п»ї インテージ日系企業紹介『おじゃまします』第24回 | ニュース屋台村

インテージ
日系企業紹介『おじゃまします』第24回

4月 17日 2015年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの
政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

「タイをASEAN展開のハブに位置づけている」――日本の市場調査最大手「インテージグループ」の持ち株会社であるインテージホールディングスの宮首賢治代表取締役社長はそう言い切る。

日本国内ではASEAN展開を進める企業からの依頼が増えているという。そのため、同グループではタイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、インド、中国、香港に海外拠点を置く。現在、ベトナムとインドネシアへの企業の関心が高まっているが、それでもASEAN地域のハブになるのはタイであり、日本の最新ソリューションの〃試験場〃ともなる。

1960年創業のインテージグループの強みの一つがアプリケーションなどソリューションの自社開発だ。日本国内での評価は極めて高い。ただ、海外市場となるとまだ欧米系のグローバル企業が優位であり、企業ランキングも世界9位、タイ5位と挑戦者のスタンスとなる。

この欧米企業との差別化のため、同グループでは自社開発のソリューションを顧客にアピールする。その一つが、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末を通じてデータを集めるレコーディングリサーチだ。これまでの調査は、ペーパー&ペンシルと呼ばれる手法で、アンケート用紙などを通じて得られたデータをインプットし分析するというものだった。しかし、紙がモバイル端末に変わることで、最初から電子データとして収集できることができ、その後のデータ分析が格段に効率化される。

それだけではない。たとえば、「かわいい」という概念の調査を依頼されたとする。回答用紙にいろいろな形容詞を列記し該当するものに印を付けさせるというのが従来のペーパー&ペンシル方式だ。しかし、「かわいい」と思うものを撮影して送付するよう依頼すれば、より具体的なデータを得ることができる。

現在、日本でNTTドコモとジョイントベンターを立ち上げ、この分野の研究を進めているが、ここで実用化されたテクノロジーがまずタイに導入される。その後、ASEAN諸国へと展開していくことになる。スマホの普及しているタイではすでに調査にこの手法が取り入れられており、顧客の評判も上々とのことだ。

◆優秀なタイ人スタッフ

タイに投入されて間もないもう一つの最新ソリューションがマーケティング・オンラインコミュニティと呼ばれるインターネット上のグループインタビューだ。100人単位で一つの話題について討議できるアプリを自社で開発した。ただ、課題がないわけではない。中国では1対1のコミュニケーションになってしまい、多くの人を集めた意味がなくなってしまうケースも報告されている。そのため、この調査方法で重要となるのがモデレーター(司会)の手腕となる。

実はこの点もタイの強みとなっている。インテージ(タイランド)は2008年に設立されたが、 独資ではなく、当時タイ最大のリサーチ会社との合弁というかたちをとった。そして、11年、その企業を完全買収したことで経験豊富なリサーチャーを抱えることができた。つまり、日本の最新テクノロジーおよびソリューションを受け入れる環境が設立当初から整っていたことになる。

インテージ(タイランド)CEO兼社長とインテージアジアパシフィック社ダイレクターを兼務する宮内清美氏は「調査業務で大切なのはリサーチャーのスキル。この点、当社のタイ人スタッフは十分にトレーニングされており、しかも愛社精神も高い」と力を込める。

◆追い風となるAEC

市場調査事業にとり追い風になるとみられるのが、15年発足のASEAN経済共同体(AEC)だ。ASEAN域内の関税が原則撤廃されることで、製造業の国際分業が進み、タイ企業がミャンマー市場を調査するといった国境を越えた調査需要増が期待されるという。

さらに、世界の成長センターであるASEANへの進出を検討する日本の中小企業が増えることも予想されるが、海外でのリサーチ経験のない企業にとり日系調査会社であるインテージが選択肢に上る可能性は高い。

海外事業の育成に意欲的な宮首社長(左)と宮内・タイ社長

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