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タイ政局は視界不良
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第215回

4月 01日 2022年 国際

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

タイの元陸軍司令官で現在のプラユット・チャンオチャ首相が軍事クーデターにより「国家平和秩序評議会」議長として実権を掌握したのが2014年5月22日。同年8月25日には、当時のプミポン国王(ラーマ9世)の任命を受けて正式に第37代首相に就任した。それからまもなく8年が経つ。その後、16年10月13日にプミポン国王が崩御すると、同年12月2日にワチラロンコン国王(ラーマ10世)が即位。17年には新憲法が公布され、かねて懸念されていた政治的混乱もなく、プラユット政権はワチラロンコン国王への引き継ぎを無事に完遂した。19年3月には民政移管のための下院議員選挙が行われたが、当初の予想を覆してソムキット元副首相たちによって結党された「国民国家の力の党(以下PPRP)」が第1党となり、プラユット首相が続投した。しかしそのソムキット元副首相も民政移管後に跋扈(ばっこ)し始めた金権政治家たちによって20年7月に放逐された(拙稿21年5月7日付第193回「コロナ禍の中で透けて見えるタイ政治の深層」ご参照)。

新型コロナウィルスによって人々の活動が制限されてきたため、タイ政局はしばらく、あまり動きがないまま推移してきたように見える。しかし現政権の任期満了を来年3月に控え、タイはまた政治の季節を迎えようとしている。今回は、少しずつ動き始めたタイの政局について考察してみたい。 記事全文>>

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コロナ禍のタイの風景―定点観測
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第214回

3月 18日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

「人間は忘却の生き物である」と言われる。ドイツの心理学者であるヘルマン・エピングハウス(1850−1909)が人間の記憶力を測るため無意味な言葉を実験者に覚えさせ、時間の経過とともにどのくらい覚えているかを研究した。残念ながら私たち人間はさして記憶力がよくないようである。20分後には42%、1時間後には56%、1日後には66%の記憶が失われ、1カ月後にはわずか20%しか思い出せない。最近の脳医学では脳内の記憶システムが少しずつ解明され、「短期記憶は海馬、長期記憶は脳皮質で蓄積されること」や「長期記憶と睡眠が大きく関わっていること」などがわかってきている。

さらに人間には「積極的に記憶を消去する」メカニズムが働いているようである。生物が生きていく上で、また進化していく上で、「忘却」は重要な脳内活動なのかもしれない。「嫌な出来事をさっさと忘れ去る」ことで私たちはストレスを感じずに生きていける。一方、この「忘却」によって人々は科学的に思考することが難しくなる。過去に起こった出来事を経験として生かすことができない。また過去と比較することをしないためにその事象の要因を分析することもしない。こうした人間の弱点を補うために定期的に物事を振り返る「定点観測」は大きな意義がある。

コロナ禍でのタイの風景についてはこれまでも何回か取り上げてきた。第177回「タイに見るコロナ禍後のタイの新常態」(2020年9月18日)、第182回「新常態が定着したタイの風景と反政府デモ」(20年11月27日)、第192回「感染急拡大 タイのコロナ狂騒曲」(21年4月19日)、第201回「タイのデルタ株感染急拡大の教訓―コロナ禍の日本への提言」(21年9月10日)などである。今回は「定点観測」として、オミクロン株が拡大中のタイの風景を報告する。 記事全文>>

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「アベノミクス」が結局日本をダメにした
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第213回

