。老後資金「2000万円」問題をきっかけにして、野党は年金を始めとする社会保障の拡充を主張して与党を批判している。各政党の公約をみると、与党も含めてすべての党が具体的な政策を列挙して社会保障の充実を訴えている。それでいて今回の消費税増税に賛成しているのは与党2党だけであり、野党はすべて反対(凍結含む)している。しかし財源をどうするのかについて、野党の公約を見ても説得力のある答えは見当たらない(*注1)。選挙受けする社会保障給付の増加を並べて、不人気の増税は先送りにするという姿勢が見てとれる。一方自民党は、消費税増税を「全世代を対象とする社会保障の充実」と「財政再建」に充てるとしており(*注2)、社会保障の持続性に配慮している点は野党よりまだ救いがある。 記事全文>>

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資本主義の現状:『新・日本の階級社会』を考える―その5「社会保障改革と雇用」
『視点を磨き、視野を広げる』第31回

6月 18日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに

日本社会の格差拡大について4回に分けて考えてきた。要約すると、①平等な社会が誇りであった日本で格差が拡大している②ただし、欧米のように超富裕層への富の集中はみられず、貧困層が増えている点に特徴がある③なかでも非正規労働者を中心としたワーキングプアーの増加は大きな問題である――の3点である。

働いているのに低所得な人々、いわゆるワーキングプアーが増えたのは、雇用の非正規化に原因がある。したがって、根本解決のためには正規雇用への転換を図るべきである。それが正論であるし、実際にそうした政策(再教育支援、就労支援)も採られている。しかし、これだけ非正規雇用が増えた現在、希望者を全員正規雇用にすることは現実的に困難だと思われる。また、最近の財界首脳の「終身雇用は維持困難」(*注1)という発言にみられるように、むしろ今後は、正規雇用の維持すら難しくなっていくことが予想されているのである。 記事全文>>

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資本主義の現状:『新・日本の階級社会』を考える―その4
資産から見た階級構造
『視点を磨き、視野を広げる』第30回

4月 30日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに―資産からみた階級構造

社会学者の橋本健二著『新・日本の階級社会』を読んで、日本の階級社会化の現状(拙稿第27回)、格差是正のための政治的方法論(第28回)、貧困層救済の経済的・倫理的理由(第29回)について考えてきた。今回は、視点を変えて金融資産による階級構造をみることにする。なぜなら、本書は階級を職業や所得によって分類しており、金融資産にも言及してはいるものの、その金額が実態を反映していないように感じたからだ。日本の階級社会の実像を、より具体的に理解するためには、資産による把握が必要だと思われる。

例えば、橋本の定義による「資本家階級」の金融資産保有額は2312万円であるが、これは「富裕層」のイメージとは程遠い。富裕層といえば少なくとも億単位の金融資産を保有しているはずである。そこで富裕層の資産運用に強みを持つ証券会社の調査レポートに注目した。野村証券系シンクタンクの野村総合研究所(以下NRI)が作成している日本の階層別純金融資産に関するレポート(*注1)がそれであり、長期間同じ基準で、定期的(隔年)に作成されており、時系列比較による傾向分析に適した資料である。今回はこれを参考にしながら、資産による日本の階層構造について考えていきたい。ちなみに、同レポートでは、世帯を単位として純金融資産5億円以上を「超富裕層」としている。超富裕層は8.8万世帯あるので1世帯あたりの平均保有額は10億円である。かなり富裕層のイメージに近づいてきた感じがする。なお、これは純金融資産だけの数字であり、保有不動産を含めればもっと大きな金額となるものと思われる。 記事全文>>

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資本主義の現状:『新・日本の階級社会』を考える―その3
なぜ貧困層(弱者)を救済しなければいけないのか
『視点を磨き、視野を広げる』第29回

4月 01日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに―「なぜ貧困層(弱者)を救済しなければいけないのか」

社会学者橋本健二(*注1)の『新・日本の階級社会』という本をもとに、前回は格差是正を推し進めるための政治的方法論について検討した。今回は、そもそもなぜ貧困層(社会的弱者)を救済しなければいけないのかについて考えてみたい。救済に反対しているわけではない。格差は是正されるべきだと思うが、政策実行のためには痛みを伴う政策(他予算の歳出削減か増税)が必要であり、道徳的に正しいという主張だけでは社会を動かす力となりえないからだ。格差是正に関する社会的合意形成の積極的な理由を確認しておきたいのである。まず、社会全体にとって利益となることを明らかにしなければならない。これは経済学の仕事だ。

