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Archive for: 2022

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安保大改定+防衛増税 ならば解散して民意問え
『山田厚史の地球は丸くない』第226回

11月 25日 2022年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「法人税」の文字が消えた。「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の最終報告書から、原案に増税の候補として挙げられていた「法人税」が落とされた。自民党や経済界から「名指しの増税」に異論が噴き出し、首相官邸の意向を踏まえて修正されたという。圧力がかかれば表現を緩める。その程度の「都合よく使える有識者」の集まりだったことが分かってしまった。

国力と防衛力を総合的に考えてもらう。そのために見識ある人を集める、というのが有識者会議の趣旨。研究者、官僚、マスメディア、金融などの分野で功成り名を遂げた10人の知恵が提言としてまとめられる、という建前だった。

安保政策を転換する、防衛予算を増やす、そのために増税をする。嫌がられることを直言できるのは「有識者」だから。賢者だから厳しいことも言える、という権威付けがあった。

ところがどうだ。法人税を増税項目の一つとして例示したことが反発を受け、最終日の取りまとめで外してしまった。増税は、「幅広い税目による負担」という抽象的な表現にとどまった。 記事全文>>

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集団の個体差
『みんなで機械学習』第12回

11月 21日 2022年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニングのビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

前稿(『みんなで機械学習』第11回)では、個体差の機械学習について考えてみた。哲学の文脈で、概念としての個体差について考えると、少なくとも言語の範囲では、定義矛盾となってしまう。個体であるということは、言語の範囲では、属性や概念ではないことを意味するからだ。一方で、データの世界では、属性に与えられた「所与」(データの哲学的な表現)の集合体が、個体の意味となる。すなわち、個体差は言語ではなく、データの世界で理解することが適切といえる。データの世界において、個体における複数の属性間の構造が明示的に与えられているのであれば、統計モデルによる解析が可能で、統計専門家が活躍する。しかし、医療技術や株価の変動など、個体差に伴う不確定性が問題となる場合、適切な統計モデルが不明で、どのようなデータを収集するのか、どのような構造のデータベースが適切なのかなどの検討が不可欠で、データ解析以前の段階であるデータマネジメントにおいて試行錯誤することになる。機械学習とは、そのようなデータマネジメントとデータ解析を統合して自動化している、最新のAI(人工知能)プログラミング技術だ。技術的には、音楽のレコメンドなど。個体差の機械学習はありふれた課題なのだけれども、医療やヘルスケア、特に新薬開発の「バイオマーカー」における個体差の機械学習は、データ収集の段階から、従来の統計解析とは異質の社会的コンセンサスを考慮する必要がある。さらには、個体差を明示的に取り扱うことで、機械学習技術自体を再考するきっかけになりうるし、AIの新たな技術革新となる可能性もある。 記事全文>>

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漂流する日本の銀行
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第229回

11月 18日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

◆「はみ出し者」が生き延びた

早いもので私の銀行員生活は45年になる。これだけ長い間、銀行員生活を続けられるとは夢にも想像していなかった。私が就職した当時の銀行は55歳が定年、しかもほとんどの人たちは55歳の定年前に銀行が斡旋(あっせん)する第2の職場へ転籍していった。30年以上銀行員生活を送れる人はまれであった。

また銀行と言えば、「お堅い職場」の代名詞であった。私のような「はみ出し者」が生き延びる世界ではなかった。平均10%もの経済成長をした戦後の高度成長期から経済円熟期へと移行していた1977年。私の就職戦争は「団塊の世代」の就職が終わり「就職氷河期」を迎えていた。周りの友人たちの安定志向に影響され、私も気が付けば「銀行員」になっていた。しかし恩師、友人とも私が長く銀行員を続けられるとは思っていなかった。当時の銀行は大蔵省(当時)主導の「護送船団方式」と通産省(当時)主導の「中小企業育成策」の下で、民間から預金を集めさえすればいくらでも貸し出しで利益を上げることができた。このため大学卒の優秀(?)な新入行員も、ただ頭を下げてお願いするだけの「預金集め」に投入され、「人材の墓場」と揶揄(やゆ)されるようになった。 記事全文>>

