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重度障がいの学生からの「勇気はありますか?」の問いかけ
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第249回

2月 06日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆手のひらからの言葉

埼玉県郊外の静かな住宅街で私はその学生に初めて対面した。オンラインでは何人かの参加者の一人として画面越しでの関係性は始まっていたが、直接会うのは心が躍る。

その感動にひたりながら、私は言葉と表情でその心の高鳴りを伝え、彼は自宅のベッドの上で管をつながれたからだの目のまばたきと、微動する指で母親の手のひらに「言葉」を伝え、母親が言葉にして私に伝えた。

特別支援学校高等部を3月に卒業する彼に、今後一緒に「みんなの大学校」で学ぶかの問いかけに、彼は母親の手のひらからこう言葉を発した。

「先生には勇気がありますか?」。

重度障がい者に向けて「学び」を一緒という思いで対話してきた中で、初めて私に求められた「勇気」に心が震えた。「一緒に」と呼びかけながら、彼・彼女らが勇気を持って挑んだ学びには「勇気」があった。その発見に、私は彼に「もちろんあるよ」と言いながら、その行動の在り方を考えている。 記事全文>>

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日経・紙媒体が消えた日
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第234回

2月 03日 2023年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住25年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

タイで長らく宅配されてきた日本経済新聞(日経)の紙媒体が、昨年12月31日をもって廃刊になった。日経は2006年9月からタイで現地印刷・宅配を始めたとのことで、私は16年以上、日経の紙媒体のお世話になってきたことになる。海外にいながら日本の情報を新聞で毎日得られることなど、昔は考えられないことだった。それだけに、この期に及んで、日経の紙媒体が廃刊になったことへのショックは大きい。年寄りの戯言(たわごと)になるが、35年に及ぶ海外生活をしてきた私が、情報収集に苦労してきた過去を振り返ってみよう。 記事全文>>

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障がい者の生涯学習を担う人たちへのスイッチオン
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第248回

2月 01日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆地域で、一緒に

障がい者の生涯学習の推進に向けて千葉県の公民館職員らを対象とした「障害者の学び」研修会で、「地域で学ぶ 一緒に学ぶ 障害者と学ぶ」と題した講演を行った。講演前には文部科学省から行政説明として障がい者の生涯学習に取り組む政策や全国における実施の現状や事例、今後の方針などが伝えられたから、私はその背景を前提にして、現場で働く方々により実践的な内容を具体的に話す機会となった。

文科省による障がい者の生涯学習の委託研究を当初から行ってきた者として、成功や失敗を繰り返しながら、有効だと思える手法をお伝えするのが私の役割。各地の公民館で、その地域でのインクルーシブな学びは成立するという自信を得てほしいとの切実な思いで臨んだが、講演をして思うのは、インクルーシブな場づくりや内容の検討、具体的な言葉の選び方など、やることは多岐にわたるのだが、それは「やろう」という道筋の中で自然発生的に備わってくる知見であるとつくづく思う。だから、まず「やろう」から始まるのだ。 記事全文>>

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岸田はフナザムライ?
定見なき首相の暴走
『山田厚史の地球は丸くない』第230回

1月 27日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「鮒侍(ふなざむらい)」という言葉を、エコノミストの浜矩子(はま・のりこ)さんから聞いた。

フナはコイのように悠々と泳ぐサカナではない。狭いところで、あっち向き、こっち向き、せわしく、ちょろちょろ。そんな泳ぎ方から「定見のない役職者」をフナザムライと言うらしい。仮名手本忠臣蔵では、高家旗本の吉良上野介(きら・こうずけのすけ)に「フナじゃ、フナじゃ、フナザムライじゃ」と罵倒(ばとう)された赤穂藩藩主の浅野内匠頭(あさの・たくみのかみ)がブチ切れて松の廊下で……。

浜さんは「岸田首相は典型的なフナザムライです」と言う。

攻撃用ミサイル配備とか、敵基地攻撃能力とか、乱暴なことを「被爆地ヒロシマの政治家」と言いながらやる。

金持ち増税である「金融資産への課税」を主張していたのに、金持ちが喜ぶ「資産倍増」に変わった。

「軍事費倍増」を打ち出しながら、今度は「異次元の少子化対策」に看板を変える。この「定見のなさ」はなんだろう、とモヤモヤしていたが、「そうか、フナザムライなんだ」と思い至ってスッキリしたという。 記事全文>>

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ソフトパワーから知的自由エネルギーへ
『みんなで機械学習』第15回

1月 25日 2023年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニングのビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

