п»ї パキスタン、視察してみませんか? 『夜明け前のパキスタンから』最終回 | ニュース屋台村

パキスタン、視察してみませんか?
『夜明け前のパキスタンから』最終回

2月 08日 2017年 国際

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北見 創(きたみ・そう)

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日本貿易振興機構(ジェトロ)カラチ事務所に勤務。ジェトロに入構後、海外調査部アジア大洋州課、大阪本部ビジネス情報サービス課を経て、2015年1月からパキスタン駐在。

シャリフ政権が誕生してから、パキスタン経済は徐々に活力を取り戻している。政権誕生前に比べ、株価は3倍となった。実質国内総生産(GDP)成長率も、今後2~3年間は5%台を望める状況だ。

パキスタン経済は一つの転換点を迎えており、2018年6月の次回選挙、中国パキスタン経済回廊(CPEC)、自動車産業の動向に、注目が集まっている。

このタイミングにおいて、ジェトロは3月12日~17日、パキスタンの視察ミッション・ツアーを計画している。これを機会に、パキスタン市場に興味のある企業関係者におかれては、パキスタン市場の熱気やチャンスを体感してはいかがだろうか。

◆シャリフ政権下で株価が3倍に

筆者の駐在任期が終わり、帰国することとなったので、今回は直近のパキスタン経済を振り返った上で、今後1~2年間で、日本企業にとっての注目点となりそうな事柄を紹介し、最終回としたい。

パキスタン経済は09年前後が底となっており、08/09年度(08年7月~09年6月)の実質GDP成長率は0.4%だった。ムシャラフ政権崩壊後の政治的な混乱や、過激派組織の活発化、治安悪化に加え、洪水などの自然災害も重なり、経済の低迷は続いた。日本企業をはじめとする外国企業の事業意欲も減退した。

しかし、13年6月にナワーズ・シャリフ政権が誕生して以降、パキスタン経済は徐々に上向きとなった。16/17年度は5.0%の経済成長が見込まれている。

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シャリフ政権はこれまで(1)過激派組織の掃討作戦による治安改善(2)国際通貨基金(IMF)の拡大信用供与措置(66.4億ドル相当)の融資プログラム実行(3)中国パキスタン経済回廊(CPEC)プロジェクト(460億ドル相当)に対する中国からの支援取り付け――など、少なくない成果を挙げている。パナマ文書などのスキャンダルで一部糾弾されてはいるが、筆者の聞く限り、当地財界からの同政権に対する評価は良い。

株価をみれば、景況感が良いのは明白だ。カラチ証券取引所のインデックスであるKSE100は、13年1月4日時点で16,648であったが、17年1月26日時点では50,192と、4年間で3倍に伸びた。

日本企業がほぼ100%のシェアを持つ自動車市場も、この数年で拡大した。15/16年度の国内販売台数は22万4,000台と、12/13年度に比べて62.8%増えた。乗用車販売は52.4%増、トラックは2.8倍、バスは2.0倍、ピックアップ/軽商用車は2.4倍増となった。

パキスタン市場は、これまで紹介してきたように、課題やトラブルも山積みであるため、過度に期待感を持ってはいけないが、上記のように昨今は好材料が多いのは事実だ。

◆今後のキーワード「選挙」「CPEC」「自動車産業」

今後の展望だが、IMFによれば、今後数年間、パキスタンは5%を上回る堅調な成長が見込まれている。その中で、重要なキーワードとしては「選挙」、「CPEC」、「自動車産業」などが挙げられよう。

まず、短期的にはシャリフ政権の任期である18年6月までが一つの区切りとなる。同月に行われる「選挙」は重要な局面となろう。同政権の続投(23年6月まで)が決まれば、現在の政策方針も継続する見込みだ。インフラ整備、財政赤字と経常赤字の改善、外国企業の誘致といった課題の解消に重点が置かれるだろう。

現政権としては、次回選挙までに、公約の一つである「電力不足の解消」に一定の成果を出したいところ。そこで「CPEC」の進捗が重要となる。CPEC関連プロジェクト(総額460億ドル)の74%は、電力開発が占めている。

現在、CPECの第1期プロジェクトが急ピッチで進捗している。最も開発が進んでいるのは、サヒワール石炭火力発電所(1,320メガワット)とポート・カシム石炭火力発電所(同出力)。サヒワールは17年12月、ポート・カシムは18年6月に商業運転を開始する予定だ。

他に、世界有数の石炭埋蔵量(1,750億トン)を誇るタール炭田の開発も、見逃すことが出来ない大型プロジェクトだ。タール炭田は第1鉱区~第9鉱区に分かれているが、CPECでは第1鉱区と第2鉱区が開発されている。