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図書館が作る町から生まれる「学び」に期待 『ジャーナリスティックなやさしい未来』第247回

11月 14日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆一等星の施設

図書館城下町――。神奈川県大和市の中心部でのぼりや横断幕で目にするこのコピーは、図書館好きを心躍らせる。相鉄線と小田急線が交差する大和駅は大きな駅前広場とその広場からそのまま伸びる幅広いプロムナードが印象的で、その遊歩道を3分ほど歩くと城下町の中心である図書館が入る大和市文化創造拠点シリウスがある。

開放感のあるガラス張りの建物。シリウスは地球から見える恒星の中で最も明るい一等星で、大和市によると「文化創造拠点が未来にわたって光り輝き、市民に愛される施設となるように」という思いを込めて名付けたという。

文化ホールや図書館、生涯学習施設が入る公共施設は、エントランスがスターバックスの店舗と図書館の書棚やリラックスして読書できる座いすが一体化しており、くつろぎの空間が広がる。大和市はシリウスを「日本一の図書館」とアピールしている。 記事全文>>

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密室の有識者会議 「あやつり劇場」で決まる防衛増税
『山田厚史の地球は丸くない』第225回

11月 11日 2022年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

11月10日付の朝刊各紙に「防衛費財源、増税論が大勢 有識者会議」(日経)と伝える記事が一斉に載った。「増税論が大勢」(共同)、「増税を念頭に」(産経)、「復興増税を参考に」(朝日)――。首相官邸で9日開かれた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の議論を伝えた記事。岸田首相の肝いりで始まり、安保情勢の変化に伴う防衛力の強化をどのような観点から進めればいいか、「有識者」の声を聞く会議という位置付けだ。 記事全文>>

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「ジョブ型雇用社会」とは何か:「リベラル能力主義」について考える(その6)
『視点を磨き、視野を広げる』第63回

11月 09日 2022年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆本稿の狙い

前稿では日本のメンバーシップ型雇用システムの問題点について考えた。長期雇用を特徴とするメンバーシップ型雇用システムは、グローバル化や技術革新が求める労働市場の流動化に抵抗する。それゆえ日本経済の長期低迷の原因の一つとされ、雇用システムの転換が必要だという声が上がっている。

その代わりとなるのが、ジョブ型雇用システムである。しかし、ジョブ型の名付け親である濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構労働政策研究所長)は『ジョブ型雇用社会とは何か』(以下「本書」)の中で「間違いだらけのジョブ型論」を嘆いている。誤解に基づく議論が目につくというのである。日本のメンバーシップ型雇用は戦後定着したものであるが、すでに半世紀以上経過し大部分の日本人にとって体験に基づく「常識」になっているので、それを基準にジョブ型を解釈しようとして誤解が生じるのだと思われる。

ジョブ型が近年注目を集めるようになったのは、メンバーシップ型の問題点を解決してくれるという期待からである。しかしジョブ型そのものにも固有の問題は存在する。それを理解して議論を進めないと、労働市場の改革議論は迷走するだろう。また、雇用システムは社会の諸制度・慣行と密接に結びついている。複雑に絡み合っていると言った方がいいかもしれない。濱口としては、それらを腑(ふ)分けしていく作業が必要であり、それが本書の役割だと言いたいのだと思う。

本稿では、本書に基づいてジョブ型雇用の基本を整理し、それを基盤に形成されるジョブ型社会の特徴をとらえたい。また、ジョブ型への転換論について検討したい。 記事全文>>

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「真剣にやれば悩む」障がい者雇用だから、助け合う
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第246回

