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3つの「しこう」と、小さな生活に向けて
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第33回

1月 09日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆おかしくないか

午後8時過ぎの東京都渋谷区にある百貨店の地下食品売り場。閉店のアナウンスにせかされるように急ぎ足で買い物を終えた客が、店員の丁寧なお辞儀で送り出されると、店内では警報のようなブザーが鳴る。

営業時間のトーンとは違うその音がフロアに響き渡ると、きらびやかなそれぞれのショーケースの前には大きなゴミ袋がドッカと置かれる。袋の中には、数分前まできれいな照明に照らし出され、客から指名されるのを待ち続けたショートケーキやロールケーキ、豪華なアントルメらが、ぐしゃぐしゃに崩されて詰め込まれている。
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受賞ならずとも、走り続けることについて
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第32回

12月 12日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰としても、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆壁を意識する

本稿第27回で期待を寄せた村上春樹氏のノーベル賞受賞は、今年も、ならなかった。2009年のスピーチ「壁と卵」でイスラエルによるパレスチナ政策への批判の影響だろうか。想像の域を出ないが、純粋に文学を評価してほしいと願いつつ、すでに村上春樹そのものが強い影響力を持って世界へ普遍的なメッセージを投じられるから、やはりそこには政治が動いてしまうのだろう。

石破茂・地方創生相が先日、閣議前に安倍晋三首相に、平和賞をめぐり「政治的ですね」と話しかけたことが話題になったが、純粋なサイエンス分野の研究とは違い、文学も平和も人の心の価値観が左右する賞だから、当然、それは人が為(な)す政治的な動きなのだと思う。言うまでもなく。
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見守られて育つ、関わって育む
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第31回

12月 05日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆仏壇の前

子どもの頃、私の勉強机は仏壇の目の前にあった。ふすまで仕切られているとはいえ、家の真ん中の通り道に位置する「仏間」である。仏壇の上にあたる欄干には祖父や祖母、戦死した伯父、若くして亡くなった伯母らの遺影がずらりと並び、その遺影のまっすぐなまなざしに見守られて勉強をしてきた。

子どもの頃は、それがいやだった。ふすまではなく、ドアで出入りできる部屋に憧れた。家族のだれの目からも離れ、ましてや先祖の遺影の目が届かない自分の空間。何て素晴らしい場所なんだろうと憧れてみたが、そう思う度、遺影の視線が気になった。今度はバチが当たる、と。だから、机に向かいながら、いつしか、その不気味だった遺影の数々に声をかけ、対話をするようになった。
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ノイズ打ち消す乱暴な解散総選挙
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第31回

11月 21日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆財務省抑える戦略

安倍晋三首相が18日、衆議院解散に踏み切った。メディアは「大義なき解散」と表現するが、私は、本稿23回で指摘した安倍首相の気質とその行動特性から考えて、あくなき強者への道を突き進もうとする欲求と、その底辺には「自分は弱者である」という強いコンプレックスによる意識的な決断であり、今回は「消費税増税先送り」に反発する財務官僚との戦いも見え隠れする。

前回の選挙で大勝し、国民を味方につけた安倍首相は、次は予算を牛耳る財務省との戦いを、「増税先送り」をイシューとして国民の声を得票という形で集め、財務省を抑える戦略である。自分が弱い存在、であることがわかっているからこそ、強気に出る勝負であるが、国民はわけのわからないまま「増税は困る」と賛成し、その結果、自民党が強靭(きょうじん)な力を持ち、その力は原発再稼働や沖縄基地問題など他の政策でも発揮されてしまうことになる。

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福祉の現場の夜明けが見えない
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第30回

11月 14日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆障がい者と地域の共生

11月2日に東京都新宿区の区立高田馬場福祉作業所で「アトムフェスタ」が行われ、メインステージのライブに歌手の大至(だいし)さんとともに参加した。東日本大震災の風化を防止するために作られた曲「気仙沼線」で、宮城県気仙沼市本吉町の知的障がい者支援のグループを応援していることによるつながりで、作業所より声をかけられてのライブ実現となった。

JR高田馬場駅の横にある、障がいがある人たちのこの就労支援施設はカフェやリサイクルセンターも併設し、昨年秋にオープン。地域のコミュニティ化を目指してはいるが、専門学校などが林立し、若年層の「よそ者」が多い土地にあって、その試みはまだこれから。アトムフェスタは、この施設の「秋祭り」であり、施設と来所する障がい者、その家族や関係者、地域ボランティア、そして地元の方々との融合を目指す取り組みでもある。

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手軽なホームページの見せ方と付き合い方
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第29回

