忙しさから離れ、年末年始に光の平等を感じてみる
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第96回

12月 27日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆年末年始の開所

私が拠点としている精神疾患者・障がい者向けの就労移行支援事業所「シャローム所沢」では、大みそかと元旦を開所することにした。大みそかでは、通所者と年越しそばを打ち、食べる、元旦にはお雑煮を作り、食べようと思っている。

これは通所する人の中には、他者との交わりが苦手だったり、家族関係に不安があったり、1人でいたくないと思ったり、様々な理由で「年末年始」に寂しさを感じる人がいるからで、疑似家族となって年を越して迎えようとの思いなのだが、日本全国に同じ思いを抱えている人がいるかと考えると、切ない気分になってくる。

加えて社会も街もクリスマスから年末年始はお祝いモードできらびやかな雰囲気で彩られる。そのきらめきと自分の心を対比すると、ふと寂しくなり、闇に陥りそうな心持は、理解できる。

◆社会が忙しい

社会があまりにもきらびやかすぎて、同時に仕事も遊びも忙しく、せき立てられるような日々は静かにしたい人にとっては逃げ場もなく、苦痛だろう。そして、ふと思う。何を急いでいるのか、と。

先日のラジオ「ミッドナイトブルー」(ミュージックバード・毎週金曜日午前0時~午前1時)で担当するコーナー「ふたつの処方箋」で、「年末に忙しくならなくするにはどうしたらよいか」と問われ、私が答えたのは「本来クリスマスの時期は一年で最も闇が深い時、この時私たちは暗闇の中でじっと光が来るのを待つだけだから、軽軽に動く必要はない」だった。さらに、そんな暗闇に人は耐えられず、「光」の象徴として神はキリストをこの世に与えたという、私なりの解釈を紹介し、街角であふれるイルミネーションの華やかさは、暗闇ゆえの寂しさを紛らわすものであると話した。この話で意識したのは、やはり孤独に苛(さいな)まれる人へのメッセージとして、無理に光と同化する必要はない、という思いだった。

◆闇に息をひそめてもよし

だからそう。光に同化する必要はないし、時間の流れに抗うように、じたばたすることもない。そう考えると、光と時間の考えが純化し、シンプルに整理されていく。つまりは、光も時間も、すべての人に平等かつ公平に与えられているもので、それをそのまま受け入れればよいということ。

時間は、子供も大人も、金持ちにも貧乏にも同じ分量が与えられる。光も地球上のどこにいるかで物理的な光量と熱量は変わってくるが、発信元の太陽は常に平等だ。私たちは、その太陽の公平感に対して絶大なる信頼をもって日々過ごしている。この二つの安心感があって、私たちは生きている。しかしクリスマスや年末年始の光については、多くが人工的に生産されたものだから、まったくの人間社会の論理、都会においては資本主義の論理がイルミネーションに変わったのに過ぎない。

惑わされることはない。気分が良ければ、一緒に光ればよいし、疑似家族として語り合って、笑い合うのもいいだろう。だた、それは無理にするものではない。静かに闇の中で息をひそめるのも年末年始の素敵な過ごし方だ。

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■精神科ポータルサイト「サイキュレ」コラム
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