引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆不安の中の希望
これで何度目の希望となるのだろうかと思いながら、アフリカ東部・南スーダンからの移行政権樹立のニュースを受け止めている。大統領派と副大統領派の争いから全面的な内戦状態の中、地元の日刊紙スーダン・タイムズや国連ニュースによると、南スーダンのキール大統領が4月末に政権側とされる大統領派と反政府勢力とされる副大統領派の双方が参加する移行政権の閣僚メンバーを任命した。各国の報道も、混迷を極める情勢から収束に向けた前進、と評価しているものの、建国以来、この私の個人的な期待は裏切られているだけに不安が先走ってしまう。
2011年7月に分離独立した南スーダンのベンジャミン情報相(現外相)に日本でお会いしたのが同年11月。民間ボランティアとしてスポーツ指導の支援を行うことを約束し12年3月に現地を訪れた後、南スーダンでは小さな内紛が起こり、この支援は中断し、内戦は拡大の一途をたどった。日本外務省も首都ジュバへの渡航自粛を求め、それ以外の地域への渡航は禁止している中だが、陸上自衛隊350人が国連平和維持活動(PKO)として参加し、インフラ整備要員として灼熱の中、作業を進めている。
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