3月 04日 2022年 政治

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

安倍晋三元首相がまたぞろ復活してきているようである。陰に陽に岸田文雄首相の「新しい資本主義」を批判して「アベノミクスの復活」を唱えている。国民にとって耳なじみがよい「アベノミクス」であるが、それによって実際には何がなされたのであろうか? また、どれほどの実績を上げたのであろうか? 第2次安倍政権が樹立されたのが2012年12月。私たちがこの「ニュース屋台村」を立ち上げたのが13年7月。私自身は13年8月から、安倍元首相がコロナ禍の中で政権を放り出した20年9月まで、アベノミクスの問題点を一貫して指摘してきた。今、岸田首相によって「新しい資本主義」が提唱されているが、その前に私たち国民はアベノミクスの評価をしなくてはいけない。自民党1強でほとんど政権交代がなかった日本では「なれ合い政治」が常態化し、過去の政策についての冷静で客観的な評価が下された試しがない。マスメディアも自民党政権からにらまれることを恐れ、こうしたことには及び腰のように思える。今回は、いまだに亡霊のごとくよみがえってくるアベノミクスについて、私なりに総括を行ってみたい。 記事全文>>

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今更ながら考える「子育て論」
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第212回

2月 18日 2022年 社会

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

私には3人の子供と4人の孫がいる。大変ありがたいことに3人の子供たちはすでに独立し、それぞれ伴侶を得て自分たちの家庭を築いて生活している。昨年末に68歳になった私はとっくに子育ての年齢を終えている。 現在は私の子供たちが自分の子供(私の孫)たちの子育てに精いっぱい頑張っている。私の友人の中には「孫に対しては責任がないので、どんなことでも許せてすごくかわいい」と宣(のたま)う人がいる。

残念ながら私はそういう気分にはなれない。孫を見ていてもついついその教育法に口を挟みたくなるが、じっとがまんをしている。私もこの年までだてに生きてきたわけではない。わざわざ自分の子供に嫌われるような「私の教育論を押しつけること」は控えるように心がけている。

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日本人の知らない世界の漁業の現状と日本漁業の凋落
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第211回

2月 04日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

「日本は四方を海に囲まれた島国であり、古来より漁業を生活の生業(なりわい)としている世界に冠たる漁業大国である」。日本人の多くはこのように考えているに違いない。一方で近年、サンマやスルメイカ、サケの記録的な不漁というニュースが大きく報道され、2019年にはこれら3魚種の日本の漁獲量は過去最低水準となっている。他にもクロマグロやウナギ、ホッケの漁獲量減少も深刻な状況である。かつて世界一を誇った日本の漁業生産量も遠洋漁業を中心に落ち込み、現在ではピーク時の約4割、世界10位の位置まで凋落(ちょうらく)してしまっている。他方で、世界的な水産物の乱獲は水産資源の枯渇に拍車をかけているといわれており、各国が水産資源管理に関する取り組みを積極的に実施するなど、漁業に対する世界的な関心も高まっている。

今回は、バンコック銀行の新入行員向けプログラム「小澤塾」の卒業生である新妻孝則さんがまとめた「世界の漁業国の現状と日本漁業の凋落」を紹介する。

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7つの目標と30の習慣―コロナに打ち勝つ小さな知恵
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第210回

1月 21日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

◆藤井聡太と大谷翔平

前回1月7日付の「ニュース屋台村」第209回では「コロナも悪いことばかりじゃない?」と題して、コロナがもたらした「不自由」を逆手にとって、私自身が新たな挑戦を試みていることを紹介させていただいた。しかし、ピンチをチャンスに変えているのは決して私だけではない。年末年始には過去のテレビ番組が頻繁に再放送されたが、NHKスペシャルで将棋の藤井聡太四冠と野球の大谷翔平選手の特集がそれぞれ取り上げられた。その番組によると、彼らも不自由な時間を活用して新たな次元への飛躍を実践したようである。

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コロナも悪いことばかりじゃない?-新年の抱負
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第209回

1月 07日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

2022年もコロナとともに始まった。コロナと「共生」してもうすぐ2年になる。いつになったらこのコロナは収まるのであろうか? 「ニュース屋台村」でも以前ご紹介したが、20年9月時点の欧米のインターネット上の論文を分析したところ、「コロナの感染収束時期について政治経済の専門家は21年、医療関係者は22年、感染症専門家は23年が大勢」であった。人間はついつい自分に都合の良いほうに物事を解釈する「正常性バイアス」という性質を持っている。このためコロナ収束についても楽観的見通しが多く存在した。しかし現在は楽観論だけでなく、コロナ収束にあと数年かかるという慎重な声も聞こえてくるようになった。

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私たちの年金は本当に支払われるのだろうか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第208回

12月 17日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

前回12月3日付の拙稿第207回「増え続ける日本政府の借金!誰がこれを払うのか?」で日本の財政問題を取り上げた。1400兆円にまで膨張した日本政府の借金は、いずれ私たち国民が何らかの形で払うことになる。その弁済方法は「相続税、消費税などに徴税強化」「ハイパーインフレによる国民資産との相殺」そして「年金などの不払い」の三つになるだろうということも指摘した。このうち年金については、

①現在の1年あたりの年金給付額が53兆円と日本のGDP(国民総生産)の約1割を占めるほど膨大な金額であること

②年金の運営母体が実質日本政府であり、被保険者である国民からの保険料徴求が税金に準じるものになっていること

③年金給付が国民から徴求する保険料収入だけでは足りず財政支出で補填(ほてん)されているが、その国庫負担額が国家財政の歳出項目の最大のものになっていること

などから水膨れした日本政府の借金の影響を受ける可能性が最も高い。

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増え続ける日本政府の借金!誰がこれを払うのか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第207回

12月 03日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

私たちは日ごろ生活を送る中で「他人からお金を借りること」がある。生活資金を親から借りたり、住宅取得資金を銀行から借りたりする。しかしこうした「借りたお金は返さなければいけない」ことは誰でも知っている。人として生きていく上での当たり前の規則である。ところがこうした常識が「国の借金」となると全く当てはまらなくなる。日本国民は「国の借金はいずれ雲散霧消してしまうものだ」と信じているようである。さもなければ「多額の借金があるという事実から目を背けている」だけなのかもしれない。しかし国の借金といえども、いずれ誰かが借金の返済を迫られるのである。

矢野康治(こうじ)財務事務次官が月刊「文芸春秋」11月号に、「このままでは国家財政は破綻する」という記事を寄稿した。衆議院選挙前の10月19日にこの記事が公表されると、マスコミの間では一時、蜂の巣をつついたような騒ぎとなり「国家財政の健全化」議論に一石を投じた。今回の衆議院選挙ではコロナ禍の中とはいえ、与野党ともに財政資金の大判振る舞いを公約としていたからである。中には「国家公務員が公の場で自分の考えを述べるのがけしからん」といった国家主義的発言をした政治家まで現れた。

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日本の衰退30年-その間に中国は何をしてきたのか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第206回

11月 19日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

日本は名目GDP(国内総生産)では依然として世界第3位の経済大国であるが、過去30年その総額はほとんど伸びなかった。その結果、日本の1人当たりの購買力平価GDPは世界193か国中33位で、韓国の後塵(こうじん)を拝することになってしてしまった。一方、中国は過去30年にわたり急速に経済発展を遂げており、2010年には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。2020年の中国と米国の名目GDPの差は約6兆ドルまで縮まっており、2028年にも中国が米国を抜くとも言われている。

しかし、日本のマスメディアの記事を見ていると、中国の大手不動産会社である中国恒大集団の支払い不履行問題や、世界的なエネルギー危機から「中国経済の破綻(はたん)」を予想する論調が目につく。私たち日本人は本当に中国の実像を理解しているのであろうか? 私の知る中国人の支配者階級の人たちは、必死になって日本を研究し日本を追い越していった。京セラの創始者である稲盛和夫氏の主宰する経営学の勉強会「盛和塾」が、日本よりも中国で人気を博したことからもこのことはわかるであろう。いまや中国の名目GDPは日本の3倍である。今こそ私たち日本人は冷静に中国を分析し、必要なものは中国から学ばなければいけない時に来ている。今回は、中国の過去30年の発展の要因をデータから読み取っていきたい。

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