知的障がい者とともに「メディア」を考えていきたいから
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第117回

9月 28日 2017年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般社団法人日本不動産仲裁機構上席研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。

◆知的障がい者に「大学」を

第14回全国専攻科(特別ニーズ教育)研究集会が12月9、10日に愛知県立大学長久手キャンパスで行われる。障がい者の学びの可能性を広めることを目的に13年前に設立された研究集会は、実際に知的障がい者の「大学」などの形となって静かに全国に広まっている。

研究集会を立ち上げ、法定外「見晴台学園大学」学長を務める田中良三・愛知県立大名誉教授は「知的障がい、学習障がいの青年たちの大学、生涯学習の場を柔軟な姿勢で専攻科づくり運動の発展を目指す」のがライフワーク。今年度から文部科学省も「特別支教育から生涯学習化へ」の政策を進めていることから、知的障がい者の学びの広がりとともに、一般の人たちと分断されていた障がい者との学びの場が静かに融合していくのも期待できそうだ。

◆社会生活の「自覚」へ

特別支援教育から「大学」の選択肢を作ろうという動きの最前線にいるのが前述の見晴台学園大学(名古屋市)で、私は今年度から客員教授として関わっている。講義を通じて学生たちと交わることも楽しいが、教員とスタッフ、親たちが一同に会して学生の現状から学校の未来を話し合う機会もまた楽しい。

そして、私の担当講義である「メディア論」も、生徒たちにとっては、身近な話だけに、質問も多く、生徒たちから見えるメディアの形も興味深い。それは私自身の学びになっている。同時に日々接するメディアについて、彼ら彼女らが学ぶ機会がなかったことは、やはり現状の教育システムの欠陥でもある。メディアは生活と切り離せない存在であり、メディアならびにコミュニケーションを学ぶことは、彼らの学びを支え、社会生活を送る自覚につながる。

そんな私の思いを胸に、今回の研究集会では是非、「メディア論」という少し学術めいた言葉で、障がいのある若者たちに学んでいただきたいと模擬授業の機会を作った。以下が案内文である。

「私たちが社会に生きる、ということはコミュニケーションをとることで成り立っています。コミュニケーションは人と話すことだけではなく、必要な情報を得ることも重要なコミュニケーションであり、社会の情報は様々な『メディア』を通じて入手しています。日頃私たちが接している新聞やテレビ・ラジオ、インターネットはすべて『メディア』であり、メディアを知ることで、最適なメディアコミュニケーションを手にすることができます。今回はその一歩として、『新聞』『テレビ・ラジオ』『インターネット』に分けて、それぞれの歴史や成り立ち、特徴を学びます」

◆番組見ながら学ぶ

さらに各項目の説明では「新聞では、新聞には何が書いてあり、どのような工程で記事が書かれ、掲載しているかのプロセスや、日本と世界の新聞の違いや日本の新聞の特徴について映像を見ながら、時にはクイズ形式で新聞が身近な存在であることを学んでいきます。テレビ・ラジオでは、日本全体のテレビ局の種類や歴史的な変遷を確認した上で、実際の映像を目にしながら、ニュース番組とお笑い・バラエティー番組の敵視の移り変わりを考え、知ってもらいます。その上でテレビの放映の仕方と、私たちのテレビの見方の歴史と現在、そして未来を考えます。インターネットでは、世界初と日本初のホームページの画像を出発点にして、今インターネットができることから情報メディアの未来の可能性を考えてもらいます」とした。
是非、会場でお会いしましょう。

※『ジャーナリスティックなやさしい未来』過去の関連記事は以下の通り
第100回 「障がい者を大学に」の環境に向け心の変革を
http://www.newsyataimura.com/?p=6317

精神科ポータルサイト「サイキュレ」コラム
http://psycure.jp/column/8/

■ケアメディア推進プロジェクト
http://www.caremedia.link

■引地達也のブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/kesennumasen/

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