ただ、倫理面についても整理しておく必要があると考えている。経済的理由は重要だが、その根底にはやはり倫理観が必要だと思うからである。あれこれ思案していたときに偶然、精神科医の香山リカ(*注2)の『弱者はもう救われないのか』という本を見つけた。香山は、現代の日本は、国による「弱者切り捨て」が進み、社会もそれを受け入れつつあるという問題意識を持っている。しかし、経済的理由や個人の倫理観に期待するだけでは、人々は「自らの消費の自由を侵すような弱者救済策に賛成しない」可能性が高いと悲観的に観察している。そこから弱者救済の根拠を求めて模索を続けるのである。同書を参考に弱者救済の倫理的な理由についても考えたい。

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資本主義の現状:『新・日本の階級社会』を考える―(2)
『視点を磨き、視野を広げる』第28回

3月 04日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

ワーキングプア1千万人の衝撃

前回は、橋本健二の『新・日本の階級社会』を参考に、各種調査の結果から導き出される日本型「階級社会」と呼ぶべき現実を認識した。橋本は、同じ労働者階級でありながら正規社員と非正規社員の間には大きな格差(収入で2倍、貧困率で5倍の差)が生じていることに注目し、後者を「アンダークラス」と名付ける。ワーキングプアと言い換えてもいいだろう。1千万人近い労働者が、年収186万円で働き、貧困率は38.7%、男性の66%、女性の56%が未婚で、資産ゼロ世帯が31.5%あるという現実は衝撃的だ(*注1)。
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資本主義の現状:『新・日本の階級社会』について(1)
『視点を磨き、視野を広げる』第27回

2月 04日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆本稿の狙い―日本は階級社会か

『ガラパゴス』(*注1)という小説をご存知だろうか。社会派ミステリー作家・相場英雄の警視庁シリーズの一冊である。ストーリーはこうだ。身元不明の自殺者の再調査で偽装殺人がわかる。被害者は沖縄県宮古島出身の非正規労働者。彼はなぜ殺されたのか。そこにはコスト削減に走る電機、自動車といった大手製造業と人材派遣会社が結託して作りだした、非正規労働者をモノとして扱う製造現場の非情な現実があった。被害者は福岡の高専を優秀な成績で卒業したが、担任教師とのちょっとした諍(いさか)いがもとで就職に失敗し、非正規労働者として働き始める。彼は、スタートの失敗はすぐに取り返して、どこかの会社の正社員になれると信じていたが、派遣労働者として日本全国の製造現場を転々とたらい回しされる生活から抜け出せなくなっていく。いったん落ち込むと永遠にはい上がれない蟻地獄のような仕組みに絡み取られていくようだ。そして技術に詳しい彼が、偶然メーカーのリコールに絡む不正を見つけてしまい声をあげようとした時、悲劇が起きる。
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資本主義の現状:「GAFA」について考える
『視点を磨き、視野を広げる』第26回

12月 25日 2018年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆本稿の狙い

前稿でとりあげた野口悠紀雄(*注1)の『「産業革命以前」の未来へ─ビジネス・モデルの大転換が始まる』は、現在のIT・情報革命を、資本主義の限界を打ち破る新しいフロンティアの出現と位置づけ、肯定的側面への評価が中心であった。そのため今回は、IT・情報革命の負の側面を批判的に分析した『the four GAFA―四騎士が創り変えた世界』をとりあげたい。著者は、米国のIT起業家でありビジネススクール教授であるスコット・ギャロウェイ(*注2)である。
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野口悠紀雄『「産業革命以前」の未来へ─ビジネス・モデルの大転換が始まる』を考える
『視点を磨き、視野を広げる』第25回

12月 04日 2018年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆本稿の狙い

IT革命と聞いて、少し前まではIoTやIndustry 4.0を思い浮かべたが、最近ではAIやブロックチェーン、プラットフォーマーという新語が続々登場し、それらが社会に与える影響が議論されるようになった。経済は世界的に大きく変貌(へんぼう)しつつあるが、それは単なる技術の進歩にとどまらないようだ。社会を変革しつつあるのだ。ではどのように変わるのであろうか。その疑問に対する答えを探して野口悠紀雄(*注1)の近著『「産業革命以前」の未来へ─ビジネス・モデルの大転換が始まる』を読んだ。
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