11月 07日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆ドイツで開発されたHP作成ツール

毎日新聞記者時代の自分が執筆した記事「インターネットで実物に接近」(1996年1月)を読み返す機会があり、内容に思わず苦笑いした。民事係争中だった昭和天皇の肖像画を使ったコラージュが、原告のホームページに掲載された、という内容。「インターネット」がまだ一般用語ではなかったから、記事では「世界的なパソコンネットワーク『インターネット』を通じて原告が開設するホームページにはだれからもアクセスが可能」と説明している。

当時、記事を書きながら、原告である富山大教授の「インターネットで世界がつながる」という説明に、自分の想像が行き届かなかったのを思い出す。想像が出来ないまま「最先端」のイメージと未知の「インターネット」という言葉だけにひかれ、まだモニターが箱型テレビのような富士通のFMVを購入したが、インターネット接続の困難さがクリア出来ず、結局記事を書き、フロッピーデスクに保存するだけの「ワープロ化」していた頃の話である。

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4つの権力、自覚と分業
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第28回

10月 31日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆メディア出身というもの

小渕優子経産相、松島みどり法相が10月20日、辞任した。「観劇会」と「うちわ」というどちらも柔らかい顔を持つ有権者との接点に絡む「政治とカネ」の問題が追及され、どちらも大臣であること以前に政治家であることへの「経済面での」自覚が足りず、大臣室からの退場に追い込まれた。

つまり、有権者との関係に金銭を介在させないこと、への徹底した自覚が欠如し、そして自らの給与、そして政党助成金の交付、税の優遇措置など、自分が国家からお金で護(まも)られている、という認識が甘かった。なぜ、自覚がないのか。その問いを考えたときに、2人の出身と私の強い実感を伴った実体験が重なってくる。キーワードは「メディア出身」である。

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ノーベル文学賞、受賞できなくても
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第27回

10月 17日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。一般社団法人日本コミュニケーション協会事務局長。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆ハルキフィール

ここ数年、ノーベル賞の季節になると村上春樹の文学賞受賞の可能性が取り沙汰される。そして、今回も受賞はならなかった。サイエンス部門とは違い、文学は思想的でもあるから、ノーベル賞受賞でその「権威」が与えられた受賞者が時の政府に盾突く行為が民衆とともに力を帯びることもある。

1997年受賞のダリオ・フォ(イタリア)は風刺劇で知られるが、後に「9・11」後の米国の行動を徹底的に批判し、1999年受賞のギュンター・グラウス(ドイツ)も政治的発言が注目を集めた。2000年受賞の中国人、高行健は結局、フランスに政治亡命している。
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権力は時に外国人を排除するから
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第26回

10月 03日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。一般社団法人日本コミュニケーション協会事務局長。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆異物をねじ伏せる

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に関するコラムが名誉毀損(きそん)に当たるとしてソウル中央地検に事情聴取された産経新聞の加藤達也ソウル支局長の問題は、国際報道に携わった経験がある人ならば、誰もが韓国政府の行動が不可解で、恣意(しい)的な国家権力の運用を露呈したと考えるに違いない。

加藤支局長のコラムは、旅客船沈没事故の際の朴大統領の居所や会見した人物について韓国国民の間でうわさになっていることを報じた韓国紙の引用に過ぎず、これが犯罪に当たるならば、特派員が地元紙を翻訳し、日本に伝える仕事は成り立たなくなってしまう。民主国家として言論の自由を保障するのが、欧米や日本、そして韓国が合唱する共通の価値観であるはずだが、時に韓国は力で異物をねじ伏せようとする瞬間がある。
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朝日新聞のリスクコミュニケーション不全
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第25回

9月 12日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。一般社団法人日本コミュニケーション協会事務局長。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆メディア不信の根本

朝日新聞の従軍慰安婦に関する検証記事掲載以来、その波紋は広がるばかりである。慰安婦問題への検証は、私自身が毎日新聞と共同通信の記者時代に担当していたテーマであり、一人のジャーナリストとして興味深く見ていたが、それが朝日新聞をテーマにした各週刊誌の広告拒否やジャーナリスト池上彰氏の記事掲載拒否と連載打ち切り問題などは、メディア世界全体の問題として興味深い。

そして、各週刊誌などが攻撃する朝日新聞社社長への謝罪要求と、その対応は、企業コンサルタントとしての私にとっては、企業のリスクコミュニケーションの観点から格好のケーススタディーとなる題材となる。同時に、メディア不信と経営不振は、この社会とのコミュニケーション不全が根本であることも浮き彫りにしている。
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