両鉱区では、石炭採掘と火力発電所の建設事業が進捗している。現場には、コマツの大型ショベルや、日系メーカーの商用車の導入が進むなど、「CPEC特需」は日本企業にとってもビジネスチャンスとなっている。

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開発が本格化したタール炭田第2鉱区(筆者撮影)

最後に「自動車産業」について。パキスタンの自動車市場は、今後数年のうちに30万台市場へと成長が見込まれる。日本企業にとって、現在は販売シェアの確保・死守をすべき大事な時期だ。

問題は、16年3月に発表された新しい自動車開発政策(ADP)。同政策では新規参入メーカーを優遇する一方で、既存の自動車メーカーが拡張投資しても恩典がない。既に進出済みの日系メーカーにとって不利な内容となっている。

同政策の改善を求め、日本勢は働きかけを行っているものの、韓国、中国、欧州の自動車メーカーの参入は必至とみられる。販売ボリュームが増えるパキスタン市場で、今後の政策の行方と、各社の展開に注目が集まっている。

◆パキスタン、視察してみませんか?

あと数年で人口2億人を超えると予測されているパキスタンは、期待の持てる、潜在力のある市場だ。加えて、飛躍に向けて、一つの転換点を迎えている。しかし、実際に見てみなければ、その熱気や魅力は伝わらない。そこで、多少なりとも興味があれば、是非、現地視察することをおススメしたい。

ジェトロは2017年3月12日(日)~3月17日(金)の6日間、パキスタン・ビジネスミッション(現地視察)を開催する。今回の視察では、首都イスラマバード、日系企業の多い商都カラチ、大市場であるパンジャブ州の州都ラホールの3都市を周遊する予定だ。政府要人、日系企業、地場企業から生の声を聞き、パキスタン・ビジネスの実態を効率的に把握できる仕立てになっている。

費用は自前で出張するのとほぼ変わらない上、ジェトロが視察先をアレンジするので、忙しいビジネスマンでも、効率的にパキスタンを視察することができる。また、ジェトロが移動車両と警備会社を手配し、セキュリティーに万全の対策を施す。

前回の現地視察ツアーでは、参加企業の半数がリピーターとなっており、「パキスタンのイメージが変わった」という声を多数頂いた。そうした企業は後日、数回にわたって渡航し、ビジネス展開を図っており、一部の参加者は現地法人も設立した。
最後に、視察ミッションのご案内を持って、本稿の結びとさせていただきたい。これまでご愛読いただき、ありがとうございました。

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「パキスタン・ビジネスミッション」参加者募集のご案内

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ジェトロではこの度、現在世界第6位(約2億人)の人口を有し、今後は電力・交通などのインフラ整備、消費財の需要増加など経済成長が期待されるパキスタンにおいて、ビジネス・投資環境視察とビジネス・パートナー候補の発掘を目的としたミッションを派遣します。

本ミッションでは、多くの行政機関が集まる首都イスラマバード、経済の中心都市であるカラチおよびラホールを訪問し、現地政府機関・日系企業等を訪問致します。

現地の経済情勢・投資環境に関する纏まった情報や視察する機会が限られている同国へのミッションを通じ、市場の活気や潜在性などを実際に体感して今後の事業計画をご検討いただく機会として、皆様ふるってのご参加をお願い申し上げます。

■日時:2017年3月12日(日)~3月17日(金)【5泊6日】
※途中参加・離団を希望される方はご相談ください。

■開催地:パキスタン(イスラマバード、カラチ、ラホール)

■開催概要・行程
開催概要および現時点での行程は以下URLをご参照ください。
<開催概要>
http://www5.jetro.go.jp/newsletter/dubai/2016/PakistanDelegation.pdf

<行程>
http://www5.jetro.go.jp/newsletter/dubai/2016/P_Schedule.pdf
※上記URLの訪問都市や宿泊施設、宿泊費は諸般の事情により変更の可能性があります。

■定員:20名
※定員になり次第、募集を終了させて頂きます。(最少催行人数:5名)

■お申込み締め切り:2017年2月17日(金)

■お申し込み・お問い合わせ
お申し込み書に必要事項を記入し、以下お申し込み先にメールにて送付をお願いします。

<お申込書>
http://www5.jetro.go.jp/newsletter/dubai/2016/P_Application.docx

【お申し込み先/日本国外企業の方】
日本貿易振興機構(JETRO)ドバイ事務所 担当:水野
TEL:+971 (0)388-0601/Email:info_dubai@jetro.go.jp

【お申し込み先/日本国内企業の方】
日本貿易振興機構(JETRO) 本部ビジネス展開支援課 担当: 小川、天神(てんじん)
TEL:+81 (0)3-3582-5235/Email:bda-event@jetro.go.jp

以上

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