11月 07日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆悩みを共有

コロナ禍により対面での会合を自粛してから2年以上経過し、ウイズコロナの対応が定着しながら、少しずつ会って話す機会が増えてきた。先日、久々に障がい者雇用に関する勉強会と題して、企業や支援施設の方などが少人数で集まり、現状と課題について話し合った。

障がい者雇用の認知度は上がってきているが、障がい者とともに働く現場とそれ以外、支援の現場とそれ以外での障がい者に対する感性の違いはまだまだ大きな開きがある。集った方々は障がい者雇用に真剣に向き合うからこそ、出てくる悩みも多く、真面目にやるほど孤独感にも襲われる。

それらの悩みを共有しながら、社会に根差した障がい者雇用に向けて何が出来るのだろうと顔を突き合わせて考えることは、ポストコロナにおける必要な営みなのだと実感する。 記事全文>>

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データから読み解く世界のEC市場と日本の現状
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第228回

11月 04日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

スマートフォンやインターネットの発達によって私たちの生活は格段に便利になった。新型コロナウイルスの感染拡大の渦中にあっても、私たちはラインやビデオ会議などで人とのつながりを保つことができた。また電子書籍や映画配信サービスを活用して時間をつぶすこともできた。買い物だってアマゾンや楽天を使えばほとんどの物が買えてしまう。便利な世の中になったものである。

しかし、海外に住む私から見ると、心配なことが目についてしまう。先ほど述べたインターネットアプリのほとんどが海外のもので、ズーム、ティームズ、キンドル、ネットフリックス、ディズニー、アマゾンはすべて海外の会社である。わずかに楽天が日本の会社であるが、私の住むタイでは楽天はすでに撤退し、サービス提供がない。

今回はバンコック銀行日系企業部の坂部友英さんがまとめた世界の電子商取引(E-Commerce=EC)関連のレポートを紹介したい。小売商品を取り扱う「B to C」のプラットフォームについては今、アマゾンなどに追いつくことはほぼ不可能に近い。しかし企業間取引などを行うプラットフォームについては、日本はまだまだ戦える余地があると私は考えている。こうした分野に従事する人たちには参考としてぜひ、このレポートを活用していただきたい。 記事全文>>

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障がい者の権利を侵す社会に出された勧告を受け止める
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第245回

11月 02日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆2つの指摘

障害者権利条約に関する日本の取り組みに対し国連障害者権利委員会は9月9日、日本政府へ勧告(総括所見)を出した。2014年の条約締結後、初めての勧告。懸念が93項目、勧告は92項目あり、特に18歳までの障がい児者を分離して教育する「特別支援教育」の中止の要請と精神科病院の「強制入院」を可能にしている法令の廃止の2点の勧告に注目が集まる。

日本政府及び社会が「必要」としているこれら二つの存在は、国際基準とのズレを浮き彫りにした格好である。勧告に強制力はないものの、国連の指摘に政府への改善方策が求められる圧力が強まるのは必至だ。同時に、この2点については当事者の団体からすでに是正の声は上げられ続けており、社会全体がこれらのズレをどう受け止め、正していくのかが問われているのだと受け止めたい。 記事全文>>

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危うし日本の自動車産業-中国に頼るトヨタのEV
『山田厚史の地球は丸くない』第224回

10月 28日 2022年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

トヨタ自動車は、中国市場に投入する電気自動車(EV)を中国の新興メーカー、比亜迪股份(BYD)と共同生産すると発表した。「トヨタともあろうメーカーが、なぜ中国企業の手を借りるのか」と思った人は少なくないだろう。テレビCMで16車種のEVをずらりと並べ、豊田章男社長が豊富なラインアップを誇ってみせるトヨタが、あろうことか、中国メーカーとなぜ「共同開発」しなければならないのか――。

こうした感覚は、どうやら今や時代遅れになったようだ。コロナ感染で日本人が海外へ出る機会を失ったこの2年間、世界の自動車事情は激変した。いずれ訪れるだろうが「ずっと先の話」と考えていた「自動車のEV化」が、目前の課題となって迫ってきた。 記事全文>>

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