前稿(『みんなで機械学習』第14回)からは、「データにとっての技術と自然」について考えている。ひとにとっての技術と自然は、歴史の底流であって、哲学のテーマとしても様々に議論されてきた。ひととコンピューターが共生・共進化する近未来において、「データにとっての技術と自然」という本論考を、「コンピューターにとっての自然はデータである」という意味不明なテーゼから始めてみよう。機械(コンピューターやロボット)が自発的にデータを収集・分析すること、機械自身の機能や状態もデータ化することなど、機械にとっての自然がデータとなるための技術的な課題を設定することは可能だろう。しかし、機械にとっての自発性や、機械自身といった言葉は、未定義な意味不明な言葉で、どのようにでも解釈できる。そもそも、データ論の立場では、データによって言語を拡張する、もしくは、データの意味を言語では把握しきれない、ということが出発点になっている。機械が人びとのように言語でコミュニケーションするようになるのは遠い未来のことだと仮定して、機械と機械、もしくは機械とひとは、データでコミュニケーションするのが近未来のイメージだ。データによるコミュニケーションは、言語によるコミュニケーションの初歩的な機能を模倣(もほう)したものでしかない。コミュニケーションという意味では、データは言語以下であって、言語の拡張ではありえない。しかし、データはコミュニケーション以外にも、未来予測や自己制御など、機械にとって大切な機能を実現するために不可欠な「何か」でもある。その「何か」を、「機械にとっての自然」として、意味不明なままに探求しようとしている。 記事全文>>

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『ハイパーインフレの悪夢』から学ぶ
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第233回

1月 20日 2023年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住25年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まったのが2020年の春。タイ政府によるロックダウンで外出できない私は、バンコクのアパートで所在なくテレビを見ていた。その時の番組名は覚えていないが、グーグルで検索してみると、20年4月4日NHKで放映された「緊急対談パンデミックが買える世界-歴史から何を学ぶか」という番組のようだ。イタリア在住の漫画家ヤマザキマリが出演していた記憶がある。この番組でヤマザキマリなど出演者たちが強く勧めていたのが、アルベール・カミュの『ペスト』(1947年)とジョヴァンニ・ボッカッチョの『デカメロン』(1348~1353年)を読んで感染症を知ることであった。 記事全文>>

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情報通信業はなぜこうも大都市特化型なのか~地域と付加価値(その3、完)
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第63 回

1月 16日 2023年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

過去2度にわたり、市区町村別にみた産業別の従事者1人当たり付加価値額を確認してきた(第59回「全国2位は東京都境界未定地域 地域と付加価値(その1)~地方圏をリードする製造業、民間研究機関(2022年9月7日付)」、第62回「農林漁業、宿泊業で高付加価値を誇る市町村は?~地域と付加価値(その2)(2022年12月1日付)」)。

付加価値とは、企業や事業所の売り上げから原材料費や減価償却を差し引いたものをいい、この中から従業員の給与が支払われ、残りが利益となる。これを事業従事者数で割った「従事者1人当たりの付加価値額」(以下「1人当たり付加価値額」)が、いわゆる労働生産性だ。

最終回となる今回は、情報通信業、製造業の動向を取り上げたい。データは、いずれも2016年「経済センサス―活動調査」による。 記事全文>>

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国民の命を危うくする同盟
米の対中戦争で日本は最前線
『山田厚史の地球は丸くない』第229回

1月 13日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

ワシントンで13日(日本時間14日未明)開かれる日米首脳会談に先立ち、両国の外相・防衛相による日米安全保障協議委員会(2プラス2会合)が開かれた。これまで積み上げられたこととはいえ、日本の国民の命を危険にさらす「方針転換」が決まった。中国を「最大の戦略的挑戦」つまり「安全保障上の敵国」と規定し、日米が一体となって軍事的に対処することを約束したのである。 記事全文>>

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新年の抱負―古希を迎えるにあたって
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第232回

1月 06日 2023年 社会

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住25年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

「光陰矢の如し」というが、ついに私も今年、古希(70歳)を迎えてしまう。2022年時点の日本人男性の健康寿命が72.68歳、平均寿命が81.47歳。この数字から計算すると、私が健康で過ごせるのは、あと3年しか残っていない。「残りの人生をいかに有効に過ごすか?」ということを真剣に考えなければならない年始めである。

しかしここに別の計算式がある。「65歳を過ぎた人があと何年生きられるか?」ということを調査した「平均余命」の統計値である。19年時点のこちらの数字を見ると、日本人男性の健康余命が79.43歳、平均余命が84.83歳とぐっと伸びる。人の健康状態には個体差があるものの、私もあと10年ぐらいは健康で生きられる可能性が高い。ちょっとだけホッとする。そうは言っても、老い先短い私は今年1年を大切に生きなければならない。月並みではあるが、新しい年を迎えるにあたって、「老人なりの目標」を立ててみたい。 記事全文>>

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ディストピア
『みんなで機械学習』第14回

1月 05日 2023年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニングのビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

前稿(『みんなで機械学習』第13回)では、集団の個体差を機械学習することが可能になった場合、わたしたちは機械から学ぶことができるのか、という仮想の話を考えてみた。例えば集団における経済合理性について、人間的な経済学ではなく、自然科学における熱力学の法則を応用した経済学、経済化学を機械から学ぶことができるのだろうか。経済化学によって、正確な予測が可能な市場(precision market)が出現するという考えは、正確な薬効予測が可能な薬剤(precision medicine)から借用しているので、わたしにとっては20年間考えている課題の応用問題でもある。この課題を、40年間考えた「個体差とは何か」という哲学的な設問ではなく、データの機械学習という技術的な課題として、社会・経済の文脈の中で、課題自体を再定義することから始めている。 記事全文>>

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