山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「高い実務能力と選挙対策への知見を培ってきた。こうした能力や知見を生かしていただきたい」
一瞬、冗談かと思った。岸田首相は、小渕優子氏を自民党選挙対策本部長に抜てきした理由を、記者会見でこう述べた。
選挙対策への「高い能力と知見」が小渕氏にある? 真っ先に思い浮かんだのは、ドリルで破壊されたハードディスクの一件である。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「高い実務能力と選挙対策への知見を培ってきた。こうした能力や知見を生かしていただきたい」
一瞬、冗談かと思った。岸田首相は、小渕優子氏を自民党選挙対策本部長に抜てきした理由を、記者会見でこう述べた。
選挙対策への「高い能力と知見」が小渕氏にある? 真っ先に思い浮かんだのは、ドリルで破壊されたハードディスクの一件である。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
原発事故から12年余、廃墟となった東京電力福島第一原子力発電所から「核汚染処理水」放出が8月24日始まった。「海を日本の下水道にするな」と警告していた中国は、態度を硬化させ「水産物の全面禁輸」に踏み切った。
野村哲郎農水大臣は「想定外の事態」と驚きを隠さず、自民党からは「WTO(世界貿易機関)に提訴すべきだ」との声も上がっている。その一方で、中国から抗議と怒りの電話が日本各地に殺到、「迷惑電話」が話題となった。メディアは「嫌がらせ」と報じ、岸田首相は「遺憾なことと言わざるをえない」と抗議。処理水放出は、是非論を超え、日中関係をますます険悪させ、反中感情を刺激している。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
果たしてこれを「放言癖のある年寄り政治家の妄言(もうげん)」と片付けていいのだろうか?
訪問先台湾での麻生太郎自民党副総裁の発言である。
「日本、台湾、米国をはじめとした有志国に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ。お金をかけて防衛力を持っているだけではダメなんだ。いざとなったら使う。台湾防衛のために」
台湾当局に招待され、内外の政治家や外交関係者を集めた席でのスピーチだった。
「台湾海峡の平和と安定は、わが国はもとより国際社会の安定にとって重要な課題だ。 最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ」と言いつつ、そのための抑止力として日・台・米の結束を強調した。「抑止力は能力(戦力)がいる。そして、力を使うという意思を持ち、それを相手に教えておく。その三つがそろって抑止力になる」と語った。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
日本銀行の第32代総裁・植田和男の評価が揺れている。前任の黒田東彦(はるひこ)総裁は異次元の金融緩和で経済活性化を狙ったが果たせず、途方もない歪(ゆが)みを市場に残した。「黒田は自ら手を染めた政策を修正することを嫌った。やれるのは新しい総裁だ」と、市場は植田に期待した。だが、就任から100日近くが経っても、植田にその意欲が感じられない。「本気で金融政策の正常化をする気があるのか」と疑いの目が注がれている。総裁は臆病者。そんな声さえ聞かれる。
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「防衛費を5年で倍増」。そう決めておきながら、財源が決まらない。岸田政権は、増税は不可避とみて「2024年以降の適切な時期に」としていた。ところが今になって「増税はしたくない」と自民党保守派が渋り、なすすべもなく議論は先送りとなった。
財源がないから防衛費の積み増しをやめる、というならそれは一つの見識だが、政府も自民党もそんな気はさらさらない。
防衛費倍増は米国に約束している。増税には党内外に抵抗がある。だが、決断を先延ばししても遠からず(たぶん2年以内には)選択が迫られる。最悪は、何もしないまま「国債」に尻を回すことだ。「軍事国債」を兵器の支払いに充てるという「あってはならないこと」が、なし崩し的に始まろうとしている。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
セクハラの隠蔽(いんぺい)、候補生による上官射殺……。防衛政策大転換の掛け声をよそに組織体質に起因する危うさが露呈する自衛隊。そんな中で幹部候補生の教育を担う防衛大学校で、現役教官が「危機に瀕(ひん)する防衛大学校の教育」と題する論考を6月末、SNSに投稿した。
「いくら予算と兵器・装備が増えても、それを扱う人間が質量ともに揃わなければ防衛力の強化は絵にかいた餅に終わるでしょう。(中略)にもかかわらず、幹部自衛官になるべき若者を養成する中枢である防大では、受験者の激減、学生の質の低下、パワハラ、セクハラ、賭博、保険金詐欺、補助金詐取、いじめやストレスからの自傷行為など、憂慮すべき事態が立て続けに起きる異常な事態が続いています」。文中に示されている事実や出来事を読むと、自衛隊は大丈夫なのか、とため息が出る。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
岸田文雄首相は6月13日の記者会見で「解散」を問われ「会期末の状況を見極めて判断する」と述べ、ふくみ笑いを残して立ち去った。さわさわと立ち始めていた解散風は一気に勢いを増したが、首相は3日後「解散は考えていない」と、風をかき消した。解散の権限は「首相にある」というのが今の憲法解釈だが、首相の一存で、いつでも議会を解散できる、というのは日本ぐらいである。国民に選ばれた衆議院議員全員を解職し、選挙をやり直す。議会制民主主義の根幹に関わる重い判断を、なんの条件も付けずに与えているのは問題ではないか。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
マイナンバーカードのトラブルは、河野太郎デジタル相の責任が問われかねない状況になってきた。
「デジタル社会のパスポート」と謳(うた)って岸田政権の目玉政策となったマイナカードだが、混乱は河野氏の暴走が招いたという筋書きが浮上している。来年の総裁選で対立候補になりそうな河野氏を潰す岸田首相の策略という見方も出ている。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
広島で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、「戦争に備えよ」という空気を醸し出した。ウクライナのゼレンスキー大統領は飛び入り参加で「反転攻勢」を訴え、G7が対ロシア戦にどう協力するが大きなテーマとなった。中国に対しても台湾海峡、経済安全保障、核開発を巡り危険視する発言が相次いだ。広島会合は、G7諸国とロシア・中国が対峙(たいじ)する「新冷戦」に世界が入ったかのような「分断サミット」となった。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
40年余の付き合いがある国重惇史(くにしげ・あつし)が帰らぬ人になってひと月になる。「イトマン事件」を告発し、住友銀行を闇の勢力から護(まも)った金融界のヒーロー、と言えばかっこいいが、たびたびの「不倫」で出世や地位を棒に振った破茶滅茶な男だった。銀行員に収まりきれない熱血漢で、内部告発や大蔵省への工作など危ない橋を渡り、銀行を離れた後もネット証券、ネット銀行など先端分野で道を開いた。スキャンダルで家族から見放され、「進行性核上性麻痺(まひ)」という完治の見込みがない難病を患いながら、好きな女性に守られて4月4日、あの世に旅立った。 